バンブーロッドのたのしみ

「はるかなるわがラスカル」と釣竿

スターリングノース著のこの本を読んだ事がありますか
第一次大戦が終わる頃(1918〜1919年)の北米の自然の中で少年とあらいぐまの物語でダットン動物文学賞を受賞した傑作です この中の主人公の少年が大の釣好きで釣の話も出て来ます

私の持っている本は翻訳者が釣の事を知らずに訳しているので意味が良く分からない所があるのですが 彼はスチール製でメノーガイド()の付いた竿を持っており絹の糸を使って赤と白の疑似餌や鹿毛やみみずに似せたぬれ毛鉤やみみずの生餌を使って釣っています そして毛鉤の投げ釣用の割り竹の竿がほしいと思っているのです 恐らくメノーガイド付のスチール製のロッドにシルクのフライライン 赤白のプラグやバックテールストリーマーやウーリーワーム(今でもアメリカでは雑貨屋で売っている粗雑なウエットフライですね)を使うかミミズの生餌で釣っておりドライフライキャスティング用のスプリットケーンロッドがほしいと思っているわけです
これを読んで分るのは当時はウエットフライが普通の釣り方でこれにプラグや生餌を合わせて使っていた様です。スピニングリールやベイトキャスティングリール等ルアーのレトリーブに使える道具はまだ無かったのですね。
(メノーガイドやスチールロッドは昔は普通の存在でシルクのフライラインは現在でも売られています)

彼がスペリオル湖辺りに出かけたとき 雑貨屋で毛鉤の投げ釣用の割り竹の竿を見たり ブルーレー川でフライフィッシングをする老人に会ったりしますがその竿がどのメーカーか興味がありました 五大湖辺りでもあり鬼才ポールヤングの竿では無いかと考えをめぐらせていましたがヤングが竿作りを始めたのは1920年以降ですのでちょっと違うようですね
いずれにせよバンブーロッドは歴史を振り返る楽しさがあります ヤングのテーパーで竿を作れば使うたびに当時の釣の事などに考えをめぐらせることができるのです

竹の強さのお話

昔から竹の強さは良く知られており色々な物作りに生かされて来ました
竹の繊維は経年劣化が少なく鉄と同じ程度の曲げ強度を長く保つ事が出来ます それを利用して昭和の戦争中物資欠乏の中で鉄に変えて竹を入れた竹筋コンクリートが作られました
特に線路や道路の橋脚や橋梁に使われた様で今だ各地に残っていると言われています
下の写真を御覧下さい
これは北海道斜里町に残る旧国鉄根北線第一幾品川橋梁遺構です
昭和十四年着工完成し現在でも強度の低下は見られないと説明板に書いてあります(それにしてはひびが入っている等と言わないで下さい)現在は廃線になっており国道が通る為一部切りとってあります(その時強度を調べたのか?)実際に供用されたかどうか私は知りませんが竹の優秀な耐久力を示していると言えるでしょう
それにしても昭和十四年と言えば、アメリカとの戦争(太平洋戦争)の2年前です もうこの頃から物資が不足していたとすれば戦争してダメなのは当たり前 当時の人は一体何を考えていたのでしょうね

バンブーロッドの投げやすさ
 バンブーロッドは投げにくい、と思っていませんか
 ルアー・フライ共に現在使われているロッドは、グラファイトを中心とした最新素材の製品がほとんどでしょう。キャスティング競技などでは最新の製造技術が競われているようです。これを見る限りバンブーの出番は無い様に見えます。そうでしょうか?。
 バンブーロッドの良さは、ぎりぎりのキャスティングレンジを競う事にはありません。
 バンブーロッドは設計されたレンジの中で使う限り、少ない力で楽にコントロールできる良さがあります。
このことはトーマス アンド トーマスの社長トーマス ドルシーもR・L ウインストンのグレン ブラケットも同じ様な事を言っているようです。どちらもグラファイトロッドを大量に販売するメーカーですが、内部の人はグラファイトが全てとは思っていないわけです。
 特にルアーロッドに付いてお話しますと、バス用のベイトロッドをテストして頂いている方が「ポイントを狙うときグラファイトの感覚で使うと飛びすぎる」と言っていますので、軽く投げて良く飛ぶと言えます。
特に軽いルアーから重いルアーまでロッドの曲りを利用できますので同じ感覚で使えますし、そのキャスティング感覚は爽快ですらあります。
 バンブーフライロッドは根強い人気がありますが、バンブーのルアーロッドはあまり見かけません。アメリカでは、大衆向けのルアーロッドは安くないといけなかったのと材料の竹不足で、1950年ころホローグラスロッドが登場するとほとんどのメーカーがグラスに転向するか廃業してしまいました、その後およそ50年マスプロ化されたバンブーのルアーロッドは作られ無かったと言って良いでしょう。(勿論今も作られていません。)
これはフライロッドに比べると約2倍以上もの時間経過で、ルアーロッドはそれだけ長く忘れ去られてしまったと言えます。
 長く忘れ去られていたバンブールアーロッドですが優れた面も多いので、古くて新しい素材としての竹が見直されても良いと思います。優れたバンブールアーロッドを使った人はあまりいないのではないでしょうか。ぜひ使ってみてほしいと思います。

別誂ロッドの良さ
 ハンドメイドバンブーロッドも私共メーカーが全てを決めて作る場合と、ある程度は注文される方の意向に合わせて作る場合とがあります。一般に別誂等と言われますが、竿の調子や外観を調整出来ます。
 竿身の色もバーナー焼きによるこげ色を付けたりオーブン焼入れにしても色の具合を変えて行けます。グリップは手の形や好みに合わせて削れますので型紙による指示を頂けばそのように出来ます。 ラッピングの色や各パーツも入手可能な物は付けられます。
 こうして作られた竿は貴方だけの一本に成るでしょう。自分で作るのは大変ですが私が変わって作りますのでお問い合わせ下さい。

伝統工芸品バンブーロッド製作
Bamboo rood maker
香川 佳久
〒739-0461 広島県廿日市市大野4455番地
Tel.Fax. 0829-55-3540
email:splitcane@snow.megaegg.ne.jp

各種洋竿(船竿・ルアー・フライロッド他)製作致し鱒