大切にしている事   

手編みを始めて20年以上たった頃、市販の糸に行き詰まり「もう手編みはいいかな」

と、編み物をやめようと思った頃糸紡ぎと出会い、その奥深さに感動し、また手編みの

楽しさを知ることが出来ました。

もちろん、今では市販の糸も大切に使っています。

手編みは長く続けていたものの、自分で紡ぎ、編んだものを買っていただくという経験も、

手紡ぎでのオーダーをお受けした事もなく、はたして私のつむぎは通用するのだろうか・・・

と言う迷いの中、何の躊躇もなく「オーダーします」と言っていただいた最初のお客様が、

富士宮で獣医をされている、白尾台動物病院院長の望月先生でした。

その病院ではうちで飼っている猫3匹、犬1匹、本当に言葉では言い表せないくらい

お世話になっていました。

最初は先生のセーターを、ご希望はグレーの混ざり糸で、模様はアラン模様でと言う

ことだけお伺いして・・・

細かい打ち合わせはほとんどなく、私にすべて任せてくださいました。

採寸し、約一か月後お届けしたセーターをとても気に入ってくださり、

広島に戻った後、奥様と息子さんのセーターを相次いで

注文してくださったのです。

それも以前と同じく細かい打ち合わせはなし、ただ先生と形、

模様は同じでと言うことだけ。

今度はメールお電話でのやり取りなので、多少の不安はあったもののお送りしたセーターを

とても気に入ってくださり、この写真とともにお手紙をくださいました。


初心忘るべからず・・・

それ以来私のアトリエに飾って励みにしています。

この写真から11年、今でも富士宮の写真館にはお揃いのセーターを

着られた写真が飾られているそうです。

そして今でも大切に着てくださっているとうかがいました。

11年前のお話です。息子さんも大きくなられました。



これが忘れられない最初の作品です。