脳内ビートチューン

すっかり盆栽マシンと化してしまったワシのビートですが、約10年ビートと付き合ううちに趣味クルマとしてワシがビートに求めるものが明確になってきました。
このコンテンツではワシのビートいじりについて、妄想を織り交ぜて語ってみたいと思います。
あれやこれやいじってみたいと思うのが人の性。そんな貴方の脳内チューンの参考になればと思います。

ドライビングポジション ブッシュ交換 エアロパーツ 駆動系 軽量化 ブレーキチューン エンジンOH 熱対策
タイヤ・ホイール周り 内装チューン キャンバー調整編 トー調整編 ボディ補強パーツ 吸気系 排気系 足回り エンジンオイル

 

エンジンオイル 2004-9-9

オイル消費
 ビートに長く乗っていると気になってくるのがエンジンのオイル消費です。バルブシール辺りからのオイル下がりやピストンリングからのオイル上がりが原因で、思いの外オイルが減っていて真っ青になった経験がある方もいるのではないでしょうか?かくいうワシもその一人だったりするわけで‥。
 ノーマルエンジンなら1000km/Lくらいのオイル消費でOHしてもいいかな?くらいのレベルですが、ボアアップして純正ではないピストンを使った車両などではいきなり1000km/Lくらいオイル消費をしたりすることもあります。そうなるとできるだけオイル消費を抑えられるオイルを選ぶ必要が出てきます。
 オイル消費を抑える手始めとしてオイルの粘度を上げてみましょう。純正指定は10W-30の粘度ですが、 10W-40などのオイルを選ぶということです。ただし、どうしてもエンジンのフィーリングが重くなってしまうというデメリットもあります。安物の粘度の高いオイルを使った場合はやたらと油温が上がることもあるようです。オイル消費に限っていえば100%化学合成オイルよりも鉱物系のオイルの方が消費は少ないようですね。

オイル上がりとオイル下がりの見分け方
 
オイル消費は大きくわけて、各部からのオイル漏れと燃焼室内でオイルが燃えてしまうケースが考えられます。オイル漏れはヘッドカバーからやカムのオイルシールなど、ヘッド部分から漏れるケースが多いようです。シール部分からのオイル漏れの量もバカにできないもので、某ショップで台車で借りていたクルマが妙にオイルを消費すると思っていたらカムのオイルシールが外れていたなんて事もありましたし。(^^;) まぁ、こちらは腹下に潜って確認すればOKでしょう。
 さて、 難しいのがオイルの燃焼です。バルブシールからオイルが燃焼室に入って燃えるオイル下がりとピストンリング部分から入って燃えるオイル上がりがあります。この見分け方ですが、ワシは始動時に白煙を吹くかどうかで見分けています。E07Aエンジンはシリンダーがかなり前傾しているためかオイルの落ちが悪く、ヘッドに結構な量のオイル残るようです。シールから漏れていればそのオイルが燃焼室に落ちるのでは?という考えです。オイル上がりは十分な暖機運転の後、全開加速をしてマフラーから白煙を吹くかどうかで判断しています。距離を走っているビートに多いのは後者の方が多いように感じます。
 中古エンジンを分解してみるとわかるのですが、バルブガイドの摩耗は気にするほどでもなく、バルブステムシールの密着性も良好なのに、ピストンリング部分がカーボンで固着していたり、ピストンリング自体の反発力が弱まっているケースが多いです。この場合、ヘッドを外してクランクを回してみるとピストンリングが十分にオイルを掻き落とせない様子を観察できます。
 個人的にはプラグを外して燃焼室にキャブクリーナなどの有機溶剤を入れて一晩寝かせて、リング部分のカーボンを溶かしてやるだけでもピストンリングの張力が十分なら効果が期待できそうなんですが‥。これは今後実験してみたいと思います。

オイルの選定
 オイルは安いオイルをこまめに換える方が良いとか、交換頻度は落としても高いものを入れた方が良いなど諸説ありますが、お疲れ気味のビートのエンジンに関して言えば交換頻度を上げた方が良いように思います。リッター2000円近くするワコーズの100%化学合成オイルからヤフオクで激安シェブロンの10W-40でリッター当たり156円なんという人柱上等(笑)なオイルまで使ったりもしているのですが、高回転域で濃いめの燃調のビートではオイルのガソリン希釈の関係でどちらも3000km程度でオイルがガソリン臭くなってしまい交換せざるを得なくなるからです。
 ただ安ければ良いかといえばそうではなく、有機モリブデンが多く含まれるものを選ぶのが無難と思います。そんなもんわかるわけない!と言われるかもしれませんが、見分ける方法はあります。ある程度以上(といっても2%くらいでしょうけど)の有機モリブデンを添加したオイルは湿度が高い日にエンジンの吹けが軽くなるんです。雨天時は走行抵抗が多くなるので違いはわかりにくいのですが、雨降り直前とか雨上がりの日に妙に吹けが軽くなる場合はビンゴでしょう。アッドザウルスなどの旭電化製サクラルーブ165の有機モリブデン(Fポンのオイルに添加されているものと同じものだそうです)を使用している添加剤を純正オイルに添加してフィーリングの変化を検証してみると良いでしょう。意外な事に激安シェブロンにはかなりの濃度で有機モリブデンが添加されているようです。オイルは値段ではわからないものですねぇ。
 もっとも最近の省燃費を謳った低粘度オイルには境界潤滑時の保険のために確実に添加されているんですが、さすがにエンジンがお疲れ気味のビートに入れるのはまずいような気がします。気がついたらオイル切れでブローはいやですよね?

 油温計や油圧計を装着されている方なら高負荷時の油温の上昇の度合いや油圧の低下の度合いでオイルの善し悪しの判断ができるので、いろいろ人柱をしてみてデータ取りをするのもひとつの手ですね。純正オイルもなかなか捨てたものではないと思えたりしますしね。


ドライビングポジション 2004-1-27

ドラポジを見直してみよう
 ワシはクルマやバイクに乗る前に自転車競技に没頭していた時期があり、すでにその頃からセッティングヲタクだったわけで‥。(笑) しかし、ステムの長さやサドルの高さを合わせたり、ハンドル幅やブレーキレバーのセッティングを変えるだけで如実にタイムや疲労度に影響するのでいろいろ変えて楽しんでいました。クルマのドライビングポジションにも同様のことが言えるのでは?と思ったわけです。そこで、ビートにおいては、スポーツドライビングを楽しめるポジションを追求してみました。

ありがちなジムカポジション
 ジムカーナやミニサーキットをよく走るドライバーに多いのはいわゆる「前乗り」でしょう。切り遅れせずにハンドルを正確にクルクル回す必要があるので、これを重視して極力シートを前に出すポジションですね。具体的に言えば、ハンドルを最も効率良く回せるポジションは力を入れた時に肘が直角になるような位置関係になります。テニスなどのラケットスポーツでボールをミートする瞬間は肘が直角になってますよね?もっとわかりやすく言えば、35φの非常に重たい水門を開くハンドルを回す様子を想像してもらえれば良いと思います。肘が伸びた状態で回そうと思う人はいないでしょう?(笑)
 そのポジションにシート位置を合わせるとハンドルは回しやすくなるのですが、ひざ周りが非常に窮屈になります。昔ながらの「体育座り」で運転するような感覚ですね。短時間で終わるジムカーナではペダル操作は足首の柔軟性を高めれば慣れの範囲ですが、長距離のドライブでは疲労が蓄積しやすいのは事実です。

ペダル重視のセッティング
 では逆にペダル操作を重視して、ひざ周りが窮屈にならない程度にシートを下げてみましょう。目安としては、右足のかかとをブレーキペダル手前に置いて、かかとの軸を固定したまま右足のつま先でアクセルペダルを踏めるような位置関係です。すると、よほど足の短い方以外はハンドルの位置が前述の位置関係からはかけ離れた状態になると思います。ポジションをハンドルに合わせるかペダルに合わせるかという悩ましいジレンマに陥ってしまいそうですが、スペーサー等でハンドルを手前に持ってくることでこれを解消することができます。ワシの場合はペダル重視のシート位置に合わせた後、ディープコーンのハンドルと50mmスペーサーを組み合わせてかなり手前にハンドルを移動しています。まぁ、この辺りは各自の手の長さに合わせてセッティングされると良いでしょう。
  ワシのようなセッティングにした際にはウインカーレバーが相対的にかなり奥になってしまい、ウインカー操作時にハンドルから右手を放さないといけないなど多少不便になります。ウインカーの操作性を上げるためにレバーにアルミ板等でエクステンションを製作して固定してやると良いでしょう。そこまでやるのは面倒という方は固定面からのオフセットが少なめなハンドル+30mm以下のスペーサーを使用するのが無難でしょう。
 あと、あまり極端にハンドル位置を移動してしまうとハンドルとシフトノブとの位置関係も狂ってきます。目を閉じてハンドルを握った左手をスッと下ろした時に自然にシフトレバーに触れるような位置関係をキープできるようにしておきましょう。

シートのバックレストのセッティング
 ワシは腰痛持ちなのでシートのバックレストの角度にはこだわります。なにしろ、バックレストの角度が合わないとモロに腰にきますから。(^^;) 一見寝かせた方が腰に優しいように思えますが、90°〜100°の間の方が長距離での疲れは少ないと感じています。飛ばす人はやや猫背気味なポジションでちょうど良いくらいでしょう。社外のシートを使っている方はランバーサポート部を自分の背骨の曲がりに合った位置に移動してやるとさらに良いですね。レカロシートを新品購入されたことがある方はランバーサポートのセッティング用のスポンジと解説書が添付されていることをご存知と思います。レカロシートが腰に優しいというのは構造だけではなく、こういったセッティングにも深い関わりがあるのかもしれませんね。

横G対策
 ビートのノーマルシートはお世辞にもホールド性が良いとはいえない類のシートです。ノーマルでもコーナリング性能の高いクルマですから、スポーツドライビングを楽しむには上半身をしっかりホールドすることが不可欠です。 そのためには上半身のホールド性が良いシートに交換するのが一番の早道でしょう。
 上半身をしっかりホールドする理由はコーナリング時の横Gをシートで受けとめて腕の力をハンドル操作のみに使えるようにして正確な操作を実現することと、視点の揺れを防いで車両の挙動を的確に判断するという2点が考えられます。前者の方はフルバケットシートを使っている方がノーマルシートに付け換えてお山をちょいと飛ばせば、いかに上半身のホールドに無意識に腕の力を使っているかを体感できると思います。街乗りでもフルバケユーザーなワシはノーマルシートでは怖くて飛ばせない体になってしまいました。(^^;) 同様の理由で4点シートベルトも衝突時の安全性はもとより、前述の効用が期待できます。まぁ、街乗りで4点シートベルトはさすがにアレですけど。(^^;)
 もうひとつの横G対策は下半身です。ここで下ネタを想像する人は放置するとして(笑)、特に左右のひざのぶれを抑えることが重要になります。左足はフットレストがあるのでそれほど気にすることは無いのですが、右足はブレーキとアクセルを操作するため、ひざを固定しないと正確なコントロールをすることが難しくなります。以前はドアのインナーパネルに硬質ウレタンスポンジを重ねてニーレストを作って装着していたのですが、今はBW-JAPAN製のニーレストを使用しています。(プロサービスさんで販売しているものも同じ商品ですね) スパルコ社のCORSAのようにバケットシート自体にニーレスト形状を持たせてあるものもありますが、ビートの場合は室内スペースや乗降性の制約もあり、普通のバケットシートに後付けニーレストの方が現実的です。
 余談ですが、こういうニーレストを付けると左足のひざのぶれも気になるもので、こちらの方はセンターコンソールに硬質ウレタンスポンジを貼り付けています。多少足下が窮屈になりますが、某スポーツカーらしく「ビートを着る」という感じでワシは気に入っています。
 ペダル操作を正確に行うという観点から、右足かかとをホールドするヒールレストを設置するという方法もあります。箱車のレースカーで運転席フロアにバーリング加工したアルミ板で製作したものを装着している車両もありますね。軽量化のためフロアマットを撤去しているビートの場合、雨天時などにかかとが滑ってしまうこともありますから、100円ショップなどで階段用すべり止めシートをかかとが乗る部分に貼り付けてやると同様の効果を期待できます。フロアの塗装が剥げてしまうことも予防できて一石二鳥です。(^_^)

お好みでローポジ化
  RSMachさんからローポジションフレームが出た際に思わず購入してしまったのですが、これもなかなか面白いです。ブリッドのフルバケで専用レールから交換しただけで3cm以上ローポジション化できます。理屈上は低重心化が期待できるのですが、そこは正直全く体感できません(笑)。ただし、視点が下がる分視界が狭められるデメリットがある反面、コーナーの先の方へ視線が行くようになるので、スピード感が抑制されるとともに、クローズドや路面の良いコースでは無意識のうちに先を読んだドライビングができるようになります。
 もちろん、荒れたタイトな峠を飛ばす方はある程度視点が高い方が路面を読めるのでローポジ化はデメリットになります。しかし、視覚的な安心感というものは精神的にかなり効くもので、ワシはローポジでないと飛ばせない体になってしまいました。(またかい!)
 おまけとして、ローポジ化は市販の33〜35φハンドルを装着してもタコメーターが良く見えるという効用もあります。

 ジムカーナなどではポジションを見直しただけでタイムアップすることもあるくらいですから、ビートは飛ばしてナンボ!という指向の方はポジションを見直してみるというのもお手軽にできて効果の期待できるチューニングだと思います。(^_^)


ブッシュ交換 2004-1-13

ゴム類はぼちぼちお疲れ気味
 発売から年数の経っているクルマ、特に走りの楽しさを前面に出したビートのような車両はそのうま味をひき出してこそ楽しめるものと楽しめると考えています。比較的年式の新しいものであればへたったショックやタイヤを交換するだけでもいいのですが、交換してもなぜか足回りがドタバタするとかしゃきっと走らないとか、乗り心地がイマイチとか思われた方はいませんか?
 それでは試しにリヤをジャッキアップしてラジアスアームをむんずと掴んでグイグイ動かしてみましょう。予想外にグラグラ動いて驚いた方もいるかも知れませんね。ビートに限らず、多くの自動車はサスペンションの取り付け部にゴムブッシュを使用しています。年式的にビートのブッシュ類無交換の場合、かなり劣化が進んでいることが予想されます。特にリア部はマフラーやエンジンからの熱を受けやすく、ブッシュ表面にひびが見られることも珍しくありません。長く乗るならブッシュ交換を考えても良いと思います。
 さて、ブッシュ自体の値段も安く、パーツリストを眺める上では比較的リーズナブルに交換できると思われがちなのですが、ブッシュ自体がプレス機で圧入されている関係で圧入治具や油圧プレスを個人で所有していないとプライベートでのブッシュ交換はまず無理でしょう。ディーラーへ交換作業を依頼すると工賃がばかになりません。工賃を節約するには意外ですが、ノーマルのアーム類とブッシュを組み付け済みの状態でディーラーで購入してアームごと自分で交換するのが一番現実的かもしれません。余ったアームはヤフオクで売るとかすればさらにお得かと。(笑)
 さて、 以前無限から強化ブッシュが発売されていましたが絶版のようですね。ノーマルのしなやかさを追及したり、新車時のコンディションに戻すことが目的なら純正のブッシュで必要にして十分だと思います。

ピロボール化
 さて、 同じやるならピロボールを組んでみたいと思われる方もこのページをご覧になる方には多いのではないのでしょうか?ワシもHALFWAYとRSMachのピロボールを組み合わせて使っています。ノーマルアーム+純正ブッシュにくらべてノーマルアーム+HALFWAYピロボールでは価格的に2倍近く(猫足サスキットと同程度だったと思います。)、ゴムブッシュの曖昧さが排除されて多少コツコツとした乗り心地になるのですが、しっかり足回りがストロークしていることを実感できます。上質なサスペンションのフィーリングを謳い文句にしている最近のクルマが要所要所にピロボールを純正採用しているくらいですからその効果は推して知るべしですね。HALFWAYのピロはメンテナンスフリーをかなり意識しており、メンテナンスなど特に気にする必要も無いのですが、その分若干動きに渋さが見られます。工業用ピロボールを流用しているRSMachのピロボール(というかピロボール付きアームASSY)は動きのスムーズさは抜群に良いのですが、使い込むとピロのガタが出ることもあるので、耐久性を取るか、いかにもピロらしいスムーズさを取るかという選択になると思います。トーコントロールアームはRSMachのピロを使うとアライメント調整で楽をできてオススメというのは以前書いた通りです。

スタビブッシュの交換
 お安くできて効果を得られるブッシュ交換ではスタビブッシュがイチオシでしょう。ビートのスタビブッシュは俗に串団子型と呼ばれる、スタビとアームを4コのドーナツ状のゴムでサンドイッチして固定するタイプです。AE86などはこのタイプですから、比較的古いタイプの方式といえますね。ワシはAE86用の調整式ピロブッシュを加工して取り付けていますが、正直そこまでは必要ないと思います。オススメはウレタンブッシュ化でしょう。25φくらいの硬質ウレタン樹脂の無垢棒でもあれば適当な厚さに切り出して中央に8φの穴を開けたものを8コ作ればいいのですが、ヤフオク等でAE86かハコスカ用として販売されているウレタンブッシュを安く買って加工流用という手もあるでしょう。面倒であればショップ等でウレタンブッシュを買うのが確実と思いますけどね。もちろん新車時の性能を取り戻すだけなら純正の新品を買って交換するのが一番安上がりにできると思います。この部分は圧入ではないので自分で交換できますしね。
(2004-1-23追加)ヤフオクで売られているEG6用ウレタンブッシュが流用するには安くて良いようですね。

余裕があればアッパーマウント交換
 あと、サスペンションのアッパーマウントも純正ではゴムブッシュが使われています。ノーマルもしくはノーマル形状のサスキットを使われている方はアッパーマウントの交換という手もあります。HALFWAYの猫足(CatWalkサスキット)には新品のアッパーマウントが組み込まれているのである意味お得ですね。もちろん、クスコ等のピロアッパーマウントに換えてしまうというのも面白いかも知れません。実は純正のアッパーマウントは動きが渋いようで、ピロアッパー化するとハンドルが軽くなることもあります。最近は安価な車高調整式サスキットでもピロアッパーが装着されているものもありますから、そういう商品を購入すれば問答無用で付いてくるんですけどね。アッパーマウントに使用されるピロボールはダストブーツが付けられないむき出しのタイプなので、砂等を噛み込ませないように時々掃除してやるとよいでしょう。CRC556などの潤滑剤よりもバイクや競技用自転車のチェーンなどに使われるテフロン系の乾式潤滑スプレーを吹きつけてやると動きも良くなり一石二鳥です。

ピロ化もやりすぎると‥
 ただ、片っ端からピロ化してしまうと、操作にリニアなハンドリングになって面白いのですが、ゴムブッシュ自体が各部への衝撃・振動吸収の働きももっているため、ギャップ等に乗った時のボディへの攻撃性が大きくなるのは否めません。とにかく長く乗るなら必要以上にピロ化しないという選択肢もアリだと思います。


エアロパーツ 2004-1-12

見た目だけでなくて機能もね
 何年もビートに乗っているとノーマルの外観にも飽きてきて、イメージチェンジのためにエアロパーツを装着するビートオーナーの方も覆いかと思います。本来は空力面の効果を見込んで装着するパーツでしたが、近年はデザインに力を入れたスタイリング重視の製品が主流ですね。しかしながら、スタイリングと機能面の向上を兼ね備えたエアロパーツが理想的であるとワシは考えます。

フロントバンパー
 フロントバンパーは比較的空力面での効果が期待できるパーツです。同時にクルマの「顔」を変えることで交換の満足度の高いパーツでもあります。さて、フロントバンパーにはどのような機能が期待できるでしょうか?
  ボンネットのラインから前端にかけてなだらかな面を作るようなFバンパーは高速域でのフロント部のリフトを抑制する効果が得られます。(多少は全長が伸びてしまうのですが‥。)現在は発売されていませんが、HippoSleekのフロントバンパーなどは高速道路を走る際などにしっかり路面へタイヤが押さえつけられる事を体感できました。恐らくマッドハウスのFバンパーも同様の効果を期待できるかと思います。
 ただ、この手のバンパーで調子に乗って飛ばしていると石跳ね等でFガラスやボンネットにキズが入ってしまうことがあります。ノーマルのFバンパーはあえてノーズ先端部を絶壁形状にして前面に当たった走行風を真上に跳ね上げるような空気の流れを作っていたのが、Fバンパー交換でボンネット〜Fガラスをなめるような空気の流れになるためです。まぁ、石跳ねのキズもスパルタンで良しとする方は問題ないのですが。(笑)
 では同等の効果をノーズ上面以外の形状変更で得ようとすると、Fバンパー下のフラットボトム化やFタイヤハウス前にストレーキを設置する方法があります。フラットボトム化の材料はベニヤ板で十分でしょう。安価で加工性も良く、路面との接触で壊してもすぐに交換できますし。(笑) ストレーキはS2000に装着されていることが知られていますが、最近のトヨタ車の低グレード車にも装着されているように空力面での効果は期待できそうです。フラットボトム+ストレーキのようなアンダーカウルも良いかもしれませんね。

リヤ部の放熱対策
 ビートの弱点としてエンジンルームの放熱性の悪さを以前挙げましたが、リヤバンパーの開口部を大きくしたり、大胆に下部をカットすることでエンジンルームのエアの抜けを補助して放熱性を向上させることができると思います。エアダクトを拡大したトランクも同様の効果を期待できるでしょう。

空力と言えば‥
 一見空力的に期待できそうなリアスポイラーですが、 かなり高めにセットしたGTウイングを除いて大した効果は無いように思います。整流効果を狙ってダックテール形状にするくらいでしょうか?空力ではなくHALFWAYのスリットを設けたリアスポイラーのように冷却効果を持ったものもありますね。ビートはデザイン的に丸くてかわいいテールを持っているので、イメージチェンジにお好みの形状を選ぶ程度に考えておくのが良いかもしれませんね。


駆動系 2004-1-9
 ローギアード化は両刃の剣
 唐突ですが、みなさんKトラに乗ったことはありますか?学生時代に200kgばかりの荷物を運ぶ為にマツダのポーターキャブを借りて乗っていた事があったのですが、この車は4速MTで左手前が1速という大昔のレーシングカーのMTパターンと同じだったんです。空荷で乗る分には軽い車重とローギアードで、アンダーパワーながら予想外に小気味良い走りを楽しむ事ができました。速度取り締まりに引っかかって林道を激走して逃げたり(もう時効ですね(笑))といろいろな意味で思い出深いです。
 で、ビートに初めて乗った時、ポーターキャブと同種の楽しみのあるクルマだと思った訳です。他車に比べてローギアードなギア比であり、ノーズ部が軽い点は同じですよね。さらに高回転型&ハイレスポンスなエンジンとタッチの良いブレーキでこの楽しみを倍加しているとも言えます。このうま味をさらに引き出すためにあれこれいじってきたようなものですね。

 そこで今回は駆動系のお話です。
 ビートはホンダのK自動車の中でも比較的ローギアードなファイナルを持っています。(5.714ですね。)JA系トゥデイやライフはこれよりハイギアードなファイナルが組み込まれています。しかし、もりぐちさんのサイトで4ナンバーアクティのファイナル(6.23)が流用できることを知り、AutgarageK4さんにたまたま在庫があったのでLSD組み込みとOHのついでに組んでもらったことがあります。ノーマルより約8%のローギアード化ができるわけです。
 実際に使ってみると、2〜4速までのつながりが良く、峠の上りでもノーマルほどストレスを感じずに走れるようになりました。追い越し加速もエンジンの吹けが良く楽しく走れたのですが、良い事ばかりではありません。
 まずは高速道路での移動が辛くなります。ビートはノーマルでも100km/h時に5000rpm程度回ってしまいますが、ローギアード化後は6000rpmも回ってしまいます。あと、ジムカーナのサイドターンなどでは1速が低すぎて実質使えなくなります。1速は本当にスタート用と割り切って使うしかありません。まぁ、前者の問題はJA4ライフの5速を流用することが可能なようで実践している方もいるようですが…。
 まぁ、ハイカムなどでエンジンを高回転化したビートにはなかなか面白いと思います。

 ミッションOH
 ぼちぼちシフトの入りが渋くなってOHを考えている方もいるかと思います。 内部のベアリングとシンクロ交換が定番ですが、シフトフォークが曲がっている個体もあるようなので予算に余裕があればこれも交換したいところですね。

 LSD装着
 せっかくミッションケースを割って分解してしまうのだから、ついでにLSDを組んでみようと思うのもアリですね。
 LSDを装着するメリットはタイトターンで高Gをかけて旋回する時にイン側のリヤタイヤがリフトしてトラクション抜けを起こすことを抑えるのが本来の目的ですが、LSDの構造上、トラクションをかけた際に左右輪の回転を同調させてしまうので、きちんとフロント荷重をかけて進入しないとアンダー製造機になってしまいます。また、高速コーナーでの急なアクセルオフでタックインを出しやすくなるので初めて使われる方は注意した方が良いと思います。もう一つのメリットはリヤタイヤのコントロール性の向上でしょう。アクセルコントロールでリヤを振り出したリ、それを収束させることが容易にできるようになります。ジムカーナではこのコントロール性は使いこなせると大きな武器になります。

 クスコかHALFWAYか?
 アフター物で発売されているLSDはクスコとHALFWAYから出ています。バージョンZ用純正LSDという手もないわけではありませんが、価格が社外品の実売価格の2倍近いため現実的ではないでしょう。クスコ製は鋳造ケースでサイズ自体が大きいのでミッションケース内部に干渉する部分を削ったり、純正のスピードメーターギアがスペースの都合上使えなくなるため、付属のギアに交換する必要があるなど、組み付けにノウハウが必要な面もあるようです。HALFWAY製は鍛造削り出しケースでクスコ製よりもコンパクトなため、上記の加工の必要無いようです。
 LSD自体の効きはセッティングや好みにもよるのですが、クスコ製はタイトターンでゆっくり走った時に、バキバキという音と振動とともに、いかにもLSD装着車両といったフィーリングを味わえます。HALFWAY製はカーツorATSのOEMらしく、特殊なフリクションプレートを使用しているようで、ロックまでの過渡特性がスムーズでそれほどLSDが付いていることを意識せずに乗りこなせるようです。ワシはクスコ製のTypeRSを使用していたのですが、ケースの金属疲労で割ってしまい、次はどちらにしようかと悩んでいます。
 


軽量化 2003-11-24
 ビートの乾燥重量は760kgあります。最近の新規格のKよりはおおむね軽いのですが、旧規格の中ではひときわ重い車重と言わざるを得ません。同じホンダ車で比較すると、JA4型のトゥデイの2WD車が700kg弱、さらに前の世代のJW2型は600kg弱とこれらに比べると大人1人〜2人分も重いことになります。ちなみにビートと同じ時期に発売されていたJA5型のトゥデイの4WD車より50kg近くも重かったりします。
 これはオープン車の剛性不足を補うための補強分で重くなっていると考えて良いでしょう。ディーラーの車検時の代車はJW2またはJW4のトゥデイであることが妙に多いのですが、こういった車の軽さから来るゴーカート感覚も捨てがたいものがあります。というわけで軽快な走りを求めての軽量化を考えてみましょう。

フロントの軽量化
・スペアタイヤを外す
・カーボンボンネットに交換
・エアコンを廃止してコンデンサ等を外す

 上記メニューで15kgの軽量化でしょうか?
 フロント部を軽量化すると、コーナー進入時のノーズの入りがクイックになるので面白いのですが、フロントタイヤの接地面圧の低下につながるので前後の荷重移動にシビアな乗り味になりがちです。タイヤの空気圧を落とすなどの対処療法的なセッティングもあるのですが、ブレーキングで荷重を入れにくいようなコースやウエット路面を走る時のみスペアタイヤを積んで重量を稼ぐというのもアリでしょう。RSmachのタイプRのような全長調整式車高調を使っている人ならば前の車高を下げることで静的なフロント荷重を増加できるのでそれほど気にすることはないと思いますが‥。

リヤの軽量化
・バッテリーの軽量化
・マフラーを軽量なものに交換する
・FRPトランクに交換
・エアコンを廃止してコンプレッサを外す

 ここも目一杯やれば20kg近く軽量化できるのではないでしょうか?
 リヤまわりの軽量化はコントロール性向上に大きな効果が得られるので是非押さえておきたいところです。いかにもそれっぽい音を求めてN1系マフラーに交換した人で、リヤタイヤが流れた際のコントロール性が良くなったことに気付かれた人もいるのではないでしょうか?

ボディ中央部の軽量化
・ハンドルを軽量な社外品に交換
・内装を外す
・シートを 軽量なフルバケットシートに交換
・FRPのエンジンフードに交換
・RSMachのカーボンドアに交換
・幌を外してハードトップ装着
・軽量ホイールを装着
・ドライバーの軽量化(笑)

 この中で意外に大きいのはドアの重量でしょう。平成車らしくサイドインパクトビームを内蔵しているため、かなり重量があります。左右をRSmach製のカーボン品にすると18kgもの軽量化ができる部分です。まぁ、衝突安全性の面ではアレなんですが。内装のカーペットや防音材も全部で7kg近くあり、お手軽にやるにはこれを撤去するのもアリでしょう。

 快適性を無視して上記メニューを全部やってしまうと乾燥重量で700kg以下も可能でしょう。もちろん、苦労してやった軽量化もロールバーや補強パーツ取り付けでまた重くなってしまうわけですが。年を追うごとにドライバーの重量も増加しがちですし。(笑)

重量バランス
 あと、留意すべきは重量バランスでしょう。ビートはリヤの重量が大きな車なので、まずはリヤ部分の軽量化からはじめるのが良いでしょう。コーナリングにおいてはボディの重心から離れたところほど効きます。オーバーハング上にあるマフラー交換やスペアタイヤ撤去で得られる軽量化が数値以上に効果があるのはそのためですね。同様の考え方で上下方向で考えると車体フロアから離れている部分ほど軽量化の効果が期待できます。ロール方向のモーメント量の低減による運動性の向上ですね。具体的には幌の撤去orハードトップへの交換あたりでしょうか?
 やる気になればかなりの軽量化が可能なボディ中央部は主に加減速に効くでしょう。サーキットの狼で4kgの軽量化が1馬力のパワーアップと同等であると言っていたのはあながちウソではないような気がしますね。


ブレーキチューン 2003-10-26
・ノーマルブレーキの印象
 発売当時はFD3SのRX-7やNSXと並んでノーマルで1Gの制動Gを発揮するというのがビートの売りの一つでもありました。10年前にビートを買って早速ブレーキングを試してみたところ、あっさりとフロントがロックしてしまい、効くは効くけど使えないという印象を持ったことを覚えています。まあ、サーボのアシスト量を意図的に抑えて踏力でブレーキコントロールできるのが救いではあったのですが‥。
 ビートのブレーキパッドは意図的に制動バランスを前効きにして、どんなスキルのドライバーがいかなるシチュエーションにおいてもリヤの早期ロックを起こさないという配慮によってそういうセッティングになっていると考えられます。そこで、パッド交換の際はフロントの早期ロックを避けたブレーキバランスをもったパッドを選ぶようになりました。

・ワシ的理想のセッティング
 理想を言えばブレーキング時、先にリヤの制動力が立ち上がってからフロントの制動力が立ち上がるフィーリングにもっていきたいものです。
  ビートは4輪油圧ディスクブレーキ(軽自動車としてはかなり贅沢ですね)なので制動は4輪同時なのでは?と思われるかも知れません。ブレーキは車体の運動エネルギーを熱エネルギーに変換する装置ともいえます。より摩擦係数の高い摩材を使えばより早く発熱し、制動力の立ち上がりも早くなるという考えです。
 そこで、リヤの制動力が先に立ち上がることでフロント部を地面に押し付けるような力が働き、その後のフロントの制動力を有効に引き出すことができるわけです。俗っぽく言ってしまうと「リア効き」なセッティングなのですが、間違ってもリアの早期ロックを誘発してオーバーステアを出すのはワシの目指すところではないのです。
 あとはコントロール性の向上でしょうね。ペダルストロークではなく踏力で 制動力のコントロールができるのはビートのもつ美点ですので、そこを生かせるように制動力がリニアに立ち上がるセッティングを目指したいものです。

・パッド交換でセッティング
 市販パッドでワシの理想に近いのはHALFWAYのFCRパッドのTypeRでしょう。ワシ的にはもう少しリアが効いても良いくらいだと思います。不特定のユーザーを対象に販売する市販パッドでは贅沢な注文なのかもしれませんけど。絶版になったエンドレスのタイプMや会社そのものが無くなってしまったショーダクリエイティブのパッドも好フィーリングだったんですが‥。
 で、さらに理想のブレーキバランスを求めるなら禁断のパッド異銘柄組み合わせしかないでしょう。BRIGあたりのパッドを組み合わせてセッティングすると面白いかもしれません。ただし、ブレーキバランスのセッティングには半端でない手間と資金が必要なのがアレですね。
 お金をかけずに無難に行くならパッドのメーカーサイトのパッド特性チャートを参考にしながら同メーカー内の異銘柄を組み合わせてフロントにコントロール性重視、リヤに初期制動重視のパッドを入れてみるといいかもしれません。ただし、近所のワインディングで試走したりするとセッティングを失敗した際に非常にマズイですので(笑)、クローズドで試すことをお勧めします。
 あとお金がかからない技としてはノーマルパッド裏に付いている鳴き止めのシム(ステンレス板)を外してしまうという手もあります。赤や青の社外パッドを付けている人はパッドを見せるために無意識に外していると思いますが。(笑)

・ステンメッシュホースとマスターシリンダーストッパー
 ブレーキのフィーリングアップにはパッドだけではなく、ホースをステンメッシュに交換してダイレクト感を上げる方法もあります。ビンボーチューンでは純正のゴムホースにタイラップを巻くという方法もありますね。この際はホースの柔軟性を確保するようにした方が無難です。個人的にはマスターシリンダーストッパーを装着するよりもステンメッシュホースに交換した方がコントロール性は上がると思っています。
  マスターシリンダーストッパーは初期制動の立ち上がりを早めるには良いのですが、前述のワシの理想のセッティングにはそぐわないのでワシは装着していません。ブレーキシステムを開発している某メーカーの方に圧力容器にそんなことするのはマズイよと言われたのもあるんですが。(笑)

・まずはノーマル部品の性能維持を
 また、ハードなブレーキングをくり返すビートではキャリパー&マスターの定期的なOHも有効です。ワシは車検1回ごとにディーラーでやってもらっています。酷い時にはOHではなくキャリパーASSY交換も必要になることもあります。ブレーキングでキャリパーが開いてしまうケースもあるようです。パッドが妙な減り方をする時にはキャリパーの開きも疑った方が良いでしょう。

・流用キャリパーでフロント大容量化の是非
 さらなる制動力を求めて上級車種のキャリパーに交換する人もいますね。ロゴとかライフダンクとかインサイト用などが比較的簡単に流用できるようですね。キャリパーの大型化だけではなく、ローターの大径化による熱容量増加とベンチレーテッド化による放熱性の向上も合わせて制動力向上に効きますね。この手の流用キャリパーを装着したビートに試乗させてもらったこともあるのですが、ノーマルとは桁違いの制動力とコントロール性の向上を体感できると思います。しかし、ワシはこの手のチューンはやらないと思います。
 まず、ブレーキバランスが極端な前効きになってしまいます。長い直線から一気にブレーキングするような時は安心して突っ込めるというメリットはあるんですが、いかんせん通常のコーナーでも前タイヤだけで制動しているようなフィーリングはワシ的にはいただけません。
 あと、フロントを14インチ化したり、キャリパーの逃げを確保しなければならないことや、バネ下重量の増加で荒れた峠道などでフロントタイヤのドタバタ感が増すなど 、ブレーキバランス以外にも解決すべき問題が出てきますしね。
 前タイヤに太いSタイヤを履いて直線からタイトコーナーヘのアプローチが多いサーキット(MINEサーキットのインフィールドのような‥)で使用するには有効なチューンとは思うんですが‥。もっとも、正直ワシの腕ではそこまでの制動力は必要ないですし。(笑)
 バネ下重量という面では、その昔のミラージュカップでは下級グレードの小さなローターとキャリパーを流用するチューンが定番化していたこともあるくらいですからフロントキャリパー大型化はクローズド走行好きなビート乗りの方にも悩ましいですね。


エンジンOH、ついでにメカチューン 2003-10-21
 新車発売から既に11年が過ぎているビートですが、日ごろの足に使っている車両などは走行距離が10万kmをオーバーしているケースも多いかと思います。
 某いわや氏のようにこまめにオイル交換なり補機類の交換をしていけば、E07Aエンジンは案外長持ちするもんだなと思ったりもするんですが、ついつい高回転まで回してしまいがちで、累計の全開時間も他車より長めな乗り方をするビートオーナーでエンジンのOHを考えている方も多いのではないでしょうか?
 エンジンのOHに踏みきる大きなきっかけはビートの場合はオイル消費が増加した時でしょう。E07Aはもともと高回転域ではある程度のオイル消費のあるエンジンですが、ノーマルピストンで1000km走行で1L以上オイルを消費するようになったらそろそろOHを考えた方が良いでしょう。
 そこで、OHついでにいろいろエンジン内部をチューンしてみたいと思うのが人情というもので‥。(笑)
 エンジンチューンを行う際はブロックに手を入れるかどうかで大きく方針が変わってくると思います。

・純粋にOH(メタル交換、ガスケット&パッキン交換、ヘッドOH)
 この場合は純粋に新車時の性能に戻すことが目標になります。腕の良いエンジン屋さんに組んでもらえばカタログデータを上回るパワーをマークすることもあるようです。どうせエンジンは降ろしてしまうのでウォーターポンプやデスビ、タイミングベルトは新品で組みましょう。あと一点追加すると良いパーツはピストンリングでしょう。ビートのオイル消費はバルブステムシールからオイルが漏れるオイル下がりよりも、ピストンリングが熱で劣化して密着性が低下するためにクランクケース側から燃焼室にオイルが入る、いわゆるオイル上がりが多走行距離のビートには多いようですから。

・ちょっと色気を出してチューン
 予算に余裕があり、せっかくだから少しエンジンを加工してみようという方はヘッド面研などはいかがでしょう?圧縮比を上げてパンチのあるエンジンにしようという魂胆です。エンジンブロック上面の修正面研も同時に行うと密着性も上がりヘッドガスケットの抜けも予防できますし。まぁ、アルミのエンジンなのでOH時に歪みが見つかった場合は必然的にやらないといけないんですが‥。ノーマルECUはレギュラーガソリンでもノッキングが出やすいセッティングなのでハイオクガソリン仕様は必須になりますね。
 自分で組まれる方はポート研磨もされると思いますが、正直それなりのノウハウがなければ効果を出すのは難しいので、ポートとバルブシート周りの段付き修正程度をしておけば良いでしょう。
 さらに予算のある人はハイカムを組んだり、オーバーサイズのピストンを組むという手もあります。

・禁断のボアアップ
 逝っちゃってるビート乗りに増殖中のボアアップですね。HALFWAYの68φピストンを組んだりするアレです。HALFWAYのピストンには前期の鍛造物と後期の鋳造物がありますが、鍛造の方はなぜかオイル消費が多かったようです。ブロックのボーリング加工に出して自分で組む方はピストンのフルフロー加工を一緒に内燃機屋さんに頼むと良いでしょう。ノーマルのピストンピンが圧入式であるのに対して、スナップリングでピストンピンの脱着ができるようになり、組み付けに油圧プレスを必要としなくなるからです。
 効用ですが、ワシのようなヘタレが組んでもパワーアップしますが、さすがにノーマルピストンよりは重い重量のため、多少レスポンスが落ちるようです。その分ヘッド面研で圧縮上げれば良いのでは?と思った貴方はかなり逝ってます。‥ってワシもそうなんですが。(爆)
 ただ問題はノーマルピストンに比べてピストンリングが弱い点でしょうか?どうしてもオイル消費が多めになってしまうのは割り切って使うしかないようです。まぁ、趣味クルマなら頻繁なオイルチェックも苦にならないと思いますけどね。あと、オイル消費はノーマル並みでボアアップしたいという方はL200系ミラ用の68φピストンを加工流用するというのも一つの手でしょうね。(笑) 

・ワシ的脳内メカチューンプラン
 
さて、そこでワシがやってみたいのは、ノーマルボアで高回転エンジンですね。

・HALFWAYから出ている作用角288度のハイカムを使用する。
・チタンバルブリテーナー、強化バルブスプリング装着
・ノーマルピストンのスカート部を大胆にカットして軽量化
・ヘッド面研とブロック上面面研で圧縮比アップ
・ スライドカムスプロケでバルタイ調整
・クランクのバランス取り

 低回転はどうでもよい高回転のパワー&トルクフィーリングに振った仕様ですね。ワシ的には常用1万回転仕様ってのは面白いと思うんですがどうでしょう?フルノーマル仕様で70馬力オーバーを狙うというのもエンジン組みヲタクの方には面白いかもしれませんけどね。


熱対策 2003-9-21
 時期柄ぼちぼち涼しくなってくるのですが熱対策のお話です。(笑)
 ビートはKでMRでオープンという元々実現するのに無理のあるパッケージングがされているように思われます。その弊害として各部の放熱が十分ではない面がちらほら見受けられます。
 MR車のため、狭いエンジンルームの中に高回転エンジンが詰め込まれているので、低中速のワインディングや高速道路で高回転を多用した時に油温・水温が上昇して熱ダレ症状が出るのは経験された方も多いのではないでしょうか?

・大容量ラジエター
  油温と水温対策としてまず手を付けるのはコア増しラジエター装着が良いでしょう。ヤフオクでよく出品されていますが、ワシも使っています。一昔前の走り屋さんなら、まず後付けのオイルクーラーでしょ?と言われそうですが、ビートのE07Aエンジンのブロックをみると、冷却水の中にスリーブが浸かっているような構造になっており、エンジン全体の放熱カロリーを稼ぐにはラジエターの大容量化が有利にみえます。もちろんラジエターが車体前部にあるのでラジエター自体の放熱効率も良いですしね。実際に700ccなどの排気量アップをした際には必需品と言えるくらいの効果があります。
 アフター物のラジエターでは純正と同じ真鍮製のものとアルミ製のものがありますが、ストリートでの使用は真鍮製が最適かつ十分でしょう。フィンが細かく造れる分、走行風が当たりにくい状態での冷却(自己放熱)も期待できますから。アルミ製は素材の放熱性は良いのですが、フィンを真鍮ほど細かくできないために自己放熱性では今一歩でしょう。ただ、最近は純正でもアルミラジエターが採用されてきているので、その辺りのノウハウが生かされた商品が出てくればストリートでの使用が可能な高性能ラジエターとして選択肢に入ってくるでしょう。

・意外な油温対策
 次は後付けオイルクーラー‥と思いきや、その前にやることがあります。オイルパンのエキマニ付近の断熱です。ホンダ車のチューニングで有名なSPOONがEG6シビック辺りから行っている小細工ですが、ホンダのエンジンが他社製エンジンよりも油温が上がり気味になるのは排気管がオイルパンをえぐるようにレイアウトされており、ここでオイルが熱を受けているのでは?という考えの元に施工されているのだと思います。エキマニに断熱布を巻くという手法もありますが、ワシ流にはオイルパンのエキマニ付近に糊付き断熱シートを貼ります。
 余談ですが、排気管全体に断熱布を巻くのはワシは否定的です。排気熱が温存される為に排気ガスが高温のまま排気管内を流れることによる、排気ガスの運動性向上のため、抜けは良くなり高回転域のフィールは良くなりますが、逆に低回転域のトルクは落ちる事になる上、エキマニ後のマフラーにより高温の排気ガスが流れ込むため、マフラーを痛めてしまうのです。バックヤードのマフラーで実験した際、耐熱布無しではエキマニ後30cmくらいまでが最高で600℃を越えていたのですが、耐熱布を巻くと左右のタイコの1/3まで600℃を越えるようになります。

・後付けオイルクーラーあれこれ
 話が脱線しましたが、最後の手段は後付けオイルクーラーです。E07A自体がオイルクーラーを追加することを想定されていない容量のオイルポンプを使っているため、圧力損失を最低限に抑えるような配慮が必要です。また、後付けオイル配管からのオイル漏れには十分気をつけましょう。オイルフィルタ位置から配管をとり出す場合、漏れたオイルはエキマニに付着することになり、最悪の場合車両火災の原因となりますから。
 オイルクーラーには空冷コアを使用したものとシビックR等に純正採用されている水冷(市販品はコレの流用品が多いのでは?)のタイプがあります。オイル配管の短さでいえば水冷タイプでしょう。これに大容量ラジエターの組み合わせが理にかなっていると思われます。油温の水温への依存度が高くなるので冷間時などの油温が低い場合に逆に冷却水によって適温まで温めてくれるというオマケ付きだし。空冷タイプはクローズド走行が多く、とにかくオイルを冷やしたいという人に向くでしょう。ただ、オイル漏れ対策とクーラーコアのレイアウトに悩むことになると思いますが。
 まぁ、ワシ的には街乗りメインなら後付けオイルクーラーは必要ないと思うのですが‥。それよりもオイル交換のサイクルを短くした方が効果的に思えるので‥。

・エンジンルームの冷却
 エンジンルーム内の温度が異様に高いのもビートの特徴ですが、エンジンだけではなく、補機類やホース、ベルト等にも悪影響を与えるので対策したいものです。冷やすといえば感覚的に外気を導入することを考えがちですが、車速が上がるほどに抜け側の対策が効いてきます。ノーマルバンパーの方ならマフラーとリアバンパーの間にある遮熱板を外してみるのもひとつの手です。これはもう定番化していますね。さらにエンジンルーム内のエアを抜くには大きなダクトのあるデザインのリヤバンパー(BW-JAPANのやつとか)を装着したり、ノーマルをばっさり切ったり(プロサービスさん施工例)という手もあります。ダクト付きトランクに交換するのもいいですが、ダクト形状はある程度速度がのった状態で効くものなので、街乗り主体の人はダクトではなくただの穴に金網を張ったようなデザインのものが向くと思います。(palbeatさんの施工例)その他、トランク上部に電動ファンを設置して強制空冷をする人もいますね。ファンの音振対策を考えたらこれも面白いかも知れませんね。
 意外に効果があるのがHALFWAY製のリアスポイラーです。スポイラーとトランクの間にスリットを作るような構造になっており、速度が上がるにつれ、車体後部の負圧によってトランク上面のエアの流れを作ってくれるおかげでエンジンルームのエアの排出を補助するようです。
 エンジンルームに外気を導入する方法としては車体下部にある純正のエキマニ前にある導風板を大型化したり、ボディサイドのエアダクトに取り付ける導風板(プロサービスさんのクールインテークダクト)などがありますね。

・その他
 まだ熱対策を考えておかなければならない所があります。助手席後ろのドキュメントボックス裏にあるECUとメインリレーです。バルクヘッドを挟んだ反対側にエキマニがあるためかこの部分が高熱にさらされるようです。ワシのビートはご存知の通り「内装が無いそう」なんですが、数時間走った後にECU付近を触ってみると意外に熱を持っていることがあります。これがECUの電解コンデンサやメインリレーのトラブルの一因になっていると考えています。バルクヘッドとECU・メインリレーの間に断熱シートを貼るなりの対策をしておいた方が良いでしょう。ワシは内装のことを気にしなくて良いので、ECUの固定ボルトを長いものに変えてスペーサーをかまして30mm程度バルクヘッドから浮かして、メインリレーはステーをひん曲げて熱源であるバルクヘッドから遠ざけるように対策しています。
 あとは夏場の人間の冷却も必要ですね。オジサンにはエアコンは欠かせません。(笑)


タイヤ・ホイール周り(ツライチとホイールオフセット変更) 2003-9-5
 新車発売時から10年以上経過してしまったビートでは純正ホイールに純正タイヤを装着して乗っている人は少ないのではないでしょうか?特に当サイトを見に来られる方は、ドレスアップや走行性能を上げることを目的にホイールを交換したり、好みの銘柄のタイヤを装着している割合が高いのではないでしょうか?かくいうワシもホイールとタイヤはすぐに好みのものに交換してしまうのですが‥。

・ノーマルからタイヤサイズアップ、そしてツライチへ
 さて、純正ホイールはフロントが4.5J-13 off35、リヤが5J-14 off45の鋳造アルミホイール、タイヤは155/65-13、リヤが165/60-14のBSのRE87が標準になっています。社外ホイールとタイヤではフロントが5J-13 off35、リヤが5.5J-14 off45、タイヤは165/60-13、リヤが175/60-14辺りのサイズが定番となっています。高いお金を払ってホイールを組むならちょっと太くて見栄えの良いものにしたいというのは人情でしょう。
 ただ、中古車でビートを買って社外ホイール&タイヤが装着してあって、純正ホイール&タイヤの乗り味を知らないという人は機会があれば一度乗ってみると良いと思います。タイヤサイズとホイール幅の選定が絶妙で案外社外ホイールより軽快感があるのに驚かれるかもしれませんよ。意外にフルノーマルもあなどれません。(^_^)
  まぁ、社外ホイール&タイヤを組む時に、定番サイズで抑えておけばそれほどデメリットも感じないのですが、やはりツライチにしたくなる人も少なからずいるわけでワシもその一人だったりします。生粋の峠野郎&昭和車好きだったワシとしてはシャコタンとツライチは永遠のあこがれなのです。(笑)
 さて、そこでツライチにしようと考えた時、タイヤとホイールの横幅を太くする方法と、ワイドトレッドスペーサー等を使ってホイール自体を外に出す方法が考えられます。確かにこういう手法でツライチにすると格好は良いのですが、何かと弊害も顔を出して来るようになります。

・ホイールとタイヤの横幅を太くした場合
 ホイールの横幅を太くして、タイヤも横幅の広くする(ビートのフロントでいえば6J-13で175/60-13、リヤ6J-14で185/55-14とか)と当然タイヤの路面への接地面積は大きくなります。加減速やコーナリング時にタイヤのグリップ力に頼っていることから、接地面積の増大は一見メリットのように感じられるのですが、実はそうでもありません。接地面積が増加すると、その増加に反比例してタイヤの接地面圧(タイヤを路面に押さえつける力)が落ちてしまうのです。そのため、ウエット時などの低μ路で明らかに標準サイズに比べて絶対的なグリップが落ちてしまう場合があります。
 喫煙者の方はタバコの箱で実験してみてください。平らなテーブルの上で、タバコの箱を横に寝かせた状態と細長い面を下にして立てた状態で、それぞれ人さし指でそーっと押して見た時にどちらが人さし指に感じる抵抗が大きいでしょう?恐らく後者の方を抵抗があると感じるはずです。
 実例を挙げると、前のビートではリヤに5.5J-15 off45のホイールに195/50-15のタイヤを装着して、フェンダーの爪折りが必要なくらいのツライチ状態だったのですが、接地面圧の低下でオーバー傾向がでていました。某国道でKトラをよけ損ねて刺さったアレですね。(^^;)
 「 人のふり見て我がふり直せ」ということでくれぐれもワシみたいな目に遭わないようにしましょう。
 例外としてSタイヤでドライ路面でコンパウンドが十分溶けるくらいに発熱させた場合はSタイヤが溶けたコンパウンドの粘着力でグリップさせるという性格上、その状態でのみ絶対的なグリップは上がったりしますが、公道での使用を考えるとそういうシチュエーションはレアケースですね。とにかくコンパウンドに頼らずグリップを上げるなら接地面圧を下げすぎないタイヤ幅を選ぶのが賢明と思います。現実的には上述の定番タイヤサイズ辺りに落ち着くと考えています。 まぁ、タイヤやホイールは各人の好みもありますし、使い方にあった銘柄や好きな銘柄で乗るのが良いと思います。また、語り尽くされているネタなのでタイヤ銘柄については省略します。

・スペーサーでフロントのトレッド幅を拡大した場合
 さて、タイヤを太くしすぎると面圧の低下のデメリットがある。それならスペーサーでホイール全体を外に出せばトレッドが広がってグリップも上がってオッケーなのでは?と考える方もおられるかもしれませんが、実はこれもタチの悪いデメリットをもっています。
 フロントのトレッドを広げた場合、まず体感でわかるのはステアリングレスポンスの悪化です。わかりやすく言うとハンドルがぐにゃぐにゃするようなフィーリングになります。ビートのジオメトリーはフロントにホイールオフセットが35mmのホイールを履かせた状態でのステア時にきれいに左右のタイヤが並行になるようなジオメトリーになっています。スペーサーを入れて5mm以上トレッドを広げるとタイヤの切れ角が増すにつれ、左右のタイヤの並行が狂うようになる事に加えて、ハブ面からホイールが離れてしまう分タイヤがストラットを軸により大きな弧を描いて動くため、ステアリング中立付近のタイヤ切れ角の変化がダルになるのがフィーリング悪化の要因になっていると思います。最近のクルマはジオメトリーが良く考えてあるため、ホイールのオフセット値をノーマル値±5mm以内にした方が良いというのはそのためです。ビートのホイールオフセットも同様にこの鉄則を厳守した方が失敗は少ないと思います。

 というわけで、ステアフィーリングの悪化無しにツライチ化は事実上不可能であるという結論になります。

 余談ですがビートの発売当初、無限からビート専用ホイールなるものが発売されていましたが(例のクロモドラのパクリみたいなデザインの奴ですね)、デザインは個人的にはナニでアレなんですが、オフセットがリアはノーマルと同一でフロントだけ3mm外に出したoff32にしてあったのを見て感心したことがあります。要するにステアフィーリングを損なわない範囲でフロントのグリップを稼ぎ、アンダーっぽさを減少させるホイールたっだわけです。

・スペーサーでリヤのトレッド幅を拡大した場合
 ではステアしないリヤは大丈夫かというと、実はリヤもサスペンションがストロークするとトーイン方向にタイヤがトー変化するので例外とは言えません。スペーサーによるホイールの実質オフセット変更でトレッドを広げると、リヤの場合はストローク量でトーの変化量が決まるのでリヤサスペンションに同じ入力がされた時にはトレッドを広げた方がこのトー変化の影響を受けやすくなります。 かくいうワシもリヤ6J-14 off38のワタナベに15mmスペーサーを装着して実質オフセット23mmの状態で乗っているのですが、5速7000rpm以上でギャップに乗った際に過大なトー変化で車体が振られて怖い思いをしました。(^^;)
  車高調整式サスペンションでリヤのバネレートを上げるなり、ショックの縮み側減衰力を上げてサスストロークを抑制するセッティングで使うならそれはそれでアリかと思います。(それはそれでデメリットもあるんですがね。ちなみにリヤのトー変化の大きいAZ-1やAW11のMR2では定番のセッティングだったりします。)

・ワシの現状セッティング
 ではワシはどうセッティングするかというと、ネオバクラスのストリートラジアルを履かせた場合、

・フロントはoff32にこだわる。
(個人的にもノーマルに近いオフセットのフィーリングが好きですし。でも少し欲を出してアンダー抑制(笑)。)

・リヤはノーマルオフセット無視でワイドトレッド化でツライチにする。(だって格好良いから(爆)。)
(相対的にリヤのトレッドを拡大するとアンダー傾向が出るため、サスペンションの再セッティングが必要になる。)

・リヤのトー変化過大による高速安定性低下を補うためにリヤのバネレートアップorショックの減衰力アップ

 まぁ、ワシなんかより遥かに速いビート乗りの方々は、フロントのオフセットもノーマル値を無視してワイドトレッド化したりしてますが、アレはSタイヤを履かせてフロント内輪が浮くくらいのコーナリングが可能な神クラス限定のセッティングということです。タイトコーナーの多いクローズドでただマネをするだけではフロントタイヤの抵抗が増えるばかりですから。

・おまけ ワシ的ホイール考
 今はビートは休日のドライブ&通勤用がメインの使い方ですが、ミニサーキットやジムカーナなどのクローズドコースをガンガン走っていた時期もありました。しかしながら、軽量ホイールが嫌いなんです。バネ下重量の軽量化は車体重量の軽量化の何倍もの効果があるというホイールメーカーの謳い文句を見たことがある人は、なぜ?って思うかもしれませんね。かなりの軽量を売り文句にしているホイールってコーナリング中に意外にしなるんです。ワシはコーナーをバカみたいな速度で突っ込むのが好きな典型的な突っ込みすぎ野郎なんですが(笑)、コーナー進入時に、このホイールのしなりによるグリップの抜けたようなフィーリングが大嫌いなんです。そういう意味では純正ホイールのかっちりとしたフィーリングは大好きなのですが、もう少し幅があればなぁ。
 というわけで14インチで比べたら単体重量が6kgを越えるようなATSの6spokesとかアドバンRCとかRSワタナベの8本スポークを好んで使っているわけです。ここにも絶対性能よりフィーリング重視のワシの嗜好がでているわけですね。ヘタすると純正アルミより重いんですが。(笑)
 
 おまけのおまけですが、重量のあるホイールのもう一つのメリットとしてリム部の振れが出にくいということが挙げられます。ローラー式のシャシダイでパワーチェックをしたことがある方はご存知かもしれませんが、競技志向の軽量ホイールは、ちょっとしたギャップの乗り越えなどでリム部が歪んでいる個体が多いです。とはいえ±1〜2mm程度なんですが‥。しかし、そのリム部の振れのおかげで駆動ロスが1〜2kw程度出るのです。馬力換算で約1.4〜2.7馬力でしょうか。軸出力で40kw出れば御の字のビートでこのロスは無視できません。 その点、純正ホイールなどはかなり頑丈に作られており、この辺りの心配を全くしなくても良いです。純正ホイールの強度基準はJWAやVIAを遥かに上回るというのもうなずける話です。メーカーによってはホイールを試験機にかけるだけはなく、完成車での実走試験で評価しているとか‥。(60km/hで5cmの段差を乗り越える等)


内装チューン 2003-8-22
 カーペットや防音材をとっぱらっているワシが内装について語るのはアレなんですが(笑)、車室内はクルマとヒトとのインターフェースであり、気持ちいい走りを追及するワシにも無関係ではないのです。
 というわけで、内装をいじるならまずドライバーが触れる部分から手を入れていきます。

ハンドル交換
 まずは最初に行うのはこれでしょう。純正では急激なキックバックの緩和や高速安定性の確保、また、MR車を誰もが安全に操るために切り始めのレスポンスを落とすという目的でかなり重量のあるハンドルが装着されています。ここを交換することにより接地感を少しなりとも向上させる事が出来ます。
 さらに、手に触れる部分の固さや材質を自分好みにできるメリットもあります。ビートに乗る方の多くは皮巻きをチョイスするのではないでしょうか?(ウッドとかCAL系のビレットも否定はしませんけど(笑))

皮巻きにもいろいろあって、表側、バックスキン、パンチングメッシュ等があります。
・表側→ごく一般的なタイプ。耐久性があるが手に汗をかくタイプの人は滑る事もある。
・バックスキン→見た目からしてレース指向強い。吸湿性が抜群でグリップも最高だが、摩擦係数が大きいためカウンターを当てる際にハンドルを滑らせるような使い方をすると手が痛くなる。グローブをして使えば機能的には最強。
・パンチングメッシュ→表側に小さな穴を開けたタイプ。純粋な表側より耐久性的には劣るが吸湿性をもたせてある。

 あと、グリップ部の固さや形状も好みに応じて選びましょう。MOMOは柔らかめでナルディは固めとかありますね。ワシは比較的柔らかいのが好みです。
 というわけで、ワシはATCのパンチングメッシュを採用したディープコーンタイプのハンドルを使っています。

シート交換
 純正はゼブラ柄のハイバックシートで、この柄もビートの持つアイデンティティだという方もおられるようですが、正直言ってワシは嫌いです。(笑) デザイン的にも女性ユーザーに媚びすぎというだけではなく、とりあえず形だけのランバーサポート部、ショルダーサポートは皆無、クッション材の選定が乗りごごち重視で長距離では腰が痛くなるなど、純粋に走りを楽しむには少々辛いものがあります。ビートを買ったばかりの頃、オートポリスの走行会に行ったのですが、最終コーナー(高速コーナーです)に勢い良く飛び込んだら上体を思いっきりアウト側に持って行かれて助手席に手をつきながら回ったなんて事もありますし。(笑)
 そこで、ホールドもしっかりしていて乗り心地も良いシートに交換するわけですが、2シーターということでフルバケットシートを選択します。シートポジションがきちんときまればリクライニング機能は無くても長距離の疲れも関係ないですから。もちろんリクライニング可能なセミバケットシートでビートに装着可能なシートの選択肢は皆無なわけなんですけど。(^^;) というわけで、フルバケの選択肢ですが、
   ・パイプフレーム入り
    (COBRA、HALFWAYのG-fix、スパルコのSPEED等)
   ・FRPまたはカーボンモノコック
    (BRIDEのZETA系、スパルコのREV2、レカロのSP-G等)
などが挙げられますが、街乗り重視なら座面がクッション材とトランポリン構造の二段構えのパイプフレーム入りを選択するといいでしょう。ただし、シートポジションはノーマルと同等以上になることが多いので座高の高い人は要注意です。競技等クローズドコースを走る機会の多い人はモノコック形状のものが適しているでしょう。BRIDEのZETA系はノーマル並みのシートポジションですが、RSmachのローポジションアダプタなどを組み合わせるとかなり低めのシートポジションにする事が出来ます。重量が軽いのもポイントが高いですね。
 どちらにせよ、実際座ってみて自分に合うかどうかを見極めてから購入するのが良いでしょう。

シフトノブ
 密かにワシがこだわっているものの一つです。素材にこだわる方も多いと思いますが、ワシは夏熱く、冬冷たい金属製を代々使っています。汚れにくいし、何しろレーシーでやる気にさせてくれますから。(笑) デザイン的には丸形がいいとかスティック型がいいとか好みも多分にありますから自分の握りやすい形状のものを選ぶと良いでしょう。ちなみにワシはトラストの樽型のものを使っています。
 もう一つ大事なのはシフトノブの重量です。最近はカーショップ等で販売されているものにも重量の表記がされるようになりましたが、重量で選ぶというのもアリだとおもいます。某漫画でFD3Sの重量のあるシフトノブを流用するというネタがありましたが、ワシ自身はビートの持つシフトフィーリングを著しく損なうと思うので、この考え方には否定的です。確かに300gを越える重量のものなどは、ゆっくりシフトする分には比較的軽い力でシフトが入って良いのですが、4→3→2のように一気にシフトダウンするのが重くていやになります。かといってWRC車両についているようなデルリン材の軽量なものをつけると素早くシフトができる反面、シフト操作がガコガコとオモチャっぽい感触になりがちです。その点、純正シフトは適度な重さがあり、シフトフィールと操作性を両立できており、良く考えてあると思います。
  というわけでワシは純正より少し重めの重量のシフトノブを使っています。ワシ的なベストな重量は150〜180gであると考えています。

その他
 内張りなどに塗装をしたり、カーボン柄などのステッカーを貼る内装チューンを施されるビートも多いですが、これも面白いと思います。山口ビート組の組員の方でエアコンのルーバーまでイージーグラフィックスでカーボン柄にしている車両を見ると、ワシもマネしたくなってしまいます。(笑) こういう遊び心を盛り込めるのもビートならではでしょう。


アライメント調整のススメ(キャンバー調整編) 2003-8-19
 ノーマルではビートはキャンバー調整ができません。ワシもワインディングを走る分にはノーマルのキャンバー値が最もタイヤトレッドの接地面を確保できると思っていたのでいじろうとも思っていませんでした。
 しかし、RSmachのキャンバー調整式のピロアッパーを購入したので、せっかくだからキャンバーをいじってみました。
 いや、ホントに深い意味は無いんです。最初の動機は、タイヤが「ハの字」のクルマってかっこいいなと思っただけですから。(爆)

 ちなみにノーマルの標準値は
 フロント:-0.5°±1°
   リヤ:-0.5°±1° です。前後ともネガティブキャンバーが付いているわけです。

 ビートにピロアッパーを付けてポジティブキャンバーにするような奇特な人はいないと思うので(笑)、ネガティブキャンバーの話をします。
 キャンバー角を変更すると、構造的にトー値も変わってしまうので、キャンバー調整の後にトー調整をし直す必要があります。 フロントのキャンバー値を大きくした場合、(ワシの場合、-0.5°→-1.5°まず感じるのは直進時の接地感が希薄になる事でしょう。恐らく接地面積の減少によるものと思います。しかし、コーナリング時にはよくフロントタイヤが踏ん張り、接地感はしっかりしたものになります。コーナーは◎だけど、高速走行では△といった感じでしょうか?あちらを立てればこちらが立たず状態ですね。あと気になるのはブレーキロックが出やすくなる事です。イン側のタイヤのロックが早めに出るので気になる所ではあります。まぁ、デメリットを差し引いてもコーナリングのフィーリングの良さをとってこのままのセッティングにする事にします。Sタイヤを履いてミニサーキットを走った時にフロントタイヤの外側が異常に減るのを抑制できる効用も大きいかと思います。
 さて、フロントにネガティブキャンバーをつけると、フロントタイヤが食う分リヤタイヤのグリップが心許なくなります。ビートのリヤの足回りは複数のサスアームを使って、ストロークが変化しても常に対地キャンバーを理想的な値にして接地性変化を抑えるようなジオメトリーになっています。というわけでフロントと同様に-1.5°程度のネガティブキャンバーにしてみました。しかし、ガチガチにボディ補強をしてしまったワシのビートの場合、まだコーナリング中のリヤの踏ん張りが不足しているようでした。そこで思い切って目一杯ネガティブキャンバーを付けてみました。(恐らく-2°以上)うーむ、ええ感じにリヤタイヤがハの字になりました。(笑)
 そんなセッティングで走ってみると、タイトコーナーで恐ろしく小回りするようになりました。リアタイヤが踏ん張る分、今まで以上に切り足して曲がれるようになったせいでしょう。
 そこで、もう一つ得筆すべき変化が現れました。ボディ補強以後、サイドターン時に流れすぎて立ち上がり時にカウンター量を大きくとって立ち上がらなければならなかったのが、少しパワーを抜いただけでグリップが回復するようになったのです。サイドターンの最中はかなりリヤがロールするのですが、その状態でトレッドの接地面が大きくなるためだと考えられます。
 というわけで、フロントにちょっとネガキャン、リヤに激しくネガキャンのセッティングを気に入ってしまいました。
 動機は不純ですが(笑)、特にジムカーナやサーキット走行をビートで楽しむ方には有用なセッティングと思います。

というわけで今回のまとめです。

・キャンバーを変えるとトーも変わる。
・脳内理論だけではなく、実践してわかるメリットもある。
・ネガティブキャンバーを大きくするとコーナーの接地感は良くなるが、その分直進安定性や制動力が落ちるリスクがある。
・やっぱりハの字はかっこいい(笑)。
・街乗りメインならストラット取り付け部の長穴加工でネガキャンにするくらいがちょうどよいのかも?
(大昔のラリー車での常とう手段ですね。ターンバックル調整式のタワーバーを装着していたらこれもアリかも?)


アライメント調整のススメ(トー調整編) 2003-8-18
 以前書いた通り、ワシは以前AW11のMR2に乗っていました。このクルマはデビュー当時から競技ベース車両になる事を想定された造りをしており、前後のトーとキャンバーが調整できるようになっていました。(ST165のセリカもそうでしたね) 学生でビンボーだったワシは空き缶とメジャーと水糸を使って某埠頭でアライメントをいじっては走り倒してました。アライメント調整は金はかけずに手間をかける、究極のクルマ趣味とも言えます。 さて、ビートのアライメント調整ですが、調整できるのはフロントのトー値(タイロッド部分で調節)とリヤのトー値(コントロールアームの偏心カムで調整)くらいしか調整できません。

 ちなみにビートの標準アライメントは、
  フロント:トーイン0±3mm
    リヤ:トーイン1±3mm  です。

 当然ビートでもいろいろ試してみましたが、結局ベストはノーマル値が一番良いという結果に落ち着きました。
 このままでは「ふ〜ん」と言われればおしまいのでなぜそうなのかを説明したいと思います。フロントが基準値よりトーインを大きくすると、ステアリング中立付近のレスポンスが鈍くなってしまいます。さらに激しくトーインを付けると、ウエット路面で全く曲がらなくなるくらいアンダーが強くなったりします。また、ハードに走った際にタイヤ外側の偏摩耗が酷くなります。
 では、トーアウトにしたらどうかというと、中立付近の手ごたえは増して接地感も向上するのですが、トーインよりもトーアウトの方が走行抵抗が大きくなり、それが原因でリヤが流れやすくなってしまいます。トーインと逆でタイヤ内側の偏摩耗が酷くなります。
 というわけで、ワシ的なフロントのトー値のベストは0〜+1mmになったわけです。
 リヤはどうかというと、トーインを増大させるとタイヤ外側の摩擦が増加して発熱が促されるため、リヤタイヤのグリップが向上します。高速コーナーなどではこの効用は大きく、安心して踏んでいけるようになります。(相対的にアンダー傾向になるため体感的な安定感が向上します)しかし、低中速コーナーやジムカーナでのフルターンでわざとリヤを流すような走り方をした際にグリップの復帰が遅く、ヘタをするとコントロール不能に陥ってしまいます。ベタグリップで走るなら最大4mmまでのトーインは有効なのですが、ウエット路面でのリヤのコントロール性が悪化することを考えるとこれもお勧めできないセッティングです。前期NSXでは標準でトーイン5mm、さらにネガティブキャンバーのため、サイドスリップ値では6mm以上という激しいトーインが付いていますが、リヤタイヤの寿命が極端に短かったり、ウエットの高速走行の安定性に欠けるというデメリットが雑誌等で指摘されていたのを覚えている人もいるのではないでしょうか?
  では、トーアウトにしたらどうかと言うと、リヤタイヤの限界が著しくダウンします。ドライ路面でもちょっとしたきっかけでリヤが流れ出そうとする上、限界付近のフィーリングも希薄なため、コーナーを飛ばす時にかなりの恐怖感があります。唯一のメリットとしてはビートの癖として、ノーマルボディで標準のアライメントでは、フロントとリヤのタイヤがばらばらに動くようなフィーリングが拭いきれないのですが(具体的に言えば曲がる時にフロントとリヤのそれぞれのタイヤが横Gを発生するまでにタイムラグが出るんです)、これがきれいさっぱり解消されるという事でしょうか?しかし、低い次元でリヤが流れてしまう特性は公道では危なくて使えません。
 リヤはトーアウトはご法度で若干トーイン気味が良いということになります。ただ、リヤにはバンプインの特性もありますから±0mmでも良いというわけで、 リヤのトー値のベストは0〜+2mmになるわけです。
 結局ノーマルの標準値に収まるわけです。(笑) 当然、この値が誰にでも通用するかといえばそうではありません。バネレートやショックの減衰力も違えばボディの補強の有無もあるし、何より乗り方が千差万別ですから。いろいろ試してみて自分のベストのアライメント値を出してみるのも面白いかと思います。ヤフオクで簡易アライメントゲージも出ており、こういう測定器具を使うと思いの外に調整作業が楽になるのでオススメです。あとRSMachさんのリヤピロコントロールアームはリヤのクソ面倒くさい偏心カムの調整から解放してくれる逸品です。そうそう、アライメント調整は平坦な場所でやりましょう。

  というわけで、本日のまとめ‥というか、アライメントのいじり方です。

・トー値は少しづつ変えて様子をみる。(フィーリングの違いをよく覚えておきましょう)
・違いが感じられない場合は標準値に近い値を使う。または以前のセッティングに戻す。
・わけがわからなくなったら標準値に戻す。(意外に新たな発見があります)
・リヤのトーアウトは絶対にしない。(いざという時刺さります、マジで)
・激しく走り込んだ後にタイヤを触って温度差をみる。ただし、ヤケドに注意するべし。(笑)
(偏摩耗させてしまうようなセッティングでは減る側が明らかに熱くなってたりします)
・意外と標準セッティングって(・∀・) イイ!


ボディ補強パーツ(マッスルフレーム編) 2003-8-17(製品名称・仕様変更にともない2004-1-13変更)
 仕上げの良さと効きの確かさでプロサービス製のマッスルフレームに関心をもっている走り系ビートオーナーの方は多いのではないでしょうか?
 かくいうワシも試しに買ったマッスルフレームをすっかり気に入ってしまって、結局ことごとく購入してしまった一人です。(笑)
 理屈的な事はhttp://pro-service.co.jp/body.htmlにアップされているのでそちらに譲るとして、実際に使用してみてのオススメ度を検証してみたいと思います。製品ラインナップはhttp://pro-service.co.jp/p-body.htmlを参照してください。

 さて、これまで使ってみた体感度は以下の通りです。

現行 MFF2 旧型MF02 体感度小(操縦性の変化が穏やか)(気軽に勧められる)
   MFF1   MF01     ↑
   MFF4   MF03
   MFR1   MF07
   MFF3   MF04
   MFC1   MF05     ↓
   MFF5   MF08 
体感度大(操縦性が劇的に変わる)(乗り手にある程度のスキルを要求する)

 次は各マッスルフレームの特徴です。

MFF1(旧MF01) & MFF2(旧MF02) & MFF3(旧MF03)(フロントフレーム&ロアアーム補強)
基本的にステア時の正確さが得られるパーツです。旧MF03を装着するとかなりフロントタイヤが粘るようになりますが、その反面、リヤタイヤの流れ出しを誘発しやすくなるので後述のMFR1(旧MF04)の装着は必須です。
※現行型MFF3は旧MF02とMF03を溶接補強したもので、フロントアンダーフレームの補強パーツとして最強ですが、ドライバーの操作をダイレクトに反映する分、楽しい反面シビアな面もあります。


MFR1(旧MF04)(リヤフレーム補強)
リヤタイヤの挙動を安定させる効用が大きいです。単体で付けてドライ路面でリヤタイヤを流すのは至難の業でしょう。逆にウエット時などで流れた際のコントロール性も向上させるので、ある意味イチオシパーツですね。

MFC1(旧MF05) (ボディ中央部フロア補強)
フロアのスポット増し以上のボディセンター部の剛性が得られます。ボディ全体のよじれを減少させるので体感度は非常に大きいです。ジムカーナ等のフルターンでの車体の動きが機敏になる等のメリットがありますが、アンダー・オーバーの出方がシビアになります。(車両本来の特性が助長されるようになります)場合によっては車高やショックの減衰力などのセッティングの見直しも必要になってきます。

MFF4(旧MF07)(一体式フロントストラットタワーバー)
一体物のタワーバーですが、32φという極太パイプをメインに使っているのでこれだけでも十分な剛性感が味わえます。HALFWAYの4点タワーバーと同等以上の剛性が得られるといって過言ではないです。

MFF5(旧MF08)(一体式フロントストラットタワーバー+フロントフレーム補強)
見た目も反則ですが、乗ってみるともっと反則です。(笑) 拳半分もステアすればパキッとコーナリング姿勢に入ります。ハンドルをこじる癖のあるドライバーにはそれだけでスピンを誘発する可能性もあるのでお勧めしません。MFC1(旧MF05) と組み合わせると最凶‥いや最強です。オープンのくせにAZ-1を越える刺激的なハンドリングが味わえます。

 オフラインミーティングなどで質問された際に、「興味はあるが自分にとってどのマッスルフレームを装着してよいかわからない」という話を良く聞きます。 そこで、以下のようなセットメニューを考えて見ました。

・街乗りメイン(Aスペック)→ MFF2(旧MF02)+MFR1(旧MF04)+MFF4(旧MF07)
 街乗りといえどMFR1(旧MF04)は欠かせないアイテムでしょう。リアをド安定させた上でMFF4(旧MF07)のタワーバーでクイックさを演出できると思います。

・峠・ワインディング(Bスペック)→ Aスペック +MFF1(旧MF01)+MFF3(旧MF03)
 フロント部をさらに補強してステアの正確さにニヤリとできる仕様です。旧MF03を組み合わせると比較的ドライバーのスキルを問わず「曲がるボディ」にできると思います。現行MFF3を組み合わせるとダイレクト感は増しますが多少荷重移動にシビアになります。

・ジムカーナ・サーキット(Cスペック)→ MFF1(旧MF01)+MFF2(旧MF02)+MFF3(旧MF03)+MFR1(旧MF04)+MFC1(旧MF05)+MFF5(旧MF08)
 いかにも競技車両的な動きをします。全開するならクローズドで&車高調整式サスペンション+Sタイヤ推奨。アライメントを調整できるとさらに楽しめます。AZ-1を越える刺激的なハンドリングを味わいたいとか、カートのような挙動を楽しみたいという確信犯なアナタにもオススメです。

 というわけで今回のまとめです

・前と後ろ、上と下を結ぶ補強パーツは両刃の剣
 (具体的に言えばMFC1(旧MF05)とMFF5(旧MF08)です。操縦性は劇的に変わります。AZ-1の操縦性が怖いという人はやめたほうが賢明です。)
 (そのかわりレスポンス良くノーズが入り、コーナリング速度が向上する様を味わうと病みつきになってしまいます。)

・操縦性が大きく変わるパーツを装着した際は特性に慣れるまでは十分注意して走行するべし
 (基本的にメカニカルグリップが想像以上に上がるので限界を超えるのはパーツ装着前より高い速度域で起こるようになるためです。)

・マッスルフレームは前後の補強は同時装着がベスト
 
(前だけor後ろだけの装着は大きくステアバランスを変える可能性大です。)


吸気系 2003-8-14
 昔からホンダのエンジンは良く回ると形容されますが、ホンダは他社に比べてエンジンに手間暇をかけて開発しているといえます。クランク一つとっても、シャフトのぶれ誤差、真円度、メタルクリアランスと他社製エンジンより精度が高く、こういった小さな事の積み重ねが良く回るエンジンを作り出しています。 えーと、吸気系の話なので吸気系の話をします。(笑)

レゾネーターの本来の役割
 NA(ロードスターではなくて自然吸気)のクルマの吸気配管をいろいろ観察してみると配管の間やエアクリーナーケースにこぶのような部分がある事に気付かれると思います。これを一般的にレゾネーター(レゾネーターチャンバー)と呼ぶのですが、これがどのような意味を持つかというと、レシプロエンジンは吸気と排気を繰り返すわけですが、吸気配管では「吸って、止めて、吸って、止めて」の繰り返しになるわけです。
 その結果、吸気配管内の空気に脈流が生じるわけです。血管内を流れる血液を連想してもらえれば良いでしょう。この脈流によって吸気配管から吸気音が生じます。2輪、4輪メーカー共にこの吸気音対策をしているわけです。2輪では排気量の10倍以上もの容量をもつエアクリーナーボックスを持たせるケースが多いです。(原付きのキャブを交換して純正エアクリーナーボックスを廃止したら排気音より吸気音がうるさくなったという経験をした人もいるのでは?(笑))排気量の大きな4輪ではそんな事をしたらとてつもなく巨大なエアクリーナーボックスが必要になるのでそういう手が使えません。そこでレゾネーターの出番です。
 吸気配管内に小部屋(チャンバー)を作り、エンジンの圧縮、排気行程で吸気が行われていない時にこの小部屋に空気を貯めておいて吸入行程時に一気に吸わせる事で吸気配管全体の流れを均一にして吸気音を低減させるのがレゾネーターの役割なのです。

レゾネーターのもう一つの効用
 さて、吸気音低減デバイスとして生み出されたレゾネーターですが、最近のNA車(特に平成以降)ではもう一つの効用を生かす取り組みがされています。前述の「吸気配管全体の流れを均一にする」はたらきです。吸気配管に一定の流れが生まれると空気の慣性によってエンジン内に空気を押し込めるという効用が期待できるのです。(これを慣性過給効果といいます)ホンダはこの効用にいち早く気付いたメーカーといえます。「ホンダのクルマのエアクリーナーを換えると遅くなる」と良く言われるアレですね。

ビートの吸気系
  平成のホンダ車であるビートもその例外ではなく、容量の異なる2種類のチャンバーをもつ複雑なレゾネーターを持っています。ビートの場合はエンジン自体を高回転型にしておいて、不足する低回転域のトルクをレゾネーターの慣性過給で補うという手法をとっています。フィルタが剥き出しのオープンタイプのエアクリーナーを装着すると吸気音はがぜん勇ましくなるけど出足が悪くなるという経験をした人もいるのではないでしょうか?ビートのエアクリーナーボックスは形状・容量とも絶妙に計算されており、レゾネーターで作り出した慣性過給とエアクリーナーの圧力損失がプラマイゼロになるようになっているようです。ついでにいえば、純正エアクリーナーのフィンがボックスに入った空気を整流する役割を持たせてあったり、エアクリーナーボックスの内部の流れを計算して各気筒に偏りなく空気を導入するように流体力学を駆使した設計がなされています。

ワシ流吸気系のいじり方
 上記のようにビートの吸気系は高度なバランスの上に成り立っています。ここに手を入れる事はノーマルの持つバランスを崩す事になります。吸気系をいじる際はそういうリスクがある事を知っておいても損ではないと思います。

  それじゃ、吸気系はいじらないほうが良いかって?いえいえ、ワシがそんな事言うわけないじゃないですか。(笑)
 ただ、ジムカーナやミニサーキットでタイムを極めたい人にはノーマル吸気系が良いかと思います。実際速〜いビート乗りの方々はノーマル吸気系の人が多いようだし。走行会などで速いビート乗りをみかけたら「エアクリ何使ってます?」って聞いてみるといいです。
 ワシはヘタクソでタイム出すのは苦手なので自分が気分良く走れることを重視したいと思います。というわけで、「吸気音がそこそこ聞こえて高回転のレスポンスが良い吸気システム」 を目標にしたいと思います。
 まずはレゾネーターの廃止です。これだけうんちく垂れておいてソレかい!という突っ込みは却下するとして(笑)、外してみるとわかるのですが、確かに低回転域のトルクは落ちるのですが、これがエンジン本来の素の特性なんです。下から上までのスムーズなトルク変動はこれはこれで面白いです。何より吸気音が聞こえるようになるのはやる気にさせてくれますし。(笑) 吸気音マンセーな人にはRSmachさんやプロサービスさんのエアクリキットを装着してみるのも面白いかもしれません。
 問題なのはこれだけでは低回転からのスタート時がとろくさくなる事です。というわけで下のトルクを多少なりとも向上させるハメになるわけです。ノーマルの持つバランスから自分流のバランスを再構築するわけです。具体的にどう企んでいるかというと‥

 ・まず手軽に出来る方法としてはみつさんファンネル装着でしょう。長さによってトルク特性が変わってくるのでその辺はお好みで。
 ・エアクリーナー自体は整流効果も期待してノーマルを使用します。(予算的余裕があればHALFWAYのマイティフィルター装着)
 ・HKSのパワーフローのフィルタを外した配管&ファンネルを流用する。
 (エアクリボックスへのエアの導入はできるだけエンジンルームの熱い空気を吸わせたくないので)
 ・塩ビパイプ等を加工してエアの導入口を出来るだけ伸ばす。
  (配管を長くして脈動を減衰させてやるわけです)
 予算があれば38φビッグスロットル装着
  (バイクにハイスロットルを付けた時のように見かけ上の低回転のトルクの無さをごまかすという意味で)
 さらに予算があれば大容量エアクリボックスをワンオフ(ARCのエアクリのような箱形タイプ)

こんな感じでしょうか? 吸気系変更はECUの燃調にも関わってくるので程々にやるのがコツと思います。


排気系 2003-8-11
 いかにも軽自動車然とした排気音がノーマルビートの持ち味でもあるのですが(これはこれでいいのですが)、趣味クルマとして見た場合、「やる気」の出る排気音は不可欠でしょう。ただ、ビートのオーナーは比較的いい歳のオジサン(爆)が多く直管系の爆音マフラーはちょっとね〜という方も多いのではないでしょうか? ワシとしてはライトウェイトなビートにふさわしい軽快な音質のマフラーが欲しいのです。重低音系が嫌いという話もあるんですが。
(具体例を挙げると市販品ではRSmachのGTステンレスマフラー、HALFWAYのTTH-12、FGKのレガリスKのような音質が好みです。)
音量ではなく音質にこだわりたいのですが、音質や性能にこだわると、どうしても音量が大きめになってしまうのは否めません。 かくいうワシも市販品マフラーでは飽き足らず自作したりもしているのですが、性能をキープして音量を抑えるのは難しいものだと感じています。高音系にしようと思ったらある程度の排圧を確保する必要がありますし。個人的には管長とパイプレイアウトだけでは音量を抑えきれないと感じています。

 もう一つこだわりたいのはエンジンのトルクフィーリングです。車検対応を謳っているマフラーの多くは高回転域で糞詰まり気味になりがちです。複雑な隔壁構造で排気の流速を極端に落としているものや、サイレンサー・パイピングの内部に笛状の板を仕込んだり、フランジ部の内径を絞り込むなど、各社それぞれ音量を下げる細工が施してあります。同時にこの手のマフラーはトルクピークが比較的低い回転域で出るようになるので低回転域のトルクも稼げるのですが‥。
 オートマックや5ZIGENの隔壁タイプはこの特性を逆手にとっていて、比較的低い回転域でトルクピークに達してそのまま落ち込みなく高回転までトルクがキープされるので乗りやすさと速さが両立できるのですがそれではブン回す楽しみというかありがたみが薄れてしまいます。
ワシ的には回転にリニアにトルクの上昇するフィーリングに持っていきたいなぁと考えています。絶対的なパワー&トルクよりも高回転にいたるまでのドラマが欲しいわけです。 さて、妄想ばかり言っててもしょうがないので現実的な話をします。(笑)
高音系の音質と控えめな音量を両立するのは確かに難しいのですが、この理想に近づけるにはどのような手法があるか考えてみました。

・薄肉パイプ&サイレンサーを使用、実際は薄肉ステン45φ〜47.6φが現実的か?
  (要するにサイレンサー&パイピングの共振音で高周波の音を演出するわけです)

・性能を維持できる最も細径なメインパイプを使用する
 (ある程度の排圧を稼がないと管楽器系のきれいな高音が出ませんから。DQNカーがゲボゲボ言わせてるのと逆の手法です。(笑))

・排圧を上手くコントロールする隔壁タイプのサイレンサー
 (サイレンサー自身の共鳴音を生かすなら容量は車検対応マフラーより小さめの方が良いでしょう。)

・もしくは直管系で直列ツインサイレンサー
  (ストレート構造で管楽器系の音を演出して、サイレンサー容量を増やして消音効果を高めるわけです。)

 ワシ的にはストリートユースで考えたら薄肉で隔壁タイプの小容量サイレンサーが一番現実的かな?と思うのですがどうでしょう?


足回り・ハンドリング 2003-8-11
ノーマルの基本セッティング
 ノーマルではキャラクター上安定性重視、悪く言えば簡単にアンダーの出やすいセッティングになっています。具体的にはリヤタイヤにバンプイン(ストロークするに従ってトーインが付く)やフロントにアンチノーズダイブ(ブレーキング時にフロント部が沈みにくい)のジオメトリを採用したり、フロント部の剛性を落としたり、ブレーキバランスを前効きにしたりして、リヤタイヤが限界に達する前にフロントの限界が早めに出るような印象を受けます。接地感
 普通車に比べると各タイヤの接地荷重は小さい(フロントなどは一輪当たり150kg程度)上に、上記のセッティングのためフロントタイヤの接地感に乏しいきらいがあります。フィーリング重視の立場をとるワシにとっては接地感の向上は押さえておきたいと思います。以前某氏のマツダスピードのジムカーナ仕様のNA6ロードスターに試乗した際の接地感の素晴らしさに驚かされた覚えがあり、なんとかあの接地感をビートで味わえないものかと思っています。目標は「舗装の目の細かさや、500円玉を踏んだ感触ががステアでわかる接地感」ですね。

ステア特性
 前述の通り、ビートはアンダーなセッティングです。しかし、ワシ自身、巷にありがちなアンダー=悪という偏見はありません。きっちりフロントタイヤに荷重をかけて曲がれる状況ではむしろアンダーなクルマの方がコーナリングスピードは速いですし。ABCでもビートよりもカプチーノやAZ-1の方が曲がると評されてましたが、同じワインディングをある程度飛ばして走った時の安心感はビートの方が断然上です。もちろんリヤタイヤが食う分、フロントの動きにさえ注意を払っていればそこそこのペースで走ることが出来るというメリットもあります。

 というわけで、ビートを買ってしばらくはノーマルの足でアンダーを出さないように走り込むことで非常に有効な荷重移動の練習ができると思います。

 しかし、ワインディングを走り倒したり、ジムカーナやサーキット走行にはまってしまうとアンダーパワーなビートの場合、どうしてもコーナーでスピードを殺さずにクリアできるか?ということを追及するハメになります。そこではじめてもう少しアンダー傾向を弱めてブレーキでの荷重移動を使う機会を減らすセッティングが有効になるわけです。ワシのバヤイは元々AW11のMR2乗りだったのでビートはド安定と感じており、少しくらい危うい方が面白いかな?と思ってるところもあるのですが。(笑) 誤解しないでもらいたいのですが、オーバーなセッティングにする方法はいくらでもあるのですが、それをやったからといって速くなるわけでも無いし、それが楽しいかどうかすら分からないということです。MRであるビートを安易に公道でオーバーが出るようにしてしまったら命がいくつあっても足りません。実際刺さったし。(笑) 高速道路等での緊急回避で急にハンドルを切った時にいきなりスピンモードになったらしゃれにならないです。リアの限界を落としてオーバーにするのではなくて、フロントのグリップを上げるという方向性ですね。

 ただし、リヤに比較的大きなトーインの付くセッティングのクルマは往々にしてリヤが限界を超えてしまった時にコントロール不能に陥りやすいという罠があります。NSXがウエット路面で怖いというのはパワー的な問題だけではなく、ビートと同様のジオメトリーをもつためですね。リヤを流れた時のコントロール性重視するという場合はこの辺りにも手を入れる必要があるでしょう。

 そこで、セッティングの方針としては‥

・極力接地感が得られるようにする
 (フロント部の剛性アップやキャンバーセッティングで設置面積を稼ぐだけではなく、高剛性なホイールを使用するのも効きますね)

・比較的に低荷重の状態でもノーズが入る。ただし明確なオーバーセッティングではダメ。
 (ビートの持ち味であるリヤタイヤの接地の安定性は残したいですね。バネレートは控えめに抑えて、アライメント調整がキモになるでしょう。)

・リヤタイヤが流れた際のコントロール性を重視する
 (アライメント調整だけではなく、LSD装着やリヤフレームまわりの剛性アップも効果的ですね)

‥とまぁ、こんな感じに仕上がったらいいなぁと思っています。