現行 新耐震設計法


改正建築基準法施行令新耐震基準に基づく構造計算指針・同解説
    日本建築センター  昭和56年2月1日発行 P198〜199抜粋

標準せん断力係数
 地震地域係数Z、振動特性係数Rtがそれぞれ1.0であるような標準的な建築物の  ベースシアー係数(1階の地震層せん断力係数)はCoに等しくなる。この場合Coに  建築物の地上部分の重量を乗ずると、建築物に作用する全地震力が得られる。この  ようにCoは、設計用地震力の強さを示す重要な数値である。

   旧政令による設計用地震力の強さは、高さ16mまでは水平震度0.2、16mを超え  る部分については4mを超える毎に水平震度を0.01ずつ割増すものであるから、べ  ースシア係数に換算すると高さ16mまでの建築物では0.2、16mを超える建築物で  は0.2より少し大きい値となる。このベースシアー係数が約0.2の地震力、即ち、建  築物の重量の約20%の水平力に対し、各部材に生ずる応力度を計算し、それが材料  の許容応力度内におさまっていれば可としていた。この考え方は、は関東大震災(大  正12年9月1日)の震害経験に基づくものである。
 この水平力を生じさせる地震動の強さは、地動の最大加速度にして約80〜100gal  (1gal=1cm/sec2)、気象庁震度階で示すと震度X程度である。

   新しい規定では地震力の強さに2段階のものを考えている。まず、建築物の  耐用年限以内に1度遭遇するかもしれない程度の地震の強さとして、関東大震災級の  ものを考え、これに対し、建築物の架構に部分的なひび割れ等の損傷が生じても、  最終的に崩壊からの人命の保護を図る。また、耐用年限中に数度は遭遇する程度の  地震に対しては、建築物の機能を保持するものとする。
 後者の地震力としては、旧 政令と同程度のもので気象庁の震度階の震度Xを考え建築物全体に作用する水平力  としてベースシアー係数0.2、即ちCo=0.2を採用している。従来の水平震度0.2  に対し、許容応力度設計するという耐震設計法は約半世紀の歴史を持ち、通常の多  くの建築物に対してはこの方法で設計しておけば計算外の余力が十分にあって、新  規定で考える大地震に対しても崩壊しないという経験を持っている。そこで、中小  規模で建設大臣の指定する建築物については、従来と同様の耐震設計のみでよしとしている。
  前者の地震力としては、関東大地震級の地震動を考えてよい。その強さは、地動の 最大加速度で約300galから400galで、気象庁震度階の震度YからZ程度である。建  築物全体に作用する水平力で表すとベースシアー係数1.0、Co=1.0を標準として  採用している。しかし、実際の大地震時の建築物は、ひび割れ等の部分的な損傷が  生じた後、粘り強さで地震に耐える。この粘り強さで地震に耐えることを考慮  すれば、水平力に対する耐力は、ベースシアー係数で1.0でなくてもよい。保有水平  耐力のチェックの際のDs の値にこの考え方が反映されている。



基本概念
中地震に対して      震度5程度の中地震に対しては、 建物の仕上げ、設備に損傷を与えない。 また構造体を軽微な損傷に留める。
大地震に対して      震度6程度の大地震に対しては、 中地震の2倍程度の変位を許容するが、 倒壊を防ぎ圧死者を出さない。
新耐震基準は、 関東大震災級をターゲットに1981年に施行された。 東京山の手の地盤の推定加速度は300〜400ガルであるが、 一方兵庫県南部地震の地表における加速度は極地的に600〜800ガル、震度7は、はるかに想定を越える大きさであり、甚大な被害を 被ったのは周知の通りである。 倒壊した建物の多くは新耐震以前の物で、新耐震設計によるものは比較的被害も少なく、新耐震の 技術が十分に生かされたと言える。 1978年の宮城県沖地震を機に新耐震設計となり。1981年(昭和56年)6月から適用されている。


    
新耐震基準の目標
  中地震時(一次設計) 大地震時(二次設計)
推定震度
 (想定加速度)
震度5程度
 (80〜100ガル)
震度6程度
 (300〜400ガル)
層間変形角  1/200以下  1/100〜1/50
構造部材の状況 部材は全て許容応力度内にある大きなひび割れは起こらない 降伏する部材も出るが、粘りにより地震エネルギーを吸収し、倒壊は起こらない
非構造部材の状況 外装材の損傷はあっても軽微に留まる 外装材に損傷が出る建築設備に損傷が出る
再使用 補修が必要な場合も軽微な補修で再使用 再使用には慎重な調査を要する