リシャフトの常識・非常識 2016.3.3 2017.4.3に少し訂正
ここを読んでいただける方は相当のひねくれ者、いや既存のセッティングに相当疑問を感じていらっしゃる方なのでしょう。とりあえずあまり常識的なことは書きませんので、話半分に聞いてください。
1、リシャフトの目的を履き違えないこと
「自分に合ったクラブを使うこと」、これしかありません。「飛ばすために」「打ち方の問題で出ているスライスを軽減」という目的はNGです。長期的には自分に最適なスイングから遠ざかってしまう可能性があります。音のいいヘッドがあるけど自分の希望のシャフトではない、という理由は最高です。気に入ったヘッドを自分に合わせるという考え方がいいです。
「ドライバーがいい日はアイアンがダメ」というのはおそらくどちらかが適正重量から外れていて、調整により解決できる可能性が高いです。理由もわからずリシャフトで解決しようとすると泥沼にはまります。そういう場合はリシャフトする前に調整しましょう。
2、リシャフトの第一歩、基準になるクラブを決める
基準になるクラブがなければアイアンだけはうまくいっても、ウッドがうまくいかないというケースが出てきます。自分が自信を持って打てるクラブは何番か。7番(もしくは8番)であれば最高です。そのクラブを基準にして、これからリシャフトするウッド系クラブが同じ感覚で振れるようにセッティングできます。そしてアイアンの他の番手も同じ感覚で振れるように調整したくなるかもしれません。
3、シャフトのせいか、セッティングのせいか
過去にリシャフトして失敗した経験がある方、シャフトが自分に合わないのかセッティングが悪いのか、どちらか明確に答えることができるでしょうか。どちらかが悪いと失敗になります。例えばバランスをD1に指定したとして、実はD0が適正だったという場合は大いにありますし、その程度で合うシャフトが合わないことになる可能性は十分あります。
「シャフトのせい」という要素をなるべくなくすのが大事です。セッティングが上手になってきたらいろんなシャフトを試せばいいです。
4、まずはシャフト選び
シャフト選びって本当に難しいです。私自身NS950GHフレックスRのアイアンを長い間使ってきて、ウッド系はNS950FW(ドライバーはNS950DR)にしたら間違いないと思っていたのですが、どうしても気持ちよく打てませんでした。結局ダイナミックゴールドR300で統一することで史上2番目のスコア94が出たので、NS系はアイアンは合っていてもウッドが合っていなかったという可能性があります。
こんな感じですのでアイアン、UT、ウッド、ドライバーと全部シャフトが違ったとしたら何が何だかわからなくなります。せめてシャフトだけは同じメーカーで統一するとか、何かしら決まりがないと出たとこ勝負になってしまって迷路に迷い込みます。
5、セッティングのイメージ
例えばドライバーは(NS950DRにしてもいいですが)GT500にしたとします。これはカットする前の状態が47インチでフレックスRだと54.5gです。長さは何インチにしたいですか?バランスはどうしますか?そしてその根拠は?
多くの方は漠然と45インチでバランスD1くらいで、とか言われると思います。市販クラブがだいたいそのくらいだから、というのが根拠だと思いますが、それでいいでしょうか。D1よりD0の方が合うかもしれません。バランス1ポイントだと鉛2gくらいの違いですが、意外と大きい違いです。
ざっくりと言いますと、シャフト重量は何グラムでもいいのです。バランスを柔軟にいじると(C7-D4くらいか)FWと同じシャフトでもいけますし(そうでないとDGは使えないので)、もちろん短めに仕上げたい場合はシャフト重量を増やすという考えでもいいです。
ちなみに私の2016年のエースドライバーはNS950DRフレックスRで43インチ、総重量347g、バランスはC6.8です。ヘッドに鉛を3.5gくらい貼っています。アイアンと交互に打っても素振りなしでナイスショットが打てます。シャフト重量100g(カタログ値)という常識ではあり得ないスペックですが、日本シャフトが出している正真正銘のドライバー用のシャフトです。2017年に94を出した時のドライバーはダイナミックゴールドR300で43インチ、総重量365g、バランスC7.0です。ちなみに6.8とか7.0というバランスは実際には8.8とか9.0という測定値ですが、誤差を考え2ほど減らした値です。
ともかく希望のヘッドと希望のシャフトを接着し、希望の長さにカットします。鉛を貼りたくないという人は少し長めにしておきます。
6、調整はかなり微妙に(1gや1mmを大事に)
どんなクラブでもそこそこ打てるという人は、素振りをしただけでそのクラブを振るのに最適な力加減を体にインプットできます。そういう能力のない人(私とかここを読んでいるあなたのことです)はある程度厳密に調整しないといけません。鉛で言うと2g単位は結構アバウトなうちに入ります。長さで言うと0.125インチ(約3mm)は結構大きいです。
嘘でしょ!という人が多いのはわかります。かつての私もそうでした。でもアイアンのMOI(慣性モーメント)を全番手同じにしてからは意識が変わりました。
MOI測定器をお持ちでない方はバランス計で代用できます。37インチの7番アイアンがD1であれば、アイアン用シャフトを使った39インチのUTだとC9あたりになるでしょう。私の調整したインプレスX
V
forged初代の場合7番がD2.2、3番がD0.0でした。3番は少し短くしているので長さの差は2インチ弱です。なおウッド用シャフトではこの目安は使えません。
基準アイアンと打ち比べて重いなと思ったらシャフトをカット(1mm単位で)します。逆に軽いなと思ったら鉛をちょっとずつ貼ります(1g単位で、細かくてもいいなら0.5g単位で)。鉛を貼りたくない場合は最初ちょい長いかなというくらいで組んで、1mmずつカットして適正値にゆっくり持っていくといいですが難しいです。
ちょい軽いかなという程度にカットして(それなら3mm単位でカットして大丈夫)、あとで鉛で調整するのが一番楽です。鉛を貼るスペースがあるヘッドを選ぶといいです。
7、すでにリシャフトして「失敗したかも」と思っている方へ
実はまだ失敗と確定しているわけではありません。上記のように基準アイアンと根気よく打ち比べて、1mm単位1g単位で調整すれば意外と合うポイントが見つかると思います。どうやってもうまく打てないのであればそこで「合わない」と決定してもいいです。それは実はヘッド形状によるものかもしれませんし(フックしか出ないとか)、とにかく失敗なら失敗でいいのでその理由を探らないと次につながりません。