LANCIA Y 1.2 LX (1200cc DOHC 16valve)

 

イタリアから来たランチアイプシロンといいます。残念ながら正規輸入は
されていません。本当は右がいいのですがこれは左ハンドルです。大人向けのやや高級なコンパクトカーです。

 完成度は国産(ただしヴィッツ、マーチ)と比較できるレベルです。 195万円するからといってマークIIとは比べないでね。ただ、マークIIに 乗っても自慢できませんが、これならできます。それと同時に変わり者と 思われる危険性がありますが。私はそれを楽しんでいます。

イプシロンのいいところ

1、スタイルがいい
 実物を見た方の反応は大きく2つに分かれます。おもちゃみたいというのと、かっこいい(かわいい)というものです。間違いなく個性的です。

 あと、標準で12色、オプションで100色ものカラーが選べます。

2、内装がいい
 内装は間違いなくいいです。ベージュのアルカンタラ(ランチア伝統の人工革)で、高級感と機能性が見事に調和しています。内装色は4色ありますが、外装色である程度決まってしまいます。一見の価値があります。シートの座りごこちも抜群です。ほとんどの日本車には勝ちます。

3、エンジンがいい
 低速トルクがまずまずあり(ありすぎると回す楽しみが薄れる)、なおかつ4000回転以上で快音を発しながらきれいに回ります。エンジンの回り方はシビックとアルファロメオの中間のような感じです。シビックのエンジンが好きな人はぜひ一度試乗してみて下さい。
 パワーは1200ccにしては・・・というくらいですが満足です。速すぎてもつまらないのでちょうどいいです。
 燃費はあまり混まない一般道を中心に走ってリッター13くらいです。高速ばかり走ると、リッター20になります。ただしハイオク指定です。

4、ミッションがいい
 ごく普通の5速マニュアルですが、シフトフィールはかなりいいです。今まで乗った車の中では、ビートの次にいいと思います。
 シフトストロークはやや長めですが、コクッと気持ちよく入ります。ただ暖まるまでは非常に2速に入りにくいです。(まだ慣らし中?)
 オートマが欲しい方には、スバル製のCVTのモデルがあります。

5、ハンドリングがいい
 乗り心地は硬すぎず柔らかすぎず、ロールは普通、ハンドリングはクイックすぎないと絶妙のバランスを持っています。ボディー剛性は従来のイタ車のレベルをはるかに超えています。
 少しハンドルを切っただけで向きが変わるのがスポーティーだと思われる方は不満かもしれません。
 車体はマーチクラスのコンパクトさで、取り回しはいいです。
 高速道路を走っても安定していて、あまり疲れません。

6、エアコンがよくきく
 夏に30度を超え、時に35度以上にもなる甲府でも大丈夫でした。一般的に輸入車はエアコンが弱いですが、この車は例外です。

イプシロンの悪いところ

1、スタイルが気に入らない人がいる
 実物を見て、おもちゃみたいという印象を持つ人が半数くらいいます。あと、個性的などが仇となって、変なデザインだと思う人もいます。

2、冬場はシフトの入りが悪い
 冬場は、走り出してから5分くらいは、全くといっていいほど2速には入りません。エンジンを3000回転以上にしてダブルクラッチを使って、何とかなるくらいです。そのため1速で速度を上げ、3速に入れています。

3、エンジンのパワーが足りない
 一般的には低速トルクが薄い部類に入ります。たかだか1200ccなので、他の車と競争したい方には、物足りないでしょう。

4、イタリア車に乗っているという実感が薄い
 最近の輸入車は全体的に日本車に近い作りをするようになっています。1995年11月にデビューしたイプシロンもその例外でなく、従来のイタ車とシビックの中間のような味になっています。そういう意味で、時々パンダの100%イタ車という味がなつかしくなります。
 ただ裏を返せば、日本車の信頼性を得たイタ車は、最大のウイークポイントを克服し、日本車に乗るユーザーにアピールできます。

5、後席がせまい
 マーチと同じようなサイズのコンパクトカーなので、後席は余裕がありません。ただ狭くてたまらないというほどではありません。

6、燃料タンクのふたが鍵を使わないと開かない
 日本車などはほとんど車内から開けられます。キーを抜いて渡すのは結構面倒くさいです。

7、左ハンドルしかない
 左側通行の日本では、やはり右ハンドルが使いやすいです。歩行者に近いという大きなメリットはありますが、総合すると右の方がいいです。

8、値段が高い
 コンパクトカーなのに車両本体価格が200万円近いというのは、日本車のレベルから見れば信じられないくらい高いかもしれません。本体200万円なら、日本車では2リッターのセダン、セリカ、シルビア、S-MX、イプサム、RAV4、などが買えます。
 でも私の価値観では、本体200万円でイプシロン以上に価値のある車は日本車には存在しません。

9、保証が弱い
 並行輸入車なので、ディーラーでの2年保証とかの手厚い保証は期待できません。オートトレーディングでは独自の保証システムを作っているようです。でも壊れないでしょうから保証はいらないかも。

 イプシロンは壊れるか?

 私のイプシロンは1998年の6月に購入し、20000kmほど走っていますが、まだ故障はありません。半数くらいの人はノートラブルできているようです。ただ、イタ車の常として、タイミングベルト関係のトラブルでエンジンを分解するはめになる可能性はあります。オイルを適切な間隔で交換すればたいてい大丈夫ですが、中にはそうもいかない場合もあるようです。でも確率的には低いです。

 最近のイタ車は壊れません。以前のように、電装系の トラブル(接触不良等)でエンジンがかからなくなるなど、立ち往生 するような大きなものはいまのところないようです。安心してイプシロンを購入しましょう。

イプシロン整備情報

 イプシロンの整備は国産車とあまり変わりありません。できるところは自分でいじると愛着がわきます。

1、エンジンオイル・フィルター交換

 エンジンオイル排出穴のねじを開けるには、専用の太い六角レンチが必要です。私はソケットレンチ用を600円ほどで入手しました。

 交換周期は3000kmごとがいいかと思います。先日4500km走った後交換したのですが、真っ黒になっていてびっくりしました。

 オイルフィルターは国産車用のレンチで外れます。フィルターの値段は純正で1900円です。トヨタ1Gエンジン用のフィルターが使えるという情報もありますが、まだ試していません。

2、ミッションオイル交換
 気持ちのいいシフトフィールを保つためにも、ミッションオイルはぜひ定期的に交換しましょう。私は2000km、11000kmで交換しましたが、11000kmの時にWako'sのオイルを入れてから、寒いときに2速にちゃんと入るようになりました。びっくりです。
 使用する工具は、エンジンオイル交換で使った六角レンチと、それよりワンサイズかもう一つ小さい六角レンチが必要です。ジャッキアップせずに車に潜れば、六角レンチの穴は2つしかないのですぐわかります。一つの穴からオイルを抜き、ねじを締めてからもう一つの穴にオイル差しを使って2リットル弱のオイルを注入します。

イプシロンいじり

 イプシロンは完成されすぎているためか、いじっている方は少ないです。でも頑張ってみましょう。

1、ステアリング交換
 エアバッグが付いているので、いろいろ複雑そうですが、自分でもできないことはない、というレベルだそうです。ボスはプント用が使えそうですが、まだデータがありません。今のところMOMOのボス(8000円)しか見たことがありませんので、NARDIのステアリングは使用できません。見た方はご一報下さい。

2、シフトノブ交換
 一番気軽にできるドレスアップです。試した方によると、標準装着のシフトノブは力一杯上に引っ張ると外れるそうです。外れたら、ねじ3本で止めるタイプのシフトノブを装着するだけです。ただし、ブーツがぶらぶらになるので、何とかしてノブのすぐ下に固定する必要があります。

3、タイヤ・ホイール交換 
 185/60-14を履いたモデルが多いですが、これを175/65-14に換えるとフィーリングがいいそうです。太いばかりが能じゃない!
 ホイールは国産車用が全く使えないので悲しいです。頑張ってイタ車用のPCD98のものを探しましょう。個人的には13インチを履きたいのですが、どうやらフロントには付かないそうです。残念。

4、カーステレオ交換 

 表面の黒いパネルをこじ開けてはずし、金属の止め金の両側を押し ながら引き抜くとはずれます。 標準ではソニーのカセットが付いていましたが、私はソニーのMD デッキを付けました。コネクターはそのまま使えました。その他の メーカーのデッキは配線し直す必要がありますし、同じソニーでも金具のねじ穴が合わないモデルが多いので注意して下さい。

 なお、電源はイグニッションキー連動になっていないので、自分で on/offをする必要があります。私はシガーライターのヒューズを引き抜いて、ヒューズから電源が取れる部品を装着し、これをACC電源に配線しました。これでイグニッション連動になりました。めでたしめでたし。

 イプシロン購入ガイド

1、どこで買うか
 現在はオートトレーディング、アレーゼ湘南、埼玉のガレージエスト、その他数社にて取り扱っています。オートトレーディングは、名古屋本社、東京支店、大阪支店の他、「全国ディーラーネットワーク」からも購入できるそうです。
 以前読んだ本では、今年中に正規輸入が始まると書いてあったのですが、12月になっても何もアナウンスがありません。1999年に期待しましょう。すると、今の戦略から見て右ハンドルになるかも。

2、いくらで買えるか
 オートトレーディングのホームページの見積もり例では、私が今年の5月にもらった価格表に比べて値上がりしていました。
 本体200万円+オプション30万円+諸費用(消費税含)55万円!で、総額285万円になっていました。いらない装備を削っても、280万円弱になります。オートマ車と6速モデルはもほぼ同額です。ちなみに値引きはいくらぐらいになるのでしょうか。
 その他のお店のデータはわかりませんので、お問い合わせ下さい。

3、どのモデルを買ったらいいか
 まず大まかに、DOHC5速、SOHCオートマ(CVT)、SOHC6速と3つに分かれます。いずれも1200ccです。あと初期型は1400ccSOHCの5MTがあります。

 DOHC5速は、アルカンタラ内装、電動ドアミラー、キーレスエントリーが標準です。その他のモデルには、これらの装備はオプションとなります。いずれもエアコンはオプションです。
 マニュアルミッションの方が楽しいのでおすすめです。DOHCか6速かは迷いますが、6速でDOHCと同じ装備にしようと思うと、約10万円追加となります。SOHCでも、エンジンはよく回るらしいのでいいですが、値段設定(以前は10万円安)に疑問が残ります。
 ひどい渋滞路を走る方はオートマがおすすめです。スバルと共同開発したCVTは、無段階変速で、独特のフィーリングがあります。普通のオートマ車に乗った方は違和感があると思いますが、慣れれば問題ありません。ただアイドリング状態ではスルスルと進まないので、駐車と坂道は注意が必要です。
 それから、エレファンティーノというスポーツタイプもありますが、イプシロンの方向性とは違うようで、私はひかれません。
 NAVIの長期レポートを読むと、スペインから輸入しているようです。マニュアルはスペイン語になります。

4、色はどうしたらいいか
 イプシロンには標準色12色と、オプションの100色があります。在庫車の中から選ぶと納車は早いですが、注文すると半年から1年待ちになることもあります。
 内装色は外装色を選ぶと自動的に選択されます。中には選択肢がある色もあるかもしれません。ランチアのホームページで見ることができます。

5、買ってからはいくらかかるか
 1000km点検でエンジンオイル、オイルフィルター、ミッションオイルを交換してもらって、部品代込みで1万円ちょっとかな?オイルなどの消耗品は国産車と同じくらい(少し短めがいい?)のサイクルで交換すればいいです。
 オイルは特別の物でなくてもかまいません。私はアジップの3000円の10W30のSJを使っています。オイルフィルターはパンダと同じもので1900円です。
 ランニングコストは国産車とほとんど変わりません。ディーラーでの整備費用や部品代などは高めになると思った方がいいです。

 しかし新たな世界を開拓すべく手放しました。こんなにいい車をなぜ?と人には言われるのですが、

1、もっと小さい車がいい

2、右ハンドルの方がいい

3、できれば5ドア

こんなところで、買い換えてしまいました。ネイキッドの項をご覧下さい。

泥沼は続く(ここだけはネイキッドを手放したあとに書きました)。