【観音菩薩】

観音は古代インドのサンスクリット(梵語)ではアヴァロキティシュヴァラ。

漢訳の経典では、光世音・観世音・観世自在などと訳され、玄奘三蔵は、観自在と訳した。

日本における観音信仰は、大化の改新のころから観音像が見られることから、飛鳥時代には伝
来していたとみられるが、仏や菩薩のご利益の特徴が理解され始めるのは、奈良時代になって
からのようである。

当初は鎮護国家の利益を期待した天皇や貴族たちの観音であったが、『 日本霊異記』にある
観音の節話のように、観音の名を称えれば七難からまぬがれるといった、危難を救い利益を与
えてくれる菩薩として民衆のものとなって行ったようです。

観音経に説く観音の利益は観音の名を称えることにより、火・水・風・刀杖(とうじょう)・羅刹枷
鎖(かさ)・怨賊(おんぞく)の七難を逃れ、また観音を心に念ずることにより、貪(どん)・しん・痴
の三毒を離れるという。そして観音を礼拝すれば、二球両願を満足させるという、至れり尽くせり
の現世利益 をいいます。

また更に観音は、救うべき相手に応じて仏身のほか王や龍や夜叉に至るまで、三十三種類の
姿に変えてまで衆生を救う『観音の三十三身』の方便力を駆使するという。

自在の力で人々とのあ らゆる苦悩を救うのである。
初期の観音は大変シンプルな形のいわゆる聖観音だったようだ。

観音経は観音の三十三身として、時と場合によって三十三に姿を変えることを説いているが、観
音そのものの姿については説明していない。
しかし阿弥陀信仰の経典『無量寿経』や『観無量寿経』では、観音菩薩と勢至菩薩が阿弥陀如
来の脇侍となり、極楽浄土に住む菩薩の中で最高の地位にあると説き、観音の頭の上の宝冠に
仏の化仏があると記載されている。

このことから、後年この化仏は阿弥陀仏であるといわれるようになった。
6〜7世紀からはこの聖観音を基本型として、千手や十一面などの様々な変化観音が現れ、平
安時代には李駆動六道輪廻から六観音信仰(十一面、千手、聖、如意輪、馬 頭、准胝または
不空羂索が盛んになった。

西国三十三所は、これらの観音を巡礼していくのです。


【不空羂索観音】

不空とは、信じれば必ず願いが叶えられるという意味。

羂索とは、投げ縄状の武器のことで、観音が慈悲の羂索で、もれなくすべての人々を
救うことを示している。

ただこの観音が重んぜられたのは鎮護国家の利益 にあった為、民衆の信仰としてはあまり広が
らなかった。


【聖観音】

観音の基本的な形である。

観音と言えばこの聖観音の形しかなかったが、その性格や利益を具体的に強調した様々な形
へと変化して、変化観音が生まれてきた。
そのため、それと区別する意味で聖(正)観音と言われるようになった。水瓶(すいびょう)や蓮華
の蕾を持つものが一般的で、ほう宝珠を持つものもある。

阿弥陀如来の脇侍の観音は聖観音である。


【十一面観音】

面の数は、本面と合わせて十一面が普通で、本面の上に十一面をのせている場合もある。

面相は、穏やかと憤怒があり、荒ぶる神と治病神の二つを兼ねたヒンズー教の神の仏教化だ
といわれる。

また全方向に顔を向ける観音の徳性をを表しているともいう。
十一面観音の利益は、七難を免れ、財物衣服が満ち足りる十種勝利と、生命が尽きる時に諸
仏にまみえ、地獄におちず、極楽に往生出来るという四種果報が有名です。


【千手観音】

千手千眼観経によると『一切衆生を利益し安楽ならしめる為に、身に千手千眼をしょうぜじめよ』
と願ってこの姿になったという。

千の慈眼で衆生をみつめ、千の手で衆生を救う。
無限を示す千という数字が表すよう に、変化観音の姿を考えられる限り発展させて、観音の慈悲
が無限であることを最大限に表現してい る。

西国三十三所の本尊は、千手観音が16体を占め、日本の観音信仰におきな比重を占めている
ことがわかる。


【馬頭観音】

その憤怒の形相から観音、あるいは菩薩には相応しくないという印象があるが、観音には慈悲
の方便として、怒りや力の面があり、馬頭観音は、観音の持つ性格のその部 分を強調したもの
だといえる。
馬頭観音は諸悪を食い尽くし、日輪となって闇を照らし、悪趣を絶つことを本願とする。

しかし後には、その形相から我が国では馴染まれず、馬頭を戴く為か馬や家畜の守り神とされ
た。


【如意輪観音】

如意輪とは如意宝珠宝輪の略である。

意のままに珍宝を出すという如意宝珠に、煩悩を砕く宝輪の力を加えて、衆生の苦しみを救い、
富や力や智恵を願いのままに授けるという、物心両面に利益のある観音で ある。

如意輪観音は、立像よりも坐像が多く、普通は手が6本で、足をくずして右の一手を頬にあて、
衆生救済の思いにふける。他の手では如意宝珠、宝輪、蓮華、念珠などを持ち、優しさと法力を
表している。


【准胝観音】

准胝は母性を象徴するといわれ、准胝仏母、七具胝仏母などとも言われる。

このことから観音信仰に、女神の影響を与えようとする説もある。准胝とは、千万または億を示す
古代インドの数の単位で、七具デイは無限大を意味 する。
七具仏胝母は、悟りを得るために陀羅尼を称えた過去の無数の仏の母で、陀羅尼を称える信者
を守護する。

醍醐寺を中心とする真言宗小野流が、安産・子授けの観音として信者を集めた。