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海岸陶片・重箱の隅

近代陶片に残る古い量産技術(2)

蛇の目釉剥ぎタイプ

 これも江戸中期頃からよく見られる、器の表面の釉薬を
蛇の目(ドーナツ状)に剥ぐ方法です。窯で焼く時に重ね積
みした器どうしが癒着しないようにするためですが、これも
一部の窯では明治になっても続けられていたそうです。こ
ちらは足付きハマの跡と違い、稀にしか出ていません。

印判(型紙摺)の碗か 外側と内側
 (宮島)

印判皿(型紙摺)
(宮島)

鮮やかな合成染料で描かれた皿
や、型紙摺りタイプの印判食器に
も、江戸の名残の蛇の目釉剥ぎ
の跡があります。

合成染料の染付皿
(左、能美・中町
 右、宮島)

 江戸か明治かと迷うタイプの器の蛇の目釉剥ぎは、何か
塗ったような感じがすることがありますが、釉を剥いだ上か
ら、溶着防止のためにアルミナ砂を塗っているからだそう
です。江戸後期以降の蛇の目釉剥ぎや、蛇の目凹型高台
に見られるものです。

アルミナを塗ったもの
縁には合成染料の
藍色が (八幡川)

内側と外側
縁の緑色も鮮やかな近代皿は
高台が歪んでいます。
(右、能美・中町 左、江田島・切串)

内側と外側 (似島)

←裏だけ見ると、昭和の皿だと言って
  もおかしくない雰囲気の、無地の小
  皿です。釉剥ぎ跡は細くて薄く、な
  んだか存在感のない、弱々しい感
  じです。現代でも民芸風にわざと釉
  剥ぎした器を見たことがありますが、
  これはそれにしてはシンプルです。
  この皿は明治のものなのでしょうか。

内側と外側
これは外側だけ見たら、昭和の小
さなドンブリのようです。
(似島・似島港桟橋近く)

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   また、( )内の地名は採集地です。

印判皿(型紙摺)
(呉市天応)

印判(型紙摺)の碗 (呉市天応)