酔竜の音楽活動  2021.12.18 全面改訂  2024.1.2 小変更

 今まで試した楽器はフォークギター、クラシックギター、エレキギター、エレキベース、アルトサックス、テナーサックス、トランペット、デジタルサックス(T-SQUAREが使うようなやつですね)、ピアノといろいろありますがほぼ全滅(汗)。しかしバリトンウクレレはなんと2014年6月からずっと続いています。

1、バリトンウクレレとの出会い

 ギターを始めたのが確か1995年、挫折してしばらくしてまた再開の繰り返しで特に進展はありませんでした。2009年あたりに「楽器挫折者救済合宿 ギター・ジャカジャカ」という本を買ったようですが、しばらくはこの本も効果を発揮しませんでした。2012年にカマカHF-3というテナーウクレレを買ったものの挫折、2013年には一五一会ベーシックを買い4弦ギター仕様にしていたようです。多分そのあたりでその本の効果が出て(4弦奏法という裏技)、アルペジオである程度弾けるようになったのでしょう。

 これでギターも弾けるんじゃないかと思ったようで、2013年RF-90カスタムをオーダーメイドし2014年1月からギターのレッスンを受け始めました。RF-90カスタムが4月に届いたものの5月にギターレッスンを断念し、そこでギターは正式に(汗)挫折しました。しかしその直後の5月末にテナーウクレレを買い、あれだけギターレッスンで苦労していた曲がいとも簡単に弾けたのにびっくり。そしてウクレレっぽい音に満足いかず、ネット検索でバリトンウクレレの存在を知り、2014年6月にバリトンウクレレを購入しました。

 おそらく2014年のテナーウクレレを買った時だと思うのですが、実はウクレレってギターの5弦6弦を取っ払ってチューニングを変えただけであることに気付きました。そうです。ギターでは裏技とされている4弦奏法というのはウクレレ奏法そのまんまです。


2、バリトンウクレレの特徴

(1)ギターと同じチューニング、ギターの楽譜がそのまま使える
 同じウクレレでもソプラノ、コンサート、テナーはギターとチューニングが違うので、ギターの楽譜をそのまま使うとキーが違います。カラオケのキー調整の高くなるボタンを5回押したのと同じことになります。しかしバリトンウクレレだとギターの楽譜がそのまま使えます。これはでかい。

(2)音色はギターに近い
 ソプラノ、コンサート、テナーはウクレレの音がします。バリトンウクレレはフォークギターとクラシックギターとウクレレを足して3で割った感じの音がしますので、ポップスの伴奏をして全く違和感がありません。なおバリトンウクレレの5フレットあたりにカポタストを付けるとウクレレっぽい音がします。バリトンウクレレがギターっぽい音がするのは本体の構造というよりはチューニングに秘密がありそうです。
 しかもただギターっぽいというだけでなく、音色が優しいです。バリトンウクレレに慣れるとフォークギターの音がキンキンして嫌だなと思うこともあります。もちろんキンキンしないフォークギターもあるんでしょうけども。逆にギターと比較するとバリトンウクレレの音は小さくてショボいなと思うことがありますが、まあいいでしょう。

(3)弦と弦の間が広い、フレットとフレットの間が狭い、なので弾きやすい
 バリトンウクレレは弦と弦の間はギターよりかなり広くて私の太い指にぴったり。フレットとフレットの幅も狭く、私の伸びない指でも結構いけます。

(4)やはり弦が4本しかないのは素晴らしい
 「Fの壁」も相当なものですが、ギターではGとかG7も簡単じゃありません。バリトンウクレレではGもG7も指1本です。5弦6弦は音に潤いを与えますが、なくてもそこまで大差はありませんし、そもそも6本も弦を操れるわけがありません。弦が2本ないだけでも難易度が大幅に下がりますし、後述するいんちき技を使えばさらに敷居が下がります。

(5)ギターより軽く、持ち運びしやすい
(6)音が小さく、家で練習しやすい


3、バリトンウクレレ本体について

 私が一番最初に買ったのがKALAのKA-Bです。2014.6.7に発送しましたのメールが届いています。お値段は当時で14000円ほど(今は値上がりしてます)。見るからに安っぽいベニヤ板という感じの合板でできていますが、音が悪いわけではありません。というか他のと比較しなければ(しても?)問題ないんじゃないかと思います。このKA-Bは仲間にも勧めて皆さん満足しているようです。

 その次に買ったのがPONOのMB(2014年11月)、これはオールマホガニー単板という贅沢な作りです。お値段も当時54000円くらいと高いです。そしてその次に買ったのがKALAのKA-SBG(2015.11)、これはスプルース単板トップ、KA-Bより高級感がありますね。お値段は当時28000円ほど。音はというと・・・そんなに違わない??

 楽器屋さんにはバリトンウクレレはほぼ置いていないので、取り寄せてもらうか通販になります。間違ってテナーウクレレを買っても、バリトンウクレレと同じチューニング(DGBE)をして違和感なく弾けるものもあります。ただやっぱり音色的にバリトンがいいと思います。手が大きい人だと間違いなくバリトンがいいです。

<2023.8.31追記>MAHALOのMP3テナーでバリトンウクレレチューニングを試しうまくいきました。ただしフレット間が狭いので、私のような大きな手の人がカポタストを付けて弾くのは難しくなります。音のまろやかさと音量はやはりバリトンの方がいいですが、手が小さくてバリトンが弾きにくい場合はテナーもありです。コンサートサイズでも(MAHALO ML2)やってみてまあまあいけましたが、弦がゆるくて弾きにくいという声もありました。


4、いんちきを駆使してバリトンウクレレを手なずける

 先に紹介した「楽器挫折者救済合宿 ギター・ジャカジャカ」という本で得たのが4弦奏法(これはウクレレでは標準)ともうひとつコードの簡略化です。この本では入門者向けとして通常コードと同じ感じになる簡単な押さえ方が書かれていました。弦が4本しかないウクレレの場合は相当簡略化してもそれなりに聞こえます。これを私は「いんちきコード」と命名しました。

(1)いんちきB(1弦2フレット、3弦2フレット): 指3本のD7より簡単ですね。BmもBm7もBもB7もこれでそこそこ大丈夫です。4弦は弾かないようにしましょう。余力ができたらいんちきBに指1本を足してB7で置き換えるとさらによくなる場合もあります。

(2)DをD7に置き換える
 Dが苦手な方、結構いると思います。私も始めた頃はそうでした。その場合、D7で置き換えると違和感がないことが多いです(7割くらい?)。D7の方が押さえやすいでしょう。もしくはいんちきB(もともとD6ですし)で代用できる場合もあります。

(3)いんちきCm: 2弦1フレットだけ押さえ、1弦と2弦だけ弾きます。3弦を弾いてもぎりぎりセーフでしょうか。

(4)FはFM7に置き換える、もしくはDm、Fm7、F7も使えるかも
 Fはそのうちマスターしたいところですが(ギターよりは格段に簡単)、苦手なうちはFM7で置き換えます。FM7はAmと似ていて難易度は低いです。時々FをDmで置き換えてもいいことがありますが、Dmも苦手な人が多いかもしれません。
 あとFm7という指1本で1フレットを4本全部押さえるコードで代用できることもあります。もう少し余裕ができたら指1本足してF7とか。
 同様に意外と出てくるF#7をF#m7(2フレットを指1本で4本全部押さえる)で代用できます。

(5)意外と出てくるBbやGmは3弦奏法で
 Bbは2弦3弦4弦と3フレットを3本の指で押さえ、小指で1弦をミュートして弾きます。もしくは1弦から4弦まで人差し指で一気に押さえて1弦を弾かないようにしてもいいです。BはほとんどいんちきBでクリアできますが、時々Bbを1つずらした弾き方にしないといけないことがあります。
 Gmも同様に3フレットの1弦2弦3弦と3本の指で押さえて4弦を弾かないようにしています。Bbと同様に1本の指で一気に押さえてもいいです。

 このようないんちき技を使って難易度を落とせば、結構簡単に弾ける曲が見つかるはずです。まずは後述する6つのコードのみでやってみましょう。そのうちFがクリアできるともう何でも来い(汗)になります。


5、課題曲選びはG、C、D7、Em、Am、いんちきBの6つのコードで

 ギターの教本や楽譜サイトにはたいてい「簡単に弾けるが弾いていてあまり気持ちよくない曲」とか、「入門編と言いながらそうでもない曲」とかが載っています。例えばなごり雪とかコード自体は簡単ですが、次々チェンジするので入門には向きません。そして右手の動きを複雑にしないとかっこよくない曲もあります。スローな曲を選べばいいかというとそうでもなかったり。

(1)使用コードがシンプルなもの
 最初はG、C、D7だけでいける曲、と言いたいですが実は楽譜(コード譜)を見るとほとんどありません。例えば「青葉城恋唄」が該当しますが、好きな人はどうぞ(私はこれで始めました)。あとは「日曜日よりの使者」がCFG7なのでキーを変えるとGCD7になります。英語が苦にならなければAmazing graceとImagineがお勧めです。

 ところで私は「全ての(?)曲は移調させればG、C、D7という骨格が見えてくる」という法則を発見しました。常識と言えば常識なんでしょうけど、こんな感じで書いているのを見たことがありません。「C、F、G7」「G、C、D7」でできている曲は多い、くらいは見たことがありますが。

 コードが載っているサイトでキーを上げ下げするボタンがありますが、何回かボタンを押すとG、C、D7がたくさん出てくるパターンが見つかります。それをメモってそのまま弾いてもいいですし、カポタストを使って自分の好きなキーしてもいいです。いんちきウクレレにはカポタスト必須。

 そう思っていろんな楽譜を移調させてみると、G、C、D7の他にEm、Am、いんちきB、この6つのコードで弾ける曲はたくさんあることがわかりました。時々似たようなG7、A7、E7とか混じる場合がありますが、難易度はたいしたことはありません。

(2)できれば右手は簡単なリズムパターンで
 一番簡単なパターンは1小節をダウンストロークで2回とか4回弾くもので、最初はこれでいいです。例えば森山直太朗のさくらですと、「僕らはきっと待ってる」をG4回C2回G2回で弾くといいです。太い方の4弦から細い1弦に向かってジャラーンと指を下ろすのですが、1弦2弦がよく鳴るように。親指の腹でもいいですが、私はできないので人差し指の爪の部分で弾いています。

 これで物足りなくなってきたら、1小節を「ジャーン、ジャンジャカ」と長いダウンストローク+普通のダウン+短いダウン+短いアップストローク、という組み合わせをするといいです。その次は「ジャンジャカ ジャジャジャ」になります。私のようにさびしい歌が好きな人は、アルペジオで弾かないと雰囲気が出ない場合があり難しくなりますが、やってやれないことはありません。

(3)おすすめの課題曲
 最初はどうしても「弾ける曲」になりますが、結局のところ「弾きたい曲」を弾かないとうまくいかないでしょう。最低「弾ける曲」2曲くらいと「弾きたい曲のうちそこそこ簡単なもの」の3曲くらいの合計5曲くらいを並行して練習するといいです。

 「弾ける曲」のおすすめは青葉城恋唄、日曜日よりの使者、Amazing grace、Imagine、さくら(森山直太朗)、Stand by me、Let it be、です。「弾きたい曲」候補は、乾杯(capo7)、青空、True Love、白い雲のように、I love you、サボテンの花、シクラメンのかほり、女性には待つわ、秋桜(capo1)、ダンシング・ヒーロー、フレンズ(レベッカは結構いける)、M(capo5)、風になる(capo5)、ラヴ・イズ・オーヴァー(capo3)。

 2020年前後の曲はかなり複雑なコードやリズムのものが多く、大変です。藤井風とかやってみたいのですが残念。やっぱり70年代80年代あたりが弾きやすく歌って楽しいですね。


6、練習のやり方

(1)自分だけの楽譜を作ろう
 Ufret、楽器me、J-Total Musicなど歌詞とコードが載っているサイトがいくつかあります。そのサイトで自分に合ったキーにボタンで調整し、そのまま弾いて歌うこともできますが、結構きついコードがあったりします。もちろんいんちきコードなんてありません。
 あと「これ違うんじゃない?」というコードが書かれていることが結構あります。違うサイトを見ると違うコードにしてあることもあるのですが、結局自分でもっとふさわしいコードを探すことが多いです。知っているありったけのコードを弾くと見つかるでしょう(汗)。

 なので私は一つ一つ自分専用の楽譜を作っています。Word互換のOpenOfficeのワープロソフトで歌詞を打ち込み(結構大変)、コードを載せ、そのまま弾いてみて、おかしいところを修正、いんちきを駆使して改変、です。Am7は押さえ方が同じになるCに(同様にCM7をEmにとか)書き換えると読みやすいです。

 こういう作業をしていると、4弦であるウクレレで使うコードって割とアバウトでいいのかも、と思えてきます。6弦のギターは多分こうはいきません。

(2)私の構え方・弾き方
 まず私の構え方ですが、右太ももにウクレレのくぼみを置き、サウンドホール付近を弾いています。これが基本かどうかわかりません。サウンドホールよりネック側を弾く方がいいという話もありますが、私の構え方では無理があるのでサウンドホールあたりを弾いています。人それぞれでいいでしょう。

 私の右手の弾き方はピックを使わず、人差し指の爪でダウンストローク、親指の爪でアップストローク、です。普通のウクレレだと親指の腹を使って弾くように言われるでしょうけど、私はできませんでした。いろいろ試行錯誤してこのスタイルになりましたが、こうやっている人は聞いたことがありません。

(3)練習環境
 音が小さめのバリトンウクレレとはいえ、遠慮して弾かなくてもよい練習スペースが大事です。私も実は離れを建ててから上達スピードが上がりました。家族に遠慮して小さい音で、というのはストレスがたまります。


7、一五一会を4弦ギターにチェンジする裏技(自己責任でお願いします)

 一五一会の弦を張り替えると4弦ギターとして使えるという情報を得て飛びついてしまいました。購入した一五一会ベーシックはトップがスプルース単板、サイドバックがマホガニー単板という本格派で私の大好きなRF-90と同じ組み合わせで、似た感じのきらびやかな音がします。定価は何と11万円もします。

 一五一会は説明書通りにDGDGとチューニングすると指1本でコードが弾けるようになります。見た目ブリッジの配列は普通のギターと同じようです。何が特殊なのかとずっと思っていました。そのからくりは細い方からギター用の1弦、3弦、4弦、5弦を使うということだと知りました。

 通常のギターであれば1弦から6弦までEBGDAEとチューニングします。それを一五一会にすることを考えてみましょう。まず2弦と6弦を取り外し、1弦をEからDにゆるめ、3弦Gと4弦Dはそのまま、5弦をAからGにゆるめ、というようにするとギターが一五一会になります(2弦がなくて不恰好ですが)。ならばこの逆をやってみると一五一会が4弦ギターに変身するというわけです。

 1弦をノーマルよりきつく張るようになるので耐久性がどうかと思いましたが、一五一会の説明書には1弦をEにしても大丈夫と書いてありますのでOK。実際に張ると結構きついような気がしますがまあこんなもんでしょう。ちなみに一五一会は通常のギター(K.yairiの標準的ギターが645mm)よりスケール(弦長)が短く630mmです。スケールが短くなると同じチューニングでは通常ギターより弦の張り(テンション)は弱くなるはずなのでいずれにせよ大丈夫なはず。まあ誤差範囲か。

 私の一五一会は新品ではありますが2007年製、弦はさびがありました。K.Yairi推奨のダダリオEXP16を買って1弦から4弦を張りました。この弦には根元に色がつけてあり区別がしやすくなっていますが、外した弦にも同じ色が付いていました。もしや同じEXP16が張ってあったか。この2007年製は手放してしまうのですが、その後2003年製の長期在庫品を買い直しました。

 そうそう、ギターの弦は1弦と2弦が切れやすく、特殊な弦であればばら売りがないかもと心配していました。しかしこのダダリオEXP16、ホームページで組み合わせを見てみると1弦はPL12、2弦はPL16となっています。他の弦セットでもこの1・2弦を使うことが多く、ばら売りもありそうです。よかった。

 そういうわけで一五一会にギター用の弦を1弦から4弦まで普通に張ります。これで無事4弦ギターが完成しました。おそらく一五一会音来(にらい)でも同じようにできるかと思います。奏生(かない)はナイロン弦でウクレレチューニングですから間違えて買わないようにしてください。(2023.5.14追記:最近のはギターと同じチューニングらしいです。スケールは同じようなので弦を変更したのでしょうか。)

 おそらく一五一会のうたい文句通りの指一本奏法はとっかかりとしてはいいのですが、間違いなく飽きますし、指を正確にスライドさせるのって結構難しいと思います。その点この一五一会4弦ギターバージョンはお勧めです。音が違いますからバリトンウクレレと両方持っていてもいいです。


8、弦と弦の間の広さ

 弦と弦の幅をKALAのバリトン、一五一会とSeagullフォークギターで測定してみました。1弦と3弦の間は指が入るスペースを想定して弦を含まない寸法、1弦と4弦の間は一五一会との比較をするためで、こちらは弦の幅を含めてにしたのは一五一会のナット幅からこの寸法を引くと余剰スペースがわかるという意味です。いずれも1フレットのネック寄りにぴったり定規を当てて測定しました。

 KALAバリトン: 1弦と3弦の間19.0mm、1弦と4弦の間30.0mm、ナット幅37.5mm
 一五一会 :   1弦と3弦の間16.3mm、1弦と4弦の間25.6mm、ナット幅33mm
 Seagull S6:   1弦と3弦の間15.3mm、1弦と4弦の間23.8mm、ナット幅46mm

 結局バリトンウクレレは大差をつけて広いです。あとフレット幅も一五一会やギターより狭いので、手の小さい方には楽です。一五一会はSeagullより若干広く、ナット幅48mmのギター相当の幅がありそうです。クラシックギターは一五一会とバリトンウクレレの中間くらいです。

<2023.5.14追記>一五一会音来(にらい)のナイロン弦バージョンがあるようです。交換用の専用弦がなくて、ダダリオのEJ33の1、3、4、5弦を使用すればいいという情報を見ました。ということは、うちの一五一会ベーシックでもこの弦の1-4弦までを張ればナイロン弦バージョンになるってことかもしれません。そう思っていたら、弦が太くなるのでナットの弦を通るところを削って広げないといけないことに気づきました(汗)。