「ああ、正面から見ても第5頸椎、割れてますね。ほら矢印の所でたてに真っ二つですね。」
「どういうふうに、割れているのですか?」
「そうですね、四角い氷を金槌でゴンって叩くと、ぐしゃって割れるでしょ。そんな感じですかね。
あなた頭がとても重いと言っていたのは、この割れた骨が頭を支えきれなくなっているからです。」
「そんな感じですか.....? で、きれいに治るんですか?」
「ダメですね。このままです。」
「このままって、このままじゃ困りますが....。ど、ど、どういう治療を.......。」
実際は縦に割れているのが確認できる。しかし、自分のがい骨ってこんな人相をしているのね。ちょっと気持ち悪い。
「治療ですか?そうですね。とりあえず、このずれた第5頸椎を元の位置に戻すために、頭蓋牽引というのをします。頭を引っ張って首の骨を伸ばします。そうして、骨が元の位置に戻ってくるのを待ちます。」
「そんなもんで、骨がもどるのですか?」
「わかりませんが、たぶん......。」
「もっと、手術をして骨を整形して治すようなことはできないのですか。」
「できますが、首の後ろは神経の集中するところ、もし手術の途中に神経に当たらないとも限りません。成功率は50%以下でしょう。」
「失敗したら、それで終わりです。」
「わかりました、簡単なやつでいいです。でも、それでは砕けた首の骨は、元の四角い形にもどるんですか?」
「もどりません、そのままです。砕いた氷をもう一度そのまま凍らせたら、だいたいそれぞれの固まりはくっつくでしょう。そんな感じですかね。」
「そのままで、いいんですか、大丈夫ですか。心配だなあ。」
「まあ、やってみましょう。簡単な手術ですから。」