海岸陶片の基礎講座 (^^ゞ その1

 海岸を歩いて古い陶片を探してみませんか。まず骨董の本でも読んで、知識を得
てからなんて思わないでください。私なんて、知識の多くは拾いながら覚えました。
まず海に出てみましょう。とはいえ、知っていれば便利なことが幾つかあります。そ
して古い陶磁器の本などは多くても、海岸で拾うために書かれてはいません。そこ
で、ここでは陶片探しの最初の日を楽しむために書いてみました。海岸陶片探し
1〜2回分のお試しセット的知識です。
これ以上のことは、陶磁器関係や骨
董関係の本などに、良いものがたくさんありますので、そちらをご覧ください。

 おもに明治時代に作られました。模様の形に切り抜いた
紙を皿にあてて、その上から染料を摺り込んでいるため、
絵の輪郭線が、よく見ると点線になっています。
ベロ藍と呼ばれる、合成染料の鮮やかな藍色がほとんどで
すが、たまに緑色もあります。
 武骨なくらい頑丈で、ごく普通の海岸に、大きな破片が無
造作に転がっています。埋め立てで海岸線が変わっていた
り、よそから砂を入れたような海岸でも、ごく小さな破片なら、
まったく見つからない方が珍しいくらい、海岸ではポピュラー
なものです。もちろん皿だけでなく、飯茶碗や、湯呑などもあ
ります。

海岸の定番、印判皿

 このタイプの皿の多くが、底はこんな形をしています。
江戸時代からある形で、底がこの形をしていたら、

る程度古い場合が多いようです。
迷った時の一応の目
安になります。 

型紙摺タイプの
印判皿

蛇の目凹形高台
の底

「くらわんか」の茶碗と皿

 この器の分厚さを見てください。現在のものに比べ、断
面が分厚く、少しザラザラした感じがします。
江戸
時代中期、18世紀のものです。

 左の皿には、ドーナツ状に釉薬を剥ぎ取った跡
があります。これは、窯の中で重ねて焼くときに、器どう
しを癒着させないためです。くらわんかタイプに限らず、
陶器など18世紀以降の雑器によく見られます。
 大量生産のためとはいえ、釉薬を剥ぎ取るのですから、
たぶん汚れもつきやすかったでしょうね。

 くらわんかタイプは、大量生産
された雑器ですので、海岸で拾
える可能性の高い陶片です。

くらわんか碗の断面
(宮島)

皿表面の釉剥ぎの跡
(宮島)

江戸陶片です!ワンポイント模様、五弁花

 どんなに傷んでいても、小さな破片
でも、海岸でこの模様を見ると、うれ
しくてドキッとします。皿や碗の内側、
中央の、見込みと呼ばれる部分にあ
るワンポイント模様で、五弁花と呼
ばれ、江戸陶片の名札のよう
なものです。

 五弁花には、手描きのもの、コンニャク判と呼ばれるスタンプのように型押しした
ものなどがあります。左の写真は、かなり丁寧なもので、骨董の雑誌などに載って
いるのはこのタイプです。しかし海岸で拾う雑器の場合、こんなにきれいなことは
珍しく、たいていは右の写真のように、元の姿を知らなければ何かわからないほど
形が崩れています。

五弁花いろいろ 18世紀〜
(宮島 似島など)

海岸で見つけやすい陶片たち (1)

※ 写真をクリックすると大きくなります。
   
また、( )内の地名は採集地です。

 もちろん、右下のような、あま
り厚くないものもありますが、素
朴な雰囲気は共通しています。


こんな感じのものが多いです。 (宮島)

(宮島)

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