多くの平安文学に登場
 第十三番札所  滋賀県大津市 

第十三番札所 石光山 石 山 寺
( いしやまでら )
#13 Sekkouzan - I s h i y a m a d e r a - T e m p l e
● 御詠歌 ●

『後の世を願う心はかろくとも 仏の誓ひおもき石山 』


本尊 如意輪観音菩薩 開基 良弁僧正
宗派 真言宗 創建 奈良時代後期(8世紀半ばごろ)
住所
滋 賀 県 大 津 市 石 山 寺 1丁目 1−1
交通
京阪石坂線石山寺駅から徒歩約10分。
JR琵琶湖線石山駅からは、京阪バス南郷
洗堰方面行で石山寺山門前まで約10分。
電話 077−537−0013
名神高速の瀬田東ICまたは瀬田西ICから
京滋バイパス側道に出て瀬田川を渡り国道
422号線を右折して約1km。
拝観料 400円 駐車場
山門南に市営石山寺駐車場、約100台。
500円。









瀬田川を前にする山門 木立を背に優美な多宝塔

琵琶湖の一部とも言える瀬田川。
この川にかかる瀬田の唐橋は、古くからの交通の要衝でした。
第13番札所石山寺は、瀬田川のほとりにあります。

『石山の秋月』は近江八景

琵琶湖から流れる出す瀬田川の西岸、伽藍山の山腹に広がる石山寺。
平安時代、貴族の間で大流行した『石山詣』で今も賑わう名刹です。

広大な境内には四季折々の花が咲き『花の寺』としても有名で、さらに紅葉のスポットとしても人気があります。

石の山の上に立つ寺だから・・・

石山寺はとても簡単にお参りできるお寺です。
駐車場もすぐ近くにあり、お土産の売店も山門前にあって、ふらっと来てお参りできる、そんな感じの札所です。

道路に面した仁王門(東大門)は建久元年(1190年)の建築で日本に現存する門としては、古いものの一つだそうです。

境内には天然記念物に指定されている硅灰石(けいかいせき)があちらこちらに露出し、本堂も硅灰石の巨大な露頭の上に建てられています。

寺を開いた僧、良弁(ろうべん)は東大寺の創建者。
東大寺の建築資材は琵琶湖周辺の山々で調達され、ここ石山を中継基地として奈良へ運ばれたといいます。

そのせいで(木材調達の影響で?)今でもこの付近の山々はハゲ山に近い山が多いと思います。
見晴らしが良いことから『金勝(こんぜ)アルプス』と呼ばれ、ハイキングコースになっているくらいです。

国宝の本堂は、舞台造り

寄せ棟造りの石山寺本堂。
国宝本堂の外陣は、桃山時代の慶長7年、豊臣秀吉の側室・淀君によって建てられたものです。
谷川の上にのしかかるような舞台造りの堂々とした建物です。

石山寺には、こんな言い伝えが残っているそうです。
それは、開祖良弁僧正は大仏建立に必要な金を得るために、聖武天皇の念じ仏である金銅の観音を申し受け、石山の石の上に安置し祈願します。

すると陸奥の国から金脈が発見され、黄金が奉納されたといいます。
喜んだ良弁は、あらたに丈六の如意輪観音像を彫刻します。

この像の中に金銅の観音を納めようとしますが、石から離れません。
そこでその石の上に伽藍を建立し、二臂如意輪観音の体内におよそ6寸の金銅の観音を納めたのです。

本尊・二臂如意輪観音は、秘仏です。
巡礼者が拝することが出来るのは、本尊のお前立ちです。

平安文学の中に数多く登場する石山寺

紫式部が、あの『 愛と罪 』をテーマにした貴族社会の一大叙事詩、『 源氏物語 』を、この石山寺で書き始めたのは有名です。
その書き始めた部屋『源氏の間』が、本堂の一隅に残っているそうです。

私のつたない源氏物語の知識で考えるのですが、この物語を読むにつけ、平安時代と現代との共通点や「そうそう・・・」という気持ちは、何百年・何千年を経ようとも、人間の持つ不変の『人間の性(さが)』を感じます。

しかしながらもう一方での、その何百年・何千年の間の数知れぬ移ろいゆく『人間の生と死』を考えると、仏教の真髄を?見る思いがします。

昔から石山寺は文学と縁が深く「源氏物語」のほかに「枕草子」・「更科日記」・「宇津保物語」・「和泉式部日記」などに石山詣の話が登場します。

平安時代の女性にとっても石山寺は、きっと心ひかれる霊場だったのですね。

また芭蕉に『夕月は二つ有りても瀬田の月』の句があるように、石山寺から約2キロほどのところにある幻住庵で過ごしていたころの芭蕉は、たびたび石山詣をしています。

毎月18日は、『牛玉さん(ごおうさん)』

明治まで催されていた石山寺の観音様、通称『牛玉(ごおうさん)』の縁日。

その往年の賑わいを現在に復活させようと、地元有志の会(石翔倶楽部)の運営で、毎月18日、山門前で行われているのが、門前市『牛玉さん』。

地元特産品や新鮮野菜などのお店の他に、古美術、骨董品や輸入雑貨、アクセサリーなどの露店がズラリと並びます。

その他、一見に値するもの

本堂脇の石段を登ると広場に出ます。
国宝の多宝塔で、源頼朝によって建てられました。

そして多宝塔から見下ろす場所に鐘楼があります。
これもまた源頼朝によって建てられたといいます。

近江八景の一つに数えられる『石山秋月(いしやまのしゅうげつ)』を楽しむ、月見亭あたりからの瀬田川と琵琶湖の眺望は、まさに詩情豊かで、文人たちの心をかりたてる風趣があります。

瀬田川と言えばシジミ、帰りに駐車場そばの食堂で『しじみ定食』をいただきました。
でもやはり、しじみは「ご飯」よりも「汁」ですね。

参詣時のお土産のひとつに・・・

石山寺参詣の折には、瀬田の唐橋のたもとにある老舗が売り出している『瀬田しじみ』。
小豆あん餅をシジミ型の最中でくるんだ、素朴な手造りお菓子です。

日本最古級の飛鳥仏発見

新聞報道によりますと、平成14年8月3日本尊・如意輪観音像から四体の胎内仏が発見されたと、奈良国立博物館が発表しました。

如来像、観音菩薩像、菩薩像、観音菩薩像の四体で、飛鳥(七世紀)・白鳳(七世紀後半)・奈良(八世紀)の各時代のもので、このうちの飛鳥仏は日本製としては最古級とみられ国宝級の発見にあたるそうです。

飛鳥仏は、高さ約26cmの如来像で顔つきや衣の広がり方などで時代判定され、他の三体は白鳳時代の観音像(高さ約30cm)と菩薩像(高さ約21cm)、奈良時代の観音像(高さ約28cm)といいます。

三十三年に一度開扉される秘仏ですから、開基1250年を記念した特別開扉を機に奈良国立博物館が調査した折に発見されたそうです。

それにしても石山寺に限らずこういった胎内仏が、いまだに次々と発見されるということは、まだまだ調査されていないことが沢山あるのだと感心させられます。
一口 メ モ

『 近江八景とは 』

安藤広重の絵で有名になった近江八景。 室町時代の僧たちが中国・同庭湖の八景にちなんで作ったと言われている。
この近江八景は湖南にかたよっているが、琵琶湖が国定公園になったのを機に(昭和25年)選定された琵琶湖八景は湖全体に広がっている。

比良暮雪 ( ひ ら の ぼ せつ )
堅田落雁 ( かたたのらくがん )
三井晩鐘 ( みいのばんしょう )
唐崎夜雨 ( からさきのよるのあめ)
粟津晴嵐 ( あ わ ずせいらん )
石山秋月 ( いしやまのしゅうげつ)
瀬田夕照 ( せたのせきしょう )
八橋帰帆 ( やばせきはん )

【 参考 】
『 琵琶湖八景 』

■ 夕陽 瀬田石山の清流
■ 煙雨 比叡の樹林
■ 涼風 雄松崎の白汀
■ 暁霧 海津大崎の岩礁
■ 新雪 賎 ヶ岳の大観
■ 深緑 竹生島の沈影
■ 月明 彦根の古城
■ 春色 安土八幡の水郷

石山寺の主な行事
◆ 1月8日 ・・・・・・・・・初観音
◆ 3月春分の日頃から6月にかけて
および8月から11月23日頃にかけて
・・・・・・・・・紫式部展
◆ 6月第二土曜日 ・・・・・・・・・青鬼祭
◆ 8月9日 ・・・・・・・・・石山観音千日会
◆ 仲秋の名月二日間 ・・・・・・・・・名月紫式部祭


『 合 掌 』