・ 花見をした。


 あらすじ:
 春雨のそぼ降る中で古書を売るアルバイトという一見風流その実強風波浪注意報の最高気温5度な環境下で12時間耐久お店番という割り増しで時給貰わないと割に合わないようなお仕事で風邪を引きかけた私は、今春はぜってー花見をしてやると。うららかな桃色の下でのんびりひなたぼっこをしてやるとしてやると誓ったのでありました。

 そんなで選んだのは醍醐桜と云う桜。
 アズマヒガンという種類で、樹齢1000年を越えてるかもとの説もある天然記念物。
 距離を見積もって時間に直せば……かるーく見て片道6時間てとこですか。
 この時点で既に目的がすり替わってる。

 午前6時の出発が8時に順延された理由はふとんが別れを惜しんだからです。
 いいじゃん。暁を覚えないのは春の特権です。
 スタートの時点で既に春めいた旅路。さて参りましょう。






もうちょい寄って撮った方が良かったか
 潰れた広告看板。



土台て心ときめくよね
 解体中の基礎。



しかも空模様まで不吉だ
 潰れたケーキ屋さん。



ぽつんと
 安全☆第一



たぶん作ったのは地元小学生とかそのへん
 ホタルの里。



何か食うモノあるのかね。あるんだろうけど
 カラスのいる風景。



屋根の上の三羽烏とか少し出来すぎ。
 カラスの見下ろす風景。






 ……不思議と荒んでるな。春なのに。
 と、ちょうど菜の花が画面のなかに一杯写ってる春めいた写真があった。
 それを置いて春らしさを取り戻そう。

はい。気を付けます。
 もうダメだ。






 写真ではそれらしい痕跡はないけれど、早速、峠を一つ越えている。
 山を一つ挟めば別の町。とまで劇的なモノではないけれど。ともあれ既にけっこうへとへとだ。






電車が通るまで待とうかなとか思ったけど。
 剥き出し線路。



ど農道。
 その下をくぐって少し行けば、
 ちと気になる風景があった。




既に桜が写ってて。別にここでも花見は出来るんだよなとは少し思う。
 あれ? ダムかな。
 ダムにしては何か、カラフルと云うか。石垣に見えるんだけど。
 ダムと云えばモノトーンに灰色な剥き出しコンクリがそびえ立っているイメージ。石垣とかもアリなのかしら。
 二つ目の峠越えの最中だ。休憩がてらに、接近と確認を試みる。




高さが伝わるかどうかわかんないけど
 ……休憩どころじゃねえよ。



ひみつちき作りたいね。ひみつちき。
 お。
 降りてみたい風景。



石廊。
 降りてみたい風景その2。



遠近感が狂う風景というかフォーカスの曖昧なダメ撮り方。
 うーむ。
 ダムだなあこれは。



コイが居た。船もあったぞ。撮り忘れたけど
 しかも紛うことなき石垣だ。



こっから降りようと思えば降りられそう
 石垣だなあ。あるんだね石垣のダムなんて。
 とか云いつつ、ダム好きではあるけれどダムマニアと云うほどではないのでそれがどんだけ珍しいかわかんない。



目眩。
 ……ほんと休憩どころじゃねえな。



上の写真にも写ってる。
 根性のある枯れ木。
 これが桜だったらもうここでも良かった気がするけど。



マルコビッチ。
 穴。
 や。この中にハトが入ってって。頭出したところを撮ろうと待ちかまえてたんだけどいつまで経っても出てこなくて。




 そんなで。二つ目の峠を越えた辺りで正午ちょい前。手近なコンビニで昼飯がてらに休憩を挟むこととした。
 太股は既に突けば弾けそうな具合にパンパン。リタイヤにはまだ早いだろうけども、まあ長めに休憩をとっておこう。




加茂川だったかな。
 良い具合の土手もあった。
 ……これは桜じゃなくて桃? わかんね。



ちょーかん。
 のどかな風景である。ながひま。
 しかし天気の割には暗い写真だな。せめて露光時間を増やそうぜ。


 ところで、この写真の少し奥、花に重なる形でたたずむ石像がみえるでしょうか。
 あの独特な丸頭のずんぐりむっくりは間違いあるまい。
 ドラえもんだ。
 石屋さんはなーんかそういうの作りたがるよね看板代わりにさーと近付いてみれば。

"ぼくドラえもん〜"
ちょーかん。
 嘘つけ。

 まあいいや。出発すんべ。






 ところで。
 そんな気分で見回せば、桜ってあんがい何処にでもはえてるもんだね。
 人様んちの庭、ガソリンスタンドの裏手、個人経営な病院の駐車場、小さな川の小さな土手の小さな並木。
 桜の木ってあんがい、安いのかね。
 と云うよりも木を植えるうえで強力で選びやすい選択肢なだけかしら。いずれにせよ日本人は桜が好きだ。
 例えば桜を観に行く最中の道程で、たまたま生えている桜を指して
「もうここでいいじゃん?」みたく冗談を云ったり聞いたりはした経験は誰でもあるだろう。
 今回の小旅行では、別にそんな気分にはならなかったけど、ツーリング用ロードマップには温泉情報もたくさん記載されていて、
 そこに寄って帰っちまえばいいんじゃねえのとは何度も思った。





メデューサと戦ったりしてたっけ。もしくはレベルを下げられる。
 三つ目の峠道にて。
 うーん。何か平坦な道でさえ漕いでると苦痛。痛い。



さっきのハニワの原材料だったりは別にしないと思う
 峠道には何故か岩が置いてある。



まあたかだか標高500mちょいだけどよ
 4つめの峠を越えた所だったっけ。
 もちろん、ここまで来ればもうほとんどノーブレーキで駆け下ります。
 大変爽快。耳元で唸る風。
 自動車が追い越して行くんだけど、それとの距離が全然離れないのね。
 てことは少なくとも40kmかそれ以上は出てるってことだ。




渡ろうかと思ったけど止しといた
 中国のうんたら省みたいな(偏見。



小学校の通学路だったみたい
 並木候補地。桜の苗木だ。



フォーカスがなあ
 見慣れた桜の木みたく枝葉になるには何年くらいかかるんだろうね。



小さくともそこは神域だ
 ぽつんと鳥居。



別に転けたりしたわけではない
 五つ目の峠に向かう何の変哲もない道路。
 傾斜らしい傾斜さえないのに、自転車漕ぐのが辛くて押して歩いてた。
 iPod の曲が終わる毎に乗り降りしてだな。






 思えば、この写真を撮った直前が最後のコンビニ地点だったのだ。
 何処かでもう一度大きめの休憩を取ろうと思ってた筈だけど、つい惰性でそれをキャンセルしちゃったし。
 この暫くあとに空腹を抱えながら「あのときコンビニでしっかり飯買い込んでおくんだった」と呻くことになるのだけど、
 ああ。私の後悔は何故こうも浅薄なのか。






峠々。
 例によって峠道特有の。
 これ、人力で積み上げたのかな。



オーバーしてるけど。
 15/14。



田舎もそろそろ極まり始めたね。
 素敵階段。



棚田……と呼ぶにはちと広すぎるかな。
 iPod から流れてくる電気グルーヴの曲ににやにやしつつ自転車押して。
 ふと頭を上げたら素で「……ここは何処だろう」と思う。



止ま
 がけ。大雨の時に来てみたい。



鼻毛の断面図
 そんなで。峠を越えて降りれば目的地にほど近い町。木材が主な産業であるらしい。
 私はスギの香りもヒノキの香りも区別できないけれど、ともあれ木材の匂いが充満してた。



他のとこは普通に人が働かれててレンズ向けるのが躊躇われたのさ
 そんな風景の一環。



対岸から。
 この駅から帰る予定。
 撮った当初は気付かなかったけど、そういえばそれっぽい木造建築だね(?






 で。帰路は確保できた。時間も余裕がありすぎるくらい。
 4つめの峠を越したあたりから「お? もしかして行けね? 到着できるんじゃね? リタイヤの必要なくね?」と思ってたし。
 ここで帰ったら何の為にココまで来たのかわかんなくなるよなーと思いつつ「じゃあ何の為に来たの」と訊かれたらきっと答えに窮する。






登っていけばきっと鳥居がある。
 という流れとは割と無関係に素敵階段。






 リタイヤの必要は無し。と判断したは良いモノの、体力的にはとっくに限界が近い。
 や。限界に達するのに近いのではなくて、限界をもうちょっぴり越えちゃってると云う意味での近さね。
 お腹もすいて食糧も尽きちゃったし。足痛いし。
 そんな状態にも関わらず、地図で見る道程が少しばかりわかりにくい。
 もともとバイクツーリング用の地図で、自転車旅行のアテにするには少しばかり大きすぎるのだな。
 しかし件の醍醐桜は山の頂上にある。
 登る道を間違えて、そんでやり直すような余裕はもはや、無い。
 だからせめて標識とかないかしら。観光名所なんだからそれくらいあったってバチは当たらないだろうと探してみれば。



やけに傾いてるね
 舐めとんのか。



残り2kmー。
 そうそう。このくらい解りやすく書いてくれないと。



何か作者の人と所縁があったりする土地なのだろうか
 関係ないけど探してる最中にこんなの見付けた。
 遠目にみて、チカンに注意系の看板だったら笑うよなと近付いたけど違った。



こ云うのみると免許欲しくなる
 おわ。すてきな軽トラ。明らかにもう動かなそうだけど。



××があらわれた! みたいな。
 林。HI-ISO。
 既に日没が近くて、雨が近い空模様でしかも木陰なんだけどその割に明るいな。



ダムみたいなのがあった。
 山の上の湖。
 いやこのへんの写真は取り敢えず高い所に登ってってますよー山のなかですよー苦労してますよーと主張したいが為だけの物だったりする。



とりあえず道路は通ってるし。済むには悪く無さそうな環境だ。
 ほれ。こんな感じ。けっこー高そうでしょ。



並列処理。
 これはお茶かな?



 とかで。やっとこさ到着。
 あんまし感慨のようなものはなかったな。



比較対象がないからでかさがわかんないな。


ちっちゃなお社には賽銭箱があった。


やはりある程度離れた方が映えるな。


ちっちゃなお社には賽銭箱があった。
 よし。帰ろう。






 到着とほぼ同時に雨が降り始めた。
 予報通りに落ちてくる雨粒に悪態をついたところでしょうがない。
 というか天気が崩れるのが解ってたのになんで僕は雨合羽を持参してないのかしらねと、
 慌てる体力すらなく、のんびりと駅まで下り坂を走ってった。









 ……そこから先が大変だったんだよなー。

 駅に到着してみればタッチの差で発つ電車。調べてみた時刻表は二時間に一本。
 二時間程度ならどうとでも待つことは出来るけど、とにかく空腹が耐え難い。
 しかもずぶ濡れで寒い。
 何処かにコンビニはないかしらとケータイで検索してみれば、最寄りのコンビニとして表示されたのは隣の駅だ。
 家路とは逆の路線。そちらはあと二〇分で到着の予定。
 是非もない。やってきたバスのようなワンマン列車に乗って、ダッシュでコンビニへ。
 おにぎり五つを購入。
 店内で食うわけにも行かないので、狭い軒下で雨宿りしつつ食おうと外に出れば、
 雨宿りしてたのか、身なりの良い子猫が猫らしい人見知りさで及び腰で逃げだそうとしているところだった。
「アオウ」
 と。ウチの猫にしているように猫の鳴き真似で声をかければ、ぴたりと止まって様子を窺ってくる。
 コンビニ袋をがさがささせれば、異国で言葉が通じる奴に久々に出会えたような馴れ馴れしさでナーオナーオと寄ってくる。
 お前、飼い猫だろどう見ても。
 わざわざこんな自分の体力を無視した道程を無計画に突っ切って餓死寸前の奴にたからんでもええやん。
 しょうがないのでおかかのおにぎりを半分与えてやる。
 そんで凍えながら一時間半ほどぼんやりして。ここまで運んできてくれた自転車を今度は私が運ぶ番だ。
 折りたたみとはいえ結構な重量の自転車を抱えてやっとこさ来た電車に乗る。
 さて。乗り換えは終点の駅で一本だけ。あとは三時間ほど放心してればいつもの駅に着く筈だ。
 その為に持ってきた DS をごそごそといじれば、奇しくも画面の中の連中も桜の散る迷宮を歩き回ってた。
 で。
 車内アナウンス。

 ただいま、待ち合わせの電車の通過待ちの為、一時停車しております。そのまま車内にてお待ち下さい。
 待ち合わせの電車が落石と接触したとの情報が入りました。お急ぎの所もうしわけ御座いませんが、そのままお待ち下さい。
 えー。落石事故にあった電車ですが、どうやら復旧の見込みが立たない模様です。大変ご迷惑をお掛けしますが、情報が整うまでもうしばらくお待ち下さい。
 ただいま、タクシーが出発したとの連絡がありました。申し訳御座いません。あと三〇分ほどで到着の予定ですので、もうしばらくお待ち下さい。
 タクシーが到着いたしました。三台に別れてお送りいたしますので、駅員がご案内さしあげますので、目的地ごとにご乗車下さい。


 そんなこんなで六時間くらいかかったかなー。
 ……うん。まあ。
 楽しかったけど。
「春なのに凍えて悔しかったので桜の下でひねもすのたりのたりとして意趣返し」て目的に適ってたかどうかは、ちょいとわかんない。





・ 宵猫塔。


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