・ wiz 記。


 古典的名作はいつ触れても良い物だけに、いつ触れるか、そのきっかけがちょいと掴みにくかったりする。
 実際、今時分に始めた理由は特にない。
 それでも、強いて理由を挙げるすれば、HDD の中の曲を全てランダムに再生していた winamp が、オーケストラにアレンジされた#1のオープニングテーマを流し、その曲調に郷愁めいた感情を覚えたからだろう。

 とは云っても、私が最後まで遊んだウィザードリィは#1だけだ。しかもクリアしたのは極最近のこと。
 その程度の体験で、郷愁や望郷という言葉を用いれば少し大袈裟になるだろうけども、逆に云えばその程度の経験でさえ私の記憶にくっきりと痕を残す感動を与えてくれたのがウィザードリィなのである。

 ウィザードリィと云うと、文字通りの意味でのコンピュータ RPG の原典であり、それを褒める言葉には必然的に懐古趣味的な、温故知新的な雰囲気が混じる。
 しかし、私が遊び、感動を得たのはそれの完成から三〇年近くが経過したごく最近のこと。断じて力説するが、私がウィザードリィを賞讃するのは懐古趣味や、昨今の RPG に対するある種の当てこすり等ではない。
 洗練されたバランス。
 凝縮されたゲーム性。
 随所に漲る緊張感。
 感動、興奮、達成。
 ゲームに求められる要素の多くが水準を越えて結晶した宝石の如くゲームなのである。
 いやまじで。
 これを楽しめない人がもし居たとすれば、要するにその人の云う「ゲーム」って言葉が、私の使う「ゲーム」て言葉と意味が異なるのだろう。


 まぁ。それはそれとして。
 wiz は PC からファミコンにリメイクされた際、ちょいとした事情から#2と#3の発売順が逆になっており、ナンバリングもそれに倣い、2が3に、3が2として発売されている。
 勿論、私が遊んでいるのはファミコン版のそれだ。
 なので、別段何も考えず#2を選べばそれでも良いのだけども。


・ファミコン版#2。シナリオ名「リルガミンの遺産」
 wiz のシステムの一つである「属性」に焦点をあてた作品。
 属性には善・中立・悪とあり、キャラクター毎にどれか一つが割り当てられる。
(知らない人には「性格」と云う言葉を用いれば通りがよいだろう)
 ダンジョン内にそれぞれの属性でしか侵入出来ない場所があり、複数のキャラクターを育てる必要のあるシナリオ。

・ファミコン版#3。シナリオ名「ダイヤモンドの騎士」
 PC版では、#1で育てたキャラクターを流用できるシステムが取られており、そのため1階から最高レベルのモンスターが出現する。よって#1をクリアした人専用の追加シナリオ。
 FC版では新規作成キャラでも十分先に進められるようバランス調整が行われたけれど、それでも#1と#2を経験していることが前提とされる高難度シナリオとなっている。
 特徴は、最下層に到るまでの各階にボスキャラ格のモンスターが控えているあたり。

 と云うシステムの設計上、キャラクターにいちいち思い入れを抱いて遊ぶスタイルの私としては、必然的に大所帯となる#2を総集編っぽく解釈して、先に#3を遊ぶこととする。
 それが正しい選択だったのかどうかは、少し遊んでみて後悔したり、その後悔に結局慣れたり等した為に良く解らない。
 #2の難易度を妙に低く感じてしまったなら、その時初めて失敗だったと云えるのだろうけど。
 

 さて。wizの肝のうち一つは、触った瞬間にいきなり訪れる。
 キャラメイクである。

 #1では、特に意識はしていなかった物の、エンディングまで到達するのに随分と効率的なパーティ運用になった。
 それを省みた訳ではないが、今回はちょいと変化球を加えて編成を行うことにする。

 具体的には。
・慣例であるところの足手まとい役・および鑑定用の司教を作らない。
・特に転職させる予定のない戦士を作ってみる。

 RPG は時間さえ掛ければ基本的には誰でもクリア出来るゲームだ。本質的な意味での難易度は存在しない。効率を第一に考えた所で、結局はクリア時間の短縮にしか成り得ない。それどころか、ゲームのドラマは困難や危機の中にこそ含まれている。それを未然に回避してしまうと云うことは、起きて然るべきドラマを逃すのにも等しい事だと感じられる。
 と云う思想があるから。
 ボーナスポイントで良い出目が出るまで粘るのって不毛じゃね? との意見に適当に頷きつつも、キャラクターのイメージに添うステータスとする為、或いはキャラクターを愛でる為に適当な数字が出るまで「あ」を量産し続けるが……でもまあ、時間との折衷も含めて、結局は全員19P前後に落ちつかせた。

 そんな訳で徴用する名前の策定やパーティ像の夢想など含めて3時間。
 儂にとって3時間てのは程々折衷した結果だ。
 小説書きなぞ自称する人間なので、頭の中にある名前にはどれも愛着があるし、ゲームを通じて構想最中の登場人物の造型を固めておこうて欲もあるし、組み合わせて面白そうな登場人物を考えてみたりだとか、ゲーム中の職業と各キャラクターのイメージとを反さないよう組み合わせ、その上でバランスの良く組み合わせなくてはならないのである。
 一仕事だ。
 すげ楽しいけど。
 で。一先ず完成する。


・タナカナ Fig 人間。
 授業中に煙草を吸うような不良教師。
 取り敢えず最初から最後まで戦士予定。魔法や専用装備などの発展がないあたり、キャラクターの持っている非積極的(消極的とは微妙にニュアンスが異なる)なイメージにも適している。
 気が向けば忍者にでもなって貰おうかな。


・おのづか Sam ドワーフ。
 侍さん。しかもドワーフ。前衛にピッタリの肉弾系は、せめてまともっぽいのに居て貰おうという配慮の現れ。
 名前はむろん東方の小野塚小町嬢から。
 サボり癖はあるけれど気さくで人好きのする水先案内人。デュマピックを多用する侍って職業にかなり適合。


・エソラ Pri ノーム。
 前衛件回復役。と思って生命力を上げたけど力はほぼあげず。ちと失敗か。
 将来は特に考えてないけども、Magにして防御力を落とすくらいならBisかなあ。
 比較的普通だけど自己主張強めのお嬢さん。


・ひなた Mag  ノーム。
 将来ロード予定の Mag。多分、今回のパーティでは最大のお遊び。
 と云うのも、Lv7になりしだいとっととロードに転職して貰う予定だから。
 これ、かなり非効率。転職してしまうとレベルが1に戻り、ステータスは全てボーナスポイントがゼロの状態にまで戻ってしまう。
 で。wiz の世界に置いて攻撃に必要なステータスはレベルと力。
 必要なモノをむざむざ捨ててしまうようなもんだ。しかもロードはレベルの上がりがかなり遅めだし、レベル7で覚えられる魔法使いの呪文も強力ではあるけれど頼りっきりになれる程ではなかったりする。
 と。
 名前にくっついているキャラクターイメージでは年少なガキなので、幾らか足手まといキャラになって貰います。
 でも転職すると年齢上がるんだよな。数値上では一番の年上に。


・モモトセ Mag エルフ。
 魔法使い→僧侶。の、全魔法修得最短コースを歩んで貰う予定。
 不老長寿で凝り性学者肌な和装狐耳の中年女性。ひなたの保護者。


・コト Thi ホビット。
 特に何も将来像のないシーフ。
 例によって名前イメージでは5・6才程度のお子様なので特に活躍してくれなくても良し。
 タナカナの生徒。自意識というモノに欠落が見られるガキで、与えられた課題などにも特に疑問を呈すでなく黙々淡々とこなす。ので成績優秀。
 他に戦闘要員はいるけれど、鍵開けの名手なので保護を受けつつ連れ歩かれてる感じ。


 さて。潜りましょう。
 


 wizにより伝わってくるネタは不思議と#1のそれが殆どである。
 或いは、それ以外のはディープな範疇になり、伝わってきても私には理解し得ないのかも知らんけども。とまれ、#3のダンジョンを歩くのは初めての体験だ。まだロミルワさえ唱えられない暗闇に、何処まで続いているか解らない通路。なんとなく緊張している自分に少し笑う。

 その緊張感は過剰な期待からくるそれではないと早速思い知らされる。
 いきなり血祭りに上げられ絶命する Fig。ハリトに巻き込まれて絶命する Mag。
 罠解除に失敗していしゆみが直撃し絶命する Thi。罠解除に失敗してばくだんを爆発させ絶命するThi。罠解除に失敗してスタナー食らって麻痺する Thi。罠解除に失敗して毒食らって数歩歩いた後絶命する Thi。
 この失敗が地味に財布事情に影響を与えて、鑑定に750Gを要する盾どころか250Gかかる巻物すら鑑定出来ない有様。
 鑑定用で酒場に常駐する飲んだくれ司祭でも作ろうかなあとは思うけども、それを何となく拒みつつ。
 それはそれとして僧侶を一人しか作ってないのは明らかに失敗だ。流石3作目ともなると既作の経験を前提とした難易度設定で、なんせ一回から魔法使ってくる雑魚がいやがる。ハリトを二連続で喰らい、瀕死になった前衛がさっくり狩られたりもした。ああ、ディアルのあの頼りない治癒を愛おしく思える日が来るとは!


 加えてマップ構成も1Fからいきなりいやらしい。
 5×5の大広間の、壁全部が扉!
 通路を抜け、その広間に到る扉を開いた一行の、愕然とした様子が伝わってくる。
 その中から一つを選び、恐る恐ると開いてみた扉の奥にはくねくねとうねる通路。
 方角に精々気を使いつつ歩んでみれば、半ば想像通りに別の扉からその大広間へと吐き出される。
 何処を向いてものっぺりとした扉の並ぶ、比較する物のないその大広間。
 余程気を使わなければあっさりと方向感覚を失うだろう。

 ああ。
 楽しいなあ!

「えっと……、取り敢えず右手が北。で、左に曲がるから今は背中が北、北、北と三歩……。
 で、この左方向にある扉を潜れば方角は」
 とか考え考え開けた扉から、突如と押し寄せてきた怪物どもを命からがら斬り伏せた、その血溜まりにて一息吐いて。
「……あれ。方角……」

 楽しいなあ!


 その通路はその通路として。別の方面を探索。扉の間を北東とすれば北西に位置するこちらは、さほど嫌らしいマップでもなく、大きめの十字路を中心に4つの小部屋が並ぶ単純なフロア。ちくちくと探索を重ねれば「かぎ」を拾得。
 未鑑定であるそれをボルタックの親父にみせると、たったこれだけの鑑定にも50GPをせびられる。
 むかつく。
 そうして手に入れた「さびたかぎ」を玩びつつ、北西は単純な構造だけにあっさり踏破。南西は街へ戻る階段のある地域。南東は、イベントアイテムが必要らしく「士官専用通路!」とのことで進めない。残された扉の間を、精々注意しつつ進めば。
 
 運命の再開を果たす。
 くねくねと続いた通路のどん詰まり。
 ダンジョンに点在する、玄室と通称される四方を壁に囲まれた一室。唐突に表示されるイベントメッセージの後に「さがしますか?」の問いかけ。
「はい」と答えれば、突如として現れるモンスター。
 カラフルな、しかしぼろぼろに色褪せた衣服を纏うみすぼらしい姿。
 見覚えのある前傾姿勢。
 ……あ。あ。あー!
 思わず叫んでいた。
「会いたかったよマーフィー!!」
 はじける再会の喜びに身を任せて、駆け寄り、そのまま剣を叩き付ける。

 ざくぐさどしゃざくぐさどしゃざくぐさどしゃざくぐさどしゃ。
 さがしますか →はい
 ざくざくざくざくざくざくざくざくざくざくざくざくざくざく。
 さがしますか →はい
 ぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐさ。
 さがしますか →はい
 ざくざくざくざくざくざくざくざくざくざく。
 さがしますか →はい

 彼の名はマーフィーズゴースト。あらゆるウィザードリィプレイヤーの永遠の師匠であり、永遠の友人であり、永遠の苛められ役だ。1階のとある小部屋を調べれば必ず出てきて、そこそこの耐久力、低い攻撃力、そして1階にしては望外の経験値をくれる要するにレベル上げ専用モンスターである。
 先に述べた通り、私の持っている wiz の知識は#1で止まっている。
 なので、何となく wiz 伝統のレベルあげキャラであるマーフィーズゴーストくんは#1にしか登場しないものとして勘違いしていた。
 1Fから早速、高難易度の洗礼を受け、戦々恐々と細く暗い通路を歩んでいた私にとって、お手軽にレベルをあげさせてくれる彼との思いがけぬ邂逅がどれほどの感動を引き起こしたことか。
 やはりゲームは予備知識無しで遊ぶに限る。

 さて。メイジのひなたを予定通りロードへと転職させ終えて。Lv1まで戻ったレベルを無難な処まで、適当にLv5くらいまでマーフィー君に付き合って貰えば、それに伴いみんなLv9。そう云えば、マーフィー君を発見する直前にも既にLv7程度にはみんななってた。
 wiz はLv13で既に最強の呪文を覚えられる。それにあともう一二歩と云った処に1Fの時点で到達してしまった。
 転生キャラ等を考慮したバランス設計で、レベルが上がりやすく設計されてるのかな。

 その後。圧倒的なレベル差で1Fの制圧にかかれば、どうやら固定ボスらしいコボルドうんたらとぶつかる。
 1ターンで撃破。ノーダメージ。
 手に入ったバッチをボルタックの親父に鑑定して貰うと、アクセサリーという事で抱いていた期待を見事に裏切る形で「ちまみれのバッチ」
 うーむ。投げ棄てたい。


 では、気を引き締めて2階へ。

 精々気を付けて、進んだ道を一歩一歩暗記するような気分で、いつでも引き返すことの出来るつもりで進めばなんとテレポートの罠。引く血の気。慌ててデュマピックを唱えれば、どうやら先程居た場所、つまり階段のある場所からは通路上の繋がりがない場所へ飛ばされたようだ。
 #1の、悪夢が蘇る。
 あれは6階だったろうか、回復魔法もほぼ使い切った帰還のタイミング。しかし、未踏の通路は残り僅かだし、なによりもまだこの階の、地下へ降りる階段を発見出来てなかった。ので、折角だから踏破し尽くし階段を発見した後に帰還、そうすれば、新たな階層へ万全の体勢で進める。そう判断し、ざっくり後片付けのようなつもりで歩めば、なんと一方通行。
 先程まで居た部屋へ帰る手段はどうやら、無い。青ざめるパーティ一行に示される選択肢はただ一つ。

「階段を降りて進む」

 #1は10階までしかない。その限られた容量は、敵キャラが「ゆるやかに強くなる」余地がない。強さの設定は階段毎に区切られ、一つ階段を降りるたびに「段違いに強くなる」のである。
 足下のその階に、地上まで楽に往復できるエレベーターが通っているのはわかっている。
 そこに辿り着きさえすれば生還は確実だ。
 けれども、そこまで通路が続いている保証は何処にもない。
 しかし、いずれにせよ選択肢はない。意を決して未踏の暗闇に踏み込んだ彼等は、しかし無事に地上へ帰還することは出来なかった。

 その悪夢の再来を思わせた。おいおいまだ2階ですよと。
 ああ、これぞ醍醐味。
 などと云う達観もそんなには出来ない。
 ウィザードリィと云うゲームにおいて、地上までのルートが解らなくなると云うことは、命綱が切れてしまい、素手で崖を登らざるを得なくなったような、そんな状況に似ている。
 回復出来る手段も回数も量も酷く限られている。そして無論、ダンジョンの中に補給地点などは無い。お手軽に地上まで戻れる「リレミト」みたく呪文を覚えられるのは最後半のことだ。
 強力なモンスターに命を削られつつ、進んだことも見たこともない通路を、勘だけを頼りに地上へのルートを探す。
 どうせ通路による繋がりがないのならばどんな道を歩んでも同じ事だ。けれども、魔物と遭遇することを避けなるべく扉は選ばずに歩く。どんなに慎重を期そうとも先行きが分からなければ闇雲だ。
 意図してのことではなかったけれど、転職したばかりのロードを成長させる為に稼いだ経験値が、パーティ全員のレベルを底上げしていて遭遇する新たな敵にさほど苦戦せずに済む。
 そうして進めば、通路の行き当たりに仄かに光る床を見た。覚悟と共にそこに上がれば、メッセージ。
「ここよりわかれる3つのみち、ただしきみちは1つ」
 つまり、この3つのうち1つを選べば、このフロアのボス格の場所へ飛ばされる物と解釈して良いだろう。無論、ハズレを引いて街へ戻りたい。
 悩んでもしょうがない。3つの扉の、真正面にあった中央の扉に踏み入った。
 一瞬だけ暗転する画面。相変わらず特徴のない薄暗がりを湛えた小部屋。
 デュマピックを唱えれば――正解だったようだ。
 直ぐ隣室にある階段をつたい、危機を脱した晴れやかな感情とともに逃げるようにして街へと帰還した。

 wizの#1で感じた迷宮の恐怖をまざまざと思い出せた進行であった。
 容赦のない難易度での歓迎とあればこちらも出来うる限りの安全策で応えるべきだやな。
 てことで、幾らかタイミングが早めになるだろうけど、パーティが全滅してしまった時の為に救助用の第二軍の育成にあたる。
 訓練所から引っ張ってきたのは。

 サササキ 人間 Fig
 テサ ノーム Pri
 ノワ 人間 Mag

 先に育成したタナカナとコトと脳内設定を同じくする世界観のキャラクターなり。
 サササキは女教師。マイナス思考を「する事が出来ない」極めて楽観主義な人。
 テサもノワもその教え子。


 さて。こう細かく記述していると、プレイ毎に2時間近くの時間を要する。
 それはそれで楽しいのだけど、取り合えず、以下は箇条書きに進めることとする。


・救助用パーティで取り敢えずマーフィー君のお世話になる。ざくざくざくざく。
 既に彼の居る小部屋までのルートを既に暗記してたり。
・Fig の代用のききっぷりに少し涙。
 簡単にレベルが上がるしある程度レベルがあればそれだけで戦える。二軍キャラであるはずのサササキと、バリバリ前線キャラであるタナカナとの戦力差が殆どない。命を晒す機会が多いだけ、タナカナは損な役回りである。
・育成も兼ねて2軍メンバーを連れ歩くとそれだけで何か妄想要素が増えて楽しい。酒場で居残る連中に関しても妄想できるし。お互いの関係図なんかもだんだん浮かんでくる。
 一例。マーフィー君にお世話になった結果、殆どのキャラの属性が悪になった。そんな中、唯一善であるおのづかさんと、中立であるコトが一緒にダンジョンまで行く事が多くなった。
 その結果、ああ、コトはおのづかさんに懐いてるだろうなあとかなんとかで。

・2階の探索を進める。
「ちまみれのバッジ」と「きみょうなもんしょう」を取り替える。前者に比べれば後者は幾らかマシだけれども、引き換えになった物を思うと恐らくまともな形ではないだろうな。
・一階の探索に戻る。一階だから大丈夫だろうと、2軍メンバーを引き連れて行く。
 タナカナ・サササキの教師役二人に、コト・テサ・ノワの三人。学校のメンバーが一堂に会したわけだ。それに加えて低年齢な設定のひなた。
 まるで遠足のようだ。酒場で見送る連中の心境を想像すると面白い。
・それらを引き連れ、「きみょうなもんしょう」で通過できるようになった未踏のフロアを歩み、扉を開ければ。
『なんじのもとめるよろいはこのさきにある かくごはよいか?』
 ハイ。よくないです。と引き替えそうと踵をかえせば、そこにあったはずの扉にごつんと頭をぶつける。
 一方通行。
 なんてゲームだ。
 カンベンして下さい。2軍チームで、遠足してるような面々でボスとは相対したくないです。
 泣きそうになりつつ、それでも帰還用の道が必ずあるはずだと探索を再開すれば。
 出てきた。
 白銀に輝ける豪奢な鎧が襲いかかってきた。
・結果から云えば、取り敢えず勝てた。攻撃の命中率が異様に高く、アーマークラスをLOまで下げたこちらの前衛にも平気で毎ターンダメージを与えてくる。
 けれどもそのダメージが決して大きくなかった事と、それ以外の強力な攻撃方法がなかったらしいことが幸いした。
 出来るモノは毎ターンディルトとモーリスを連射し、とにかく早期決着を目指し、撃破。
 コッズアーマーを獲得。
・ところでコッズって Knight Of Diamond で KOD's だったのね。

・#1では見たこともなかったくらいの強力な鎧! だれに装備させるか少し悩んだが、立派なプレートメイルはやはりロードのモノだろう。て事でひなたに渡す。前衛の癖にHPが伸び悩んでいるので、その意味でも丁度良い。

・3階探索開始。マップの西から東へと貫いて伸びる無限廊下にちくちく一マスごとに扉が並ぶ。
 wiz のエンカウントはほぼ扉を開いた瞬間にある。嫌なマップ構成だ。
・ワーアメーバと云う、どくを喰らわしてくる、しかも体力の異常に高いモンスターと遭遇。
 倒すのは難しくないが、勢い戦闘が長引かざるを得ず、前衛3人がほぼ必ず毒を食らわされる。一軍パーティの編成では解毒の呪文であるラツモフィスを3回しか唱えられない。つまり、こいつらに遭遇するとほぼ強制的に帰還させられる羽目に陥る。
 二軍パーティの僧侶であるテサ君を引き連れてから進む事にする。

・3階探索再度中。光る床を発見。踏み込めば「シュート!」

・落とし穴だ。……まだ、3階すら半分も探索していないというのに!
・落ちた場所は4階のほぼ真ん中。ダークゾーンのただ中。当然、階段の位置なんて解らない。しかも敵が恐ろしく強い。魔術師の3段階目の呪文を唱えてくる奴がゴロゴロしてる。気を抜こうが抜くまいが、展開が悪ければあっと云う間に全滅させられるだろう。
・ヘルハウンドと云うモンスターに遭遇。嫌な予感はしたが、やはりブレスを吐いてくる。
 その猛火により後衛3人がやられあっと云う間に壊滅状態。
・残ったメンバーは、侍のおのづか。ロードのひなた。僧侶のテサ
・コッズアーマーには一歩ごとに体力を1回復するという効果がある。それを頼りに狭い小部屋にてコッズアーマーを3人で回し回復を図るも、そこを襲撃されて余計に酷い状況に陥り、諦めて先に進む。
・会敵。僧侶のテサ、死亡。回復呪文を全て使い切ってくれての死だった。あと二人。
・しかもデュマピック(これまで歩いてきた道をマップとして表示してくれる呪文。呪文なのでもちろん使える回数は限られている)を使えるのは侍だけだ。その残量も尽き掛けてきた。
・未鑑定アイテムを見回せば、そこに「?ゆびわ」を発見。もしやと思い、使用してみるとマップが表示された! やった! ほうせきのゆびわだ!
・希望が甦ってきた。それとともに生き残るための意志が固まり、残体力の多い侍に強い装備を全て渡す。一人でも地上に出られるならば、それで勝ちだ。
・装備を交換したロードが息絶え、遂に一人。
・その頃には既にフロアをほぼ一周しており、戻ってきたダークゾーンをかいくぐり、
「おまえのみに なにがおきたのか りかいしているのか!」と言うメッセージに本気で悪態を吐きたくなりつつ。
・唐突に階段を発見する。数瞬の茫然自失。駆け上り、3階に上って即ほうせきのゆびわを翳せば……行ける! 行けるか!? ほぼ真っ直ぐ行けば既に通った通路にぶつかれる筈! そこから地上への階段は直ぐそこだ!

・そうして、侍のおのづかは、5人分の屍体を担いで街へと帰還。それでも勝利は勝利だ。

・個人的には、#1の雪辱を、傷をこれで癒せたような気分になった。
 無論、今後もまだまだこうしたトラップが控えて、窮地に陥る可能性はあり、そこで新たな傷を負うのかも知れないけれど。

・ともかく。全員を蘇生させる為に有り金を全部使い果たしてしまい、
 しかもまだなお鑑定を控えてる装備がごろごろあったので。開始時の予定を変更して鑑定用の司祭を育成。

・司祭のふるほを育成。フルネームは「古穂にや」古書肆である。
・鑑定を依頼すれば早速呪われる。どじっこか?
・死闘から持ち帰った装備はきりさきのけんが三振り。ちからのメイスが一本。
 その他は概ね不要品。だった。
・ところで、魔法使いは装備できる品が限りなく少ない。なので、道具を一番多く持てる。その結果、必然と荷物持ちになることがおおく、ダンジョンから帰還したときに未鑑定品をどっさり抱えていることも珍しくない。
 なので、魔法使いモモトセさんは自然と古書肆ふるほさんに会う機会が多くなり、あっさりと「お得意さま」と云う脳内設定が出来上がった。


・このへんで一区切りとして。パーティのステータスでもメモしておこう。

おのづか Lv9 G-Sam Dwarf
Marks 273 Rip 3

HP 99
ちから:20
ちえ:15
しんこうしん:17
せいめいりょく:18
すばやさ:13
うんのつよさ:14

きりさきのけん
ますらおのよろい
てつのたて
かぶと

 生え抜きの侍。ドワーフかつ侍だけあって、メンバーの誰よりも高い HP で大抵最後に生き残る一人になるサバイバーな人。この人のおかげで全滅を免れた経験は4階探索最中の現時点でさえ一度や二度ではない。
 だったんだけど、Lv10 でエナジードレイン→Lv9 に。を二度繰り返したおかげで2軍メンバーを下回るレベルに。リハビリが必要だろうなあ。
 魔法に関しては(多くの侍がそうであるように)不問。
 でも、前述の「最後に生き残る」タイプだからだろう、パーティの先導に立ちデュマピックを使うのが何かとても似合う。

「最後に生き残る」「先導」と、図らずも三途の川の渡し守である彼女に相応しい役割を担っている。


タナカナ Lv11 N-Fig Human
Marks 257 Rip 3

HP 111
ちから:18
ちえ:14
しんこうしん:9
せいめいりょく:18
すばやさ:18
うんのつよさ:12

まっぷたつのけん
よろい
ささえのたて
かぶと
どうのこて

 戦士さん。それらしいステータスは供えているけれど、#3では種族によりステータス上限が異なるので、人間的な少々中途半端な印象を受ける。
 HP もちからもすばやさも申し分ない前衛で十分な活躍はしているが、Fig はお手軽で誰だってこのくらいの活躍はするよなーと云う偏見があるので、報われない。
 ただ、信仰心の低さがキャラクターを主張しており面白い。


ひなた Lv10 G-Lor Gnome
Marks 105 Rip 2

HP 68
ちから:15
ちえ:10
しんこうしん:14
せいめいりょく:15
すばやさ:15
うんのつよさ:14

ちからのメイス
でんせつのよろい
てつのたて
かぶと

 魔法使いからの転職を経てロードに。
「wiz の HP 計算は Lv と生命力と職業で算出される。から、最初が魔法使いでもロードにさえ転職すれば後々前衛に十分な HP になってくれるだろう」との見通しがちょいと甘く、生命力の伸び悩みに伴い後衛並の HP。
 元よりやや「足手まといキャラ」のつもりで作成したんだけどそれにしたってちと辛いコ。
 でも最近になってちからのメイスのおかげで前衛としては十分な攻撃力を得て、HPの伸びも十分な数値になり始めてきた。ついでに、魔法使いのLv4呪文も役に立つ場面が少なくはないので、安易に「失敗」とは呼べない面もある。
 ただ、ロードならではのレベルアップの遅さがやっぱり辛い。


エソラ Lv11 E-Pri Gnone
Marks 52 Rip 2

HP 101
ちから:12
ちえ:12
しんこうしん:18
せいめいりょく:17
すばやさ:20
うんのつよさ:17

ふんさいのメイス
エルフのくさりかたびら
かぶと
てつのたて

 素早さが早速上限値に達した理想的僧侶。
 しかも予想外にHPがぽんぽん上がってくれて、緊急時には前衛も担ってくれるとても偉い娘さん。
 名前から来るイメージがそれほど明確にあるコではないのだけれど、
 上記の活躍により、テキパキとその場を仕切ってくれる利発な性格っぽく固着。
 ただ、ガキの扱いが不得手っぽい。


コト Lv12 N-Thi Hobbit
Marks 48 Rip 5

HP 42
ちから:15
ちえ:16
しんこうしん:11
せいめいりょく:14
すばやさ:21
うんのつよさ:25

するどいたんけん
かたいかわよろい
バックラー
ほうせきのゆびわ

 典型的な盗賊。ただし死亡数5は後衛の癖して魔法使いを追い抜いて一位。
 罠の解除率がいまいちで、一階時点からころころ死んでたのがその理由。
 でも、するどいたんけんを装備してのまちぶせで地味に役立ってくれるよい子。


モモトセ Lv11 G-Mag elf
Marks 52 Rip 3

HP 38
ちから:11
ちえ:20
しんこうしん:19
せいめいりょく:11
すばやさ:17
うんのつよさ:12

かたいつえ
ローブ

 2階に降りる頃には既にマダルト修得済みで一撃必殺向かうところ敵無しな常時携帯最終兵器、モモトセさん。
 大抵のプレイヤーから「最も使えない種族」の烙印を捺されることになるエルフを敢えて選択。おかげで HP の上昇が真実壊滅的。でも、毎度毎度のレベルアップでそのレベルで扱える呪文を一発で全部覚えてたりする処は面目躍如。
 好きな呪文は多分ラカニト。理由は「楽だから」


サササキ Lv10 N-Fig Human
Marks 202 Rip 0

HP 108
ちから:18
ちえ:12
しんこうしん:12
せいめいりょく:16
すばやさ:18
うんのつよさ:15

きりさきのけん
よろい
てつのたて
かぶと
どうのこて

 例によって人間らしい平凡なステータスだけども、男であるタナカナと比較して生命力のかわりに運の良さが秀でてたり等全体的に女性っぽい。と思えば女性っぽいステータス。
 二軍の割には立派な Marks(殺害数)の過半数はマーフィー君の首だったりして。実戦経験の少ない知識先行型と云うとエリートっぽくて妄想のし甲斐がありますね。


テサ Lv9 G-Pri Dwarf
Marks 12 Rip 1

HP 106
ちから:14
ちえ:11
しんこうしん:16
せいめいりょく:19
すばやさ:12
うんのつよさ:14

ふんさいのメイス
どうよろい
てつのたて
かぶと

 立派・立派な HP は前線型の僧侶に相応しい、割と理想的な救助要員。
 脳内設定的には鈍感でおっとりとした少年。これまた Marks の少なさが際だちますな。


・ノワ Lv8 E-Mag Human
Marks 12 Rip 1

HP 27
ちから:10
ちえ:17
しんこうしん:12
せいめいりょく:12
すばやさ:14
うんのつよさ:10

てつのつえ
ローブ


 救助要員としては地味な位置、だけども必須な魔術師さん。2軍メンバーなので必然的にレベルがパーティ平均よりも幾つか下回ることになり、進行最中の階層の敵に対して魔法使いの肝である一撃殲滅が出来なかったりする辺り、サブの悲しい役目。
 しかも種族人間だしなあ。
 モモトセさんとセットならごりごり進めそう。次の wiz では最初から Mag 2人で進めてみようかな。
 脳内設定では癇癪持ちの少女。


・ともあれ、今回の生還で4階からの脱出ルートを掴めたのは報酬だ。けれど、かといって即4階の探索へ移行するのは恐怖。
・そう云えば、1階の、コッズアーマーの背後に階段があった。
 そこから行ける地下2階の探索を開始。してみたけれど、イベントアイテムが必要らしい扉の前で即行き詰まる。
 けれども、このルートがそのまま3階への階段直通のルートになっていて感心する。しかしそれはやっぱあの恐怖の3・4階の探索を目の前に突き付けられてるのと同義なのでちとげんなり。

・3階の探索は、歯応えのある敵に難儀しつつもほぼ難なくクリア。
 しかし、現時点では進めない地域がマップの半分近くを埋めており、これまでのイベントに何か取りこぼしはなかったろうかとちと不安になる。
 ……けども、新たに手に入れたアイテムとかもないもんなあ。
 4階に進むのをなんとか先延ばしにしたい心境に駆られる。

・これまでに進んできた、イベントが発生する地点をメモしておかなかったのはちと後々苦労する事になりそう。虱潰しに歩いたりだとかで。
 #1の頃は殆ど謎解きらしい謎解きはなく、サクサク進めたのでそんな気を使わなくても進めたのだけど。

・取り敢えず、ここまでで入手したややレアな装備は
「まっぷたつのけん」と「ちからのメイス」と「ささえのたて」
 武器は十分なものが手に入ったと思うけど、問題は防具だな。最初からボルタックで売っている「ますらおのよろい」を除けば唯一が「ささえのたて」だ。もう少しきちんと少し揃えてから先に進みたい気もするが……。

・ともかく、誤魔化すことの出来ない、確かな恐怖を覚えつつも、4階への階段を下る。

・初会敵のモンスター。9体×3組。
 精々注意して前衛のロードがラハリトを、後衛の魔法使いはマダルトを、ついでに僧侶はバマツを選択していたにも関わらず一斉にブレスを吹きかけられ1ターン目終了時には後衛3人が死亡。
 残体力ではどう足掻いても全滅は免れない。
 一度逃げる。前衛に参加していた僧侶が死亡。
 もう一度逃げる。前衛の戦士が死亡。
 もう一度逃げる。前衛の要である侍、体力は16。
 もう一度逃げる。……なんとか逃げおおせた。
 屍体からコッズアーマーを預かり、天井を見上げる。現在4階。
 逃走経路は先の全滅の危機で既に判然としているし、階段に近い地点で行き会ったのが不幸中の幸いだった。
 逃走劇は成功。

・まだまだ4階の探索。階段に近い地点で扉を潜った途端に「今すぐ引き返せ! お前の身に何が起きたのか解っているのか!」とおどされる。
 警告の意味を理解できず、或いはこの先にKOD'sが……?
 と思い、やや長い通路を進めばその行き当たりでスコーピオンと接触。
 その毒に犯され、解毒しようと魔法を唱えた時に、その警告は魔法封印のトラップを指していたのだと気付く。
 魔法封印のトラップは、その階にいる限りあらゆる魔法が使用禁止になる恐るべき罠だ。つまり、回復が出来ない。解毒も出来ない。一歩ごとにHPが減る。しかも地図を確認することさえ出来ない。
 もちろん、念のために「どくけしのくすり」を持ってきてはいるが、wiz はアイテムの使用も魔法と判定されるので、くすりは効果を発揮せずガラクタになった。
 立ち眩みのような不快感に苛まれる。
 が、その罠の先にあるのが真っ直ぐな通路で良かった。
 まだ容易に保てていた方向感覚を頼りに、背中の方向にあるはずの階段へ引き返す。
 まだ余力はあったけれども、そのえげつないトラップに精神の疲労を感じて、取り敢えず街へ帰還した。

・まだまだまだ4階の探索。
 ダークゾーンはある程度いやらしくはあるけれど、ほうせきのゆびわを入手しているおかげでさほどの障害には感じない。
 それに囲まれた部屋に「マスターキー」との交換を持ち掛けてくるNPCと接触。
 しかし、交換用のアイテムを未入手だった様子。
 現在でもマップがある程度埋まった以上の進展はない。
 つまり、コッズアーマーを手に入れて以降、ゲームとしての進行は停滞している事になる。
 うーむ。

・まだまだまだまだ4階の探索。
 敵の強力さにはとにかく辟易する。その上、単純な通路は少なく、細くくねった小部屋が連続するマップだ。必然、扉を開ける回数が多くなり、敵とのエンカウント率がこれまでの階層よりも高いよう感じる。
 そうして出逢う魔物共のうち、単純な強さとして最も警戒に値するのはヘルハウンドだろう。恐らくこの階層ではザコに数えられる方だろうけれど、体力が充実している状態では10を越えるダメージのブレスを、しかも集団で吐きかけてくる。
 ともあれ、命からがらに薙ぎ払いつつ、5階への階段を発見する。もしもまた落とし穴などに落ちた場合などを考え、足跡を残し、マップに階段の位置を記しておくべきだろうと取り敢えずその階段を降りてみると、光る床がその一歩先にあった。
 何も云う事はない。即座に階段へ引き返し、今回の探索を終了した。

・まだまだまだまだまだ4階の探索。
 敵のパーティ構成は良く覚えていない。確か、脅威を感じていた通りにヘルハウンドが大量に混じる敵集団だったように思う。
 ダークゾーンの探索の最中、方向を見失い無駄足を踏み、そこで遭遇したモンスターに、とうとう全滅を喫した。

 失意。
 机に重く突っ伏し、文字通り目の前を真っ暗にして足掻くように思考する。大丈夫、まだ絶望には程遠い筈。
 ダークゾーンから階段のある部屋まではそう遠くなかったはずだ。また、方向を見失い序でに全滅の直前にデュマピックも唱えていた。全滅地点を探し当てるのもそう難しくはないはずだ。
 大丈夫。大丈夫なはずだ。
 奥歯を噛みしめ、町に残っていた3人を引き連れコッズアーマーの背後にある扉に向かおうとするが……イベントアイテムはダンジョンに潜っていた彼らが持っていた。
 しまった。
 短縮路ではなく、正規の道、地下2階の3つに別れた扉まで急ぐが、そこで今まで見た事の無かったイベントメッセージにぶつかり、先に進めない。
 失念していた。
 既に通過した道であっても、イベントアイテムを未所持の場合は一から手順を踏まなければ先の階層には進めないのだった。
 慌てる。時間が掛かればそれだけ、屍体が失われる可能性が高くなる。

 癒えたはず傷が甦ってくる。
 #1で全滅をしたあのとき。急拵えで編成した救助隊は苦戦に苦戦を重ねて、全滅地点を探し当てることに成功したが――そこにある筈の6つの死体は、どれだけ探しても5つしか見付からなかった。
 魔物に食われたか、それとも手の施しようがないほど腐敗が進んでいたのか。理由は解らない。しかし、一人のキャラクターが永遠に失われたのは確かだった。

 あの時の失意は私の原体験の一つとして、ゲームに触れる限り幾度も引き合いに出され、いつまでも記憶に残り続けるだろう。
 先に進むしかないと悟ったときの覚悟。有るか無しか解らぬ出口を手探りで探すその感触。何もかもを投げ出したくなる暗闇。
 彼らは、どれだけ地上の光の暖かさを切望したことだろう。
 それでも無事に帰還できると信じていただろうし、或いは、いつかこの体験も笑い話として語り合うことが出来ると、不敵にも笑みを交わしあったかも知れない。

 後に編成された救助隊にも同じ事が云える。与えられた使命のまま、未踏の暗黒に身を投げる恐怖。こちらの命を簡単に吹き消すことの出来る魔物から逃げ回り、顔も知らぬ友人のために駆ける。その果てに見付けた亡骸が、一つ、失われていたときの、報いのない絶望。
 そして深い暗闇から目を覚ましたとき彼らは知るのだ。癒やすことの出来ない傷が、一人のかけがえのない戦友が失われたという形で残ったことを。


 正確な入手地点を覚えているイベントアイテムは1階のコボルトが持っている「ちまみれのバッチ」だけだ。他には、どこに、何があったか……。
 悩む時間さえもどかしく感じる。一歩も動かなければゲーム内の時間は進行しないはずだ。だから、どんなに長考した所で影響はないはずなのだけど。
 ともあれその2階地点から1階のコボルトにまで真っ直ぐに会いに行き3人で撃破。
 一先ず街へ帰還。宿に泊まり、地下2階へ。
 慌ててもしょうがない。それは解っているが、操作する指があせり、迷宮の壁に何度もぶつかる。
 不幸中の幸い、4階までは取り敢えずそのちまみれのバッチだけでも進めるようだ。
 パーティ構成は戦士のサササキ、僧侶のエソラ、魔法使いのノワ。僧侶の呪文に最も秀でたエソラが居残ってくれていたのは幸運ではあるが、しかしいずれにせよこの面々で4階の魔物に遭遇すればひとたまりもない。
 その影に怯えながら、ダークゾーンを這い蹲り仲間の亡骸を探せば……発見!
 6人ともまだ無事だった。侍、戦士と前衛の屍体を優先的に担ぎ、迷ったが、成功する確率の決して高くない蘇生呪文、ディを侍のおのづかに唱える……成功! そのままHPを全快させる呪文、マディを唱え、脱出の先導を頼む。
 第一陣、帰還に成功。戦士を教会で蘇生して貰い、侍おのづか・戦士タナカナ・僧侶エソラの3人で再び潜る。
 2階の敵はほぼ楽に一蹴できる。
 3階から4階までは扉を使わず行ける。
 4階。件の死亡地点であるダークゾーンまでに潜る扉は一つだけだ。
 幾つかの幸運が重なった。
 無事、救出に成功。安堵の溜息を深く深く漏らす。


 実質的な被害は、蘇生代金により蓄えを使い果たした事と、
 全滅によりどうやらコッズアーマーが失われたらしい事だ。
 両方とも、大した損害ではない。


・先の全滅に教訓を受けて、全滅時にも直ぐ階下へ進めるように予備の、2軍用のイベントアイテムを入手しに向かう。
 ついでにもう一つ反省。イベントの発生地点の逐次メモを開始。
 さしたる問題もなくそれら作業は終了する。


・取り敢えずイベントアイテムの再収集は終了。
 したにはしたけども、まだレベル上げをしたい気分だったので1軍メンバーで3階の玄室巡り。
 3・4回繰り返し、報酬はドラゴンスレイヤーと、ちからのメイスと、ふんさいのメイスと、にんたいのかぶと。
 ごうかなかわよろいだとかますらおのよろいだとかが欲しかったんだけど、前衛にそれぞれ中盤に相応しい武器を持たせる事が出来たので、まあ良しとする。

 そう云えば「あくのくさりかたびら」を入手したけれど、属性を限定される割にはAC補正も -5 でお店で買える「どうよろい」と同じ補正値。装備できる職業も少ないし。取り敢えずうっぱらった。
「ひかるくさりかたびら」も同じ事が云えるよな。せめて盗賊が装備できるなりなんなりすれば良いんだけど。


・4階の探索再開。幾度か全滅の危機に陥りつつも、全体としてみると恙なく進行した。
 地道なレベル上げとアイテム蒐集が功を奏したようだ。ついでには、全滅の危機に陥るような箇所は、実際に全滅しつつ踏破していたこと、出現するモンスターの把握が進み、厄介な奴のあしらい型を覚えたこと等。
 概ね探索を追えた所で取り敢えず5階に潜ってみると、従来の迷宮とは明らかに異質な、洞窟然とした雰囲気。数歩進めばヘルマスター2体とぶつかり、ダルトとラハリトにて一撃で後衛を吹き飛ばされ泣く泣く帰還する。


・おかしい。幾らなんでもこれは。
 そもそも2階にまだ未踏の地を残してるて時点で何かが間違ってる気がする。
 と、丹念に1階から再探索をすれば、あっさりと『あかのかぎ』と『くろのかぎ』の交換を持ち掛けるNPCを発見する。

・ああ、そうか。パーティを入れ替えつつ進んでいた都合で、その時は「さびたかぎ」を持っておらず、ついでに「あかのかぎ」が「さびたかぎ」だと連想も繋がらなかったのだろう。
 さっくり交換して貰い、「こくたんのかぎ」入手。2階未踏の地を探索。
 四角を描く通路の中心に玄室。その小部屋が4つ並んでたり等、意味ありげな地形だったけども「しゅうどういんのかぎ」を入手しただけで終わる。


・早速、3階の未踏地域を「しゅうどういんのかぎ」を使用し通行。
 マッピングに一寸難儀しそうな大広間。
 と云う事は修道院なんだろうか。ココ。

 特にこの迷宮に思いを馳せた事はないけれど、修道院があるとなると元々は宗教施設の一種だったのかも知れない。してみれば、ダンジョンの壁等のグラフィックも#1と比べると随分豪華で整ってる。
 ストーリーとしては「ニルダの杖」を入手し地上へ持ち帰る事が目的な訳だけど、1階で聞けるイベントメッセージで「リルガミンの民は自ら寵愛に値いしないことを証明してみせた!」等と云うてるし。

・かつて宗教施設。
 →崇拝していたモノの怒りに触れ、魔物が溢れ出した。
 →以降、寺院ごと封印。

 そんな背景があるんだろうか。
 と、すれば。モンスターとして登場するプリーステス等は当時、その崇拝対象に仕えていた人々……と云うことになるんかな。

 この辺は「リルガミンの民」なら当然知っておくべき歴史の常識だろうけど、それを知らんとなるとつまりプレイヤーキャラは名声を求めて街の外からやってきた冒険者にならァな。

 その他にも、「きみょうなもんしょう」が必要な「士官専用通路」ってのもあったけど、
アレは魔物がごっこ遊びをしているだけだろう。多分。

 等と妄想を玩びつつ探索。
 イベントアイテムである「ミスリルのかぎ」の他に「さいきょうのたんけん」と「エルフのくさりかたびら」を入手。
 別に良いけど。
 エルフのくさりかたびらも上記あくのくさりかたびらと同じ事が云えるよな。


・ミスリルの鍵を使用して2階未踏地域。と云っても長く真っ直ぐ続く空路しか残ってない。そのほぼ突き当たりにて。
 ついに2つめのコッズアイテム、マジックシールドと遭遇。戦闘開始!
 一撃で50以上のダメージを持って行く強敵。毎ターン、マディ・マツ・モーリスを連射。
 なんとか死者を出さず撃破に成功。マツは毎ターン使用したが(バマツは、唯一唱えられる僧侶がマディを連射していた為使えず)、ダメージを受けずに済んだターンはなく、結果としてはモーリスのが効果をあげていた。

 鎧と比べて盾のが攻撃力があるのはなんとなく納得できるよな。
 縦になって尖ってる場所でごっつんごっつん。


・マジックシールドの背後にある階段を進む。あと残るは剣と兜と籠手。
 マジックシールドが既にえげつない攻撃力を持っていたし。正直戦うのは後回しにしたいんだけど……。
 と、思っていた所、先に進むにはまた別のイベントアイテムが必要な様子。やれやれ。


・と云うわけでイベントアイテム探しに、相変わらず恐る恐ると4階を探索開始。マップは殆ど埋まってはいるけれど、この階に居たはずの「マスターキーとの交換を持ちかけてくる男」の位置はメモして居らず、探し直しになってしまった。
 それはそれとして、以前よりもずっと迷宮の滞在時間が延びた。
 コッズシールドをアイテム使用するとディアルマの効果。
 これが非常に有難い。加えて移動毎に HP 回復の効果。先んじてコレを手に入れていたら、4階の探索もさぞスムーズに行えた事だろうけど。
 今までのパターンは前衛が消耗してきた所でヘルハウンドと衝突→大ピンチの繰り返しだったしなあ。
 wiz の素敵なところは「これを使う事が前提」なバランスを組んでる所だ。
 大分楽にはなったけれど、相変わらず全滅の一歩寸前までは追い込まれる。きっついきっつい。

 ……てことはむしろ、コレを使わずに探索してた方がおかしかったってェことかしら。


・100000G 貯まったので、「100000Gくれたら色々教えちゃる」みたく云ってくる4階のおっさんに渡してみる。
 すると、唐突に小部屋にワープ。
「星が近付いてきて、安らかな沈黙と眠りが……」云々と説話を頂く。
 よくわからん。ヒントになるのか? メモをしておくべきだったかも知れない。


・4階に確かにいたはずの鍵の交換を持ち掛けてくる男に、未だに出会えない。
 マップを見る限りでは、彼のいそうな処は通路からは入れず、
 ワープなどで行くみたいだけど……。

 散々探し回ったけどもそれらしい所は見つからず。1階と4階の往復を繰り返すウチに、手を抜いて3階から階段を使わず落とし穴で降りてみると、それが正解だった。
 落とし穴からでしか行けない小部屋にそいつは居たのだ。
 ずぼら万歳。


・マスターキーを用いる場所の心当たりはもはや一つしかない。
 4つの鍵穴を必要とする、随分と厳重な扉があったのだ。
 そちらへ向かい、重厚な(イメージの)扉を(イメージで)押し開ければ……。

 くびをはねられた!

「ピキーン!」と云う、あの独特の効果音が何よりも先ず感覚に飛び込んできた。
 次に意識したのは、死亡を意味する赤文字で表示された侍おのづかの名前。
 次に視界に映ったのは……マジックソード!

 即座にロードと僧侶にバマツを指示。魔法使いはモーリス。戦闘開始!

 ピキーン。くびをはねられた!
 ピキーン。くびをはねられた!
 ピキーン。くびをはねられた!
 ピキーン。くびをはねられた!

 ……逃走。
 気が付けば、最後列にいた魔法使い一人と、首のない屍体が5つ。
 冗談じゃねえよ。冗談じゃねえよ。とか呟きつつ、魔法使いはひ弱な身体に屍体を5つ結びつけて地上を目指す。
 次々に首を刎ねつつ真っ直線に向かってくる剣。終生夢にうなされることになろうなあ。


・正直もうイヤだけど、戦わないわけにはいかない。
 さもなくば5階の探索を開始してマジックソードの討伐を後回しにすることだけど……。
 出会い頭にラハリトを連射+ヘルハウンドのブレス連射だとかやってくるような連中がごろごろしてるあの階はもっとイヤな気がする。

 そもそもが、あのマジックソードはどうやら直接攻撃しかしてこないみたいだ。それならばなんとでも遣りようはある。
 覚悟して再戦に臨む。


・マジックソードとの再戦!

 数さえ知れぬほどの首を刎ねだろうその刃は、それでも血糊さえ付かず輝いている。ようなイメージがある。
 開戦と同時にバマツ・バマツ・マゾピックで1ターンにAC補正を -12!
 早速一人首を刎ねられるが気にせず! とにかく攻撃さえ喰らわなければ勝てる!
 もういっちょ -12!
 そしてAC補正が今まで見た事もない VL(Vary Low の略?)になった! どうだ!

 ピキーン。

 ……冗談はよせ。ゲーム中最大の回避能力を得たんだぞこっちは。
 構わず刎ねられた首に、もよおした泣きたい気分を無理繰りにやけくそな気分に変換して全員攻撃に転じる。
 次のターンにて、既に強烈なトラウマを負わされている魔法使いの放ったラダルトが直撃。80近いダメージを叩き出して、その一撃でもってマジックソードの動きが止まり、地に落下。乾いた透明な音をたてた。


・そんな訳で伝説の「ハースニール」獲得ー。
 剣だけはコッズの名ではなく、別の固有名詞で呼ばれるのな。ところでハースニールってなんなんだろ。聞いたこと無いけど。カシナートの剣みたく、ろくでもないものじゃなかろうなあ。

・誰に装備させるかは少し迷ったが、侍はむらまさがあるし(まだ入手してないけど)、ロードはカシナートがあるし(まだ入手してないけど)、取り敢えず戦士のタナカナに渡した。

 それに、侍のおのづかさんは「まっぷたつのけん」が何か似合うし。ロードのひなたの「ちからのメイス」も同様だ。
 さりとて、一介の戦士に過ぎないタナカナに伝説のハースニールが似合うか否かっつーと微妙なんだけど。


・さて。例によってマジックソードの背後にある階段を進み、4階未踏地域へ。
 階段は短い通路の真ん中近くに降りた。扉と、十字路。十字路には、階段に延びる方向を除いて3箇所共に光る床。後回しにして、扉の方に進む。
 まっくら! と、ダークゾーン。
 取り敢えず正面に進めば、ごつんと頭をぶつける。左もごつん。部屋ではなくて、通路か。
 マップを見る限りではもうさほどの広さは残っておらず、たとえダークゾーンであっても差程の労もなく歩き尽くせるだろう。と、数歩歩けば。

 マジックヘルメットと遭遇!

 ちょうど頭の位置に浮かんでいて、先導するキャラとごつんとぶつかって。うわ、何? と思ったら「マジックヘルム」とか、そんな印象。
 先のマジックソードの衝撃が醒めやらぬ間の対戦だ。それ故に、唐突な遭遇であろうとも警戒は十分。例によって、バマツ・バマツ・マゾピックで身構えれば。

 マジックヘルメットはブレスをはいた。
 72のダメージ。72のダメージ。72のダメージ。……。

 かんべんして。

 たったの1ターンで壊滅寸前に追いやられ、潰走。
 どないせぇっちゅうねん。
 しかも、もしあの場所で全滅するとかなり手に負えない。
 救出に向かおうにも通路はマジックソードの背後にしかなく、酒場に居残る3人だけでスパスパ首を斬ってくるあの剣を退治できるとはどうにも考え難い。
 故に、玉砕覚悟の賭けにでるとしても余りに分が悪い。ああもう、どないせえっちゅうねん。

 と、当たり散らしかけたけども。いや、まてよ? ブレスで72ダメージという事は……。
 ブレスの攻撃力計算はとても単純で、それを吐くモンスターの現HP÷2だ。てことは恐らくマジックヘルムの体力は200相当。
 ハースニールで70ダメージ。
 まっぷたつのけんで70ダメージ。
 ちからのメイスで残り60はちとキツイけども、もし最初のターンで通常攻撃などしてくれたならば。
 勝てなくもない数字だ。

 うっしゃ。
 再戦。ダークゾーンに飛び込んで、マジックヘルムと遭遇。
 選択はこうげき・こうげき・こうげき・ロルト・かくれる・ラダルト。
 くらえー!

 マジックヘルムはティルトウェイトをとなえた。
 112のダメージ! 90のダメージ! 68のダメージ! ……。

 その日は不貞寝した。

 そもそもこっちの最大体力は侍おのづかさんの130。
 ティルトウェイトの最大ダメージは150。
 終わるじゃん。
 終わるじゃん!


・しょうがないので、嫌々ながら5階の探索を開始。
 落盤の形跡と、それの被害者らしい装備品が散乱してる。てメッセージがお出迎え。
 鍾乳洞の垂れ下がる灰色の洞穴。
 実際に雨霰と降り注ぐ岩にHPをがりがり削られつつ歩いてみれば、その構造に感心する。
 wizのマップは、画面端と画面端が繋がっているのだけど(つまり西端から更に西に進むと東端にワープする)それを利用して、緩やかに斜めへ蛇行する大きな通路が螺旋を描いてて、無限の大回廊ができあがってる。
 そこに細い横穴がちょこちょこと。これまでの迷宮は石畳に石壁できっちり整備されてて、神殿のような面もちだったけど、ここは天然っぽい。

・敵と遭遇……すると、なんとマーフィーズゴースト。
 戦慄。
 #1でも最下層まで降りると、彼がうじゃうじゃと徘徊していた。
 そういえば、装備品はアクセサリーを除けば剣・鎧・盾・兜・篭手の5種類。つまり、今自分たちが立っているこここそが最下層なのか?

・その割には。警戒してた程には敵が大したことねェな。
 と、蝙蝠だかスライムだかをざくざく斬り飛ばしながら進めば、セクシーな……と云うよりもあられもない姿のサキュバスねえちゃんと遭遇。
 マダルトで吹き飛ばされ、ほぼ壊滅。逃走にはいる。

・その最中に、粗末な掘ったて小屋を見付ける。
 あそこに最後のコッズがあるとみて間違いないだろう。

・そう云えば、4階の、地下に降りる階段の直ぐ側に「マピロ・マハマ・ディロマト」の爺ちゃんが居るのだ。潰走時の脱出難易度は、従来の階よりもむしろ楽かも知れない。
 それにしてもこの爺さまは何者なのだろ。wiz 有史以来、多くのプレイヤーがその正体に思いを馳せただろうけど。


・ちょろちょろ5階を巡っていれば、魔法使いのモモトセさんがレベル13のマスターレベルに到達。
 一度のレベルアップでマスタークラスの呪文3つを全て覚えてくれる優秀さを発揮。
 早速僧侶に転職して頂き、マーフィー君をたこ殴る。

 その最中に僧侶エソラも13到達。
 僧侶のままでも構わないけれども、折角なので転職させたい。
 とは思えども、何に転職させるかは今の今まで考えて居らず。ちょいと迷う。んー。

 色々考えた結果、
 盗賊コトに脚を洗って貰って魔法使いへ転職。で、その代わりに僧侶エソラは破壊僧として盗賊になって貰います。

 wizならさほど珍しいことでもないだろうけど、元僧侶の盗賊ってなあ。

・ハースニールを佩いた戦士サササキに Lv1 の後衛連中がアヒルの如く付いていって、マーフィー君の首がすぱすぱ刎ねられるのを見学。
・ついでに、コントローラーを握ってる奴は手持ち無沙汰に落語なぞ聴きつつコントローラーかちゃかちゃ。本当にお気楽な大量虐殺である。

・落語に意識の大半を費やしつつ、小一時間もマーフィー君を苛めていれば、先程転職したばかりのモモトセさんがさっさと僧侶のマスターレベルに近づいてきている。
 ……折角だから、このままマスターしちゃって司祭へ転職。夢の全呪文行使可能な司祭になってやろうか。とか半ば冗談で思う。

・その通りにした。
 聴いていた落語を、中途半端な処で終えるのが厭ったのが大きかった。その序でに、二軍の僧侶テサと魔法使いノワも13まで上げる。特に魔法使いは、迷宮の如何な場所でも座標さえ把握していれば即座に飛べる呪文、マロールを覚えてくれたのが大きい。
 これにより、救助の難易度が格段に下がるだろう。

・さて。確実に生存力の伸びたパーティで、にっくきマジックヘルム討伐に向かう。

 奇襲に成功!
 全力で襲いかかるが出目が悪かったのだろう、一撃も与えられず。
 少しばかり目の前が暗くなるが、ティルトウェイトの2連発を喰らっても尚、前衛は立ち上がる。
 3発目が来る前に撃破に成功。
 コッズヘルメットを獲得! ……敵に回してた時の鬼強さに比べて、性能はイマイチだな。ぶったたいてちょいと壊しちゃったのだろうか。

・5階の探索を進める。広遠な感じのするマップではあるけれど、大回廊の続く地形はこれまでの迷宮に比べて進行自体は難しくない。落盤も、コッズシールドで全快できるし。そんなで2,3階の探索でマップは埋め終わったけど。
 しかし。ここまで来て怖がるのも何だとは思うが、例のほったて小屋にはまだ近寄りたくない。
 よってアイテム収集にいそしむ事とする。マロールを使えば往復も簡単だ。
 wiz では、敵の必ず出るポイントが設定されており、ついでに敵キャラによって宝箱の中身もある程度決まっている。そのポイントへ行き、雑魚い敵が出たらば逃走して、強力な敵が出るまで繰り返す。これで効率的なアイテム収集が可能なはず。

・サキュバスは、下手をすれば被害者が出るが充実した前衛の攻撃力で撃退できる。
 バンパイアには呪文が通じる。
 遂に遭遇したジャイアント族も、個体数は決して多くなく、また、先攻するのも難しくなくあらかじめダメージを与えることでブレスの被害も十分許容可能な範囲に収めることが出来た。

・しかし、やはり例外はいる。
 力の象徴。破壊の権化。恐怖の具現。
 青白く仄光る巨躯、雄々しい角、顔面の半分を占めて並ぶ牙。その魔物の名はグレーターデーモン。
 上級者はこぞって経験値のために養殖してたりはするけども。
 はち切れんばかりのHP、呪文の無力化、毒と麻痺とを追加で与えてくる打撃、強力な呪文、そして際限なく増殖する。
 余程の例外でない限り、それが徘徊する階層に到達したばかりの冒険者に、遭遇とともに数瞬の絶句と、死の覚悟と悲壮な決意を与える。

 二度目の全滅はコイツとの遭遇により迎えた。
 マロールでの救出を前提とした決死戦ではあったが、口惜しかった。
 しかし。くそう。やっぱかっこえーなーグレーターデーモン。末弥純さんの描かれた魔物で怪物然とした、威風堂々たる居姿はまさしくウィザードリィを象徴しておる。
 フラックやマイルフィック等、魔物への思い入れは人それぞれだろうけど、私は断然、奴が好きだね。

・その彼にも、三度目の会敵で打ち勝つことが出来た。
 後衛の身を挺したマディにより前衛の攻撃力を維持。ハースニールの持つ、悪魔系特攻の効力を活かし確実に数を減らし、辛くも勝利を収めた。


・……と、までなると。もうあの小屋に行くしかやることねェよな。
 ほぼ埋まったマップでは、その小屋は横に三歩分程度の広さしかない。
 つまり、この部屋の一歩分にコッズの篭手が、もう一歩分に階段てことになるのかな。
 まあ、覚悟を決めよう。我らは、ティルトウェイトを毎ターンぶちかましてくる相手さえ打ち負かし、それを頭上に戴いているのだ。
 うむ。
 と、鼻息荒く小屋に引っかかっている扉を開ければ、
「とんでくるがよい」とのメッセージとともに外へ弾き出された。
 あれ。
 じゃあ、こう云うことで良いのかな? と、小屋の中へマロールでもって飛び込めば。

 マジックガーントレットと遭遇!
 しかも身構える暇もなく奇襲された!
 前触れもなく炸裂するティルトウェイト! 揺れる画面に、反射的にパーティの残り HP を確認し全員の生存を確認、連続してコマンド選択に移ろうとすれば――まだ敵のターンが終わっていない!?
 まだ引き続いていたそのターンに、どのような攻撃をされたかは記憶していない。が、巡ってきたコマンド選択の画面、そこに表示されていた文字に目を剥いた。

 マジックガーントレット(2)

 ……2体ィイ!?
 最早選択の余地はなかった。逃走――ダメだ! wiz では逃走に成功すると、強制的に一歩戻される。それが通常の展開だが、マロールで敵の出現地帯へ一気に飛び込むと、逃走に成功しても「その場でやりなおしになり」再び戦闘に突入してしまう。ならば、残された手段は一つしかない。戦闘中にマロールを唱えると、ランダムで同じ階のどこかへ飛ばされ戦闘を回避したことになる。

 敵が2体居ると判明して後の、ここまでの思考は2秒かそこらだったと思う。
 その必要もないのに大慌てで選択したマロール。
 しかしそれが発動した瞬間、身体を流れる血が、場所を選ばず、心臓ごと全て一瞬で凍ってしまったような感触を覚える。

 ウィザードリィを実際にプレイしたことがない人でも、このフレーズを聞いたことがあるかも知れない。

* いわのなかにいる! *

 戦闘中のマロールはランダム転送。何処に出現するかは解らない。つまり壁の中に飛んでしまう可能性もある。そうなると身動きがとれなくなり、即全滅。亡骸の回収すら出来ない最悪の状態に一瞬で陥ってしまう。
 伝聞だけで知る最悪の悲劇。それがまざまざと眼前に描かれ――次の瞬間、その幻想は、既に見慣れた洞窟の風景によって払拭された。
 安堵に、座りっぱなしで遊んでいるけれども、それでも腰が抜けそうになった。

・それはそれとして。
 マジックガーントレット(2)て。お前。1ターンにティルトウェイト2連射かよ。
 冗談じゃねえな本当に。しかも逃走も許されないのか。

 とりあえず下調べのつもりで、精々慎重な気分で小屋の中の、マジックガントレットの隣へ飛ぶ。
 想像通り、階段があった。
 ここから攻めて、逃走にさえ成功すれば救助用のメンバーがマロールで飛んできてくれる。
 うっしゃ。

・マジックガーントレットと再戦!
 侍おのづかと戦士タナカナの攻撃により、うち一体を行動前に叩き落とすことに成功。
 残るもう一体はティルトウェイト。ほぼ直撃。後衛の魔術師系の3人は一撃で倒された。
 前衛の体力は72,85,30。行ける。
 次ターンのティルトウェイトに耐えきった、その瞬間が決着だった。
 
・これでダイヤモンドの騎士が遺した、全ての装備がそろったことになる。



・そして最終階層に到ると、ここに記すべき事はほとんどなくなる。
 もはや解くべき謎もなく、そして、強敵との死闘や全滅の危機、希少品の獲得が戦闘の度に訪れるようになった。
 呪文も唱えられぬ戦士が、一人で死体を抱え彷徨うことも。
 強大な敵の、ただの一撃で壊滅させられることも。
 獲得により、戦況が一変するようなアイテムの獲得も。
 それらが日常と等しくなった。

 と云うのも、6階はエキストラダンジョン扱いの、常軌を逸した魔物と宝物に溢れた、要するにオマケの階層だからだ。
 ダイヤモンドの騎士が遺した武具を全て揃えたならば、もうそのままでゲームの目的であるニルダの杖が入手できる。
 間抜けにも私は、その事実を、6階をほぼ踏破し終えてから知った。

 けれども幸いなことに、それによって拍子抜けすることもなく。
 むしろ、レイバーロード、ミフネ、フラック、サイデル、アークデーモン、そしてマイルフィックと云った伝説系の魔物と命を賭して斬りむすび、それらを乗り越えてのゴールだ。
 ニルダ神そのものとの戦闘を予想していただけに拍子抜けをしなかったと云えば嘘になるが、それ以上の、達成感と充実感と満足感が得られるエンディングだった。

 6階で特記できることと云えば……。
 グレーターデーモンの養殖を、とうとうやってみた。盗賊から僧侶に転職したコトが、HPに伸び悩み、いつまでも盗賊の体力を引きずっている状態だったので、「へんげのゆびわ」によるロードへの転職を企てた。その際のレベル上げに利用させて貰った。
 確かに、費やす時間の割に恐ろしいリターンのある方法だった。
 これで僕も立派な wiz プレイヤーの一員です。

 それから、本当のエキストラダンジョン、その奥にいる隠しボスへの挑戦は、かつてそれに挑み、そして打ち倒した数多くのプレイヤーに敬意を表すに留めておく。












・ 宵猫塔。


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