100切りのためのゴルフクラブの裏技   2023.1.3全面書き直し


1、ゴルフクラブの常識はとりあえず疑ってみる

「同じブランド(例:ゼクシオ)で揃えると打ちやすいセッティングになっている」
「ドライバーは45インチカーボンシャフトが最適」
「ロングアイアンが役に立つのは力がある上級者のみ」
「バランス(スイングウェイト)は全番手同じくらいがよい」
「クラブを買い替えると、慣れるまでには数か月かかる」


 このあたりの常識は私は全部「嘘」だと思っています。これが当てはまるゴルファーはいるにはいますが、上手ではないと思っているゴルファーはこれらの常識を疑う方がいい結果が出ると断言したいです。



2、市販のセットは上級者向けのセッティングになっている

一般的な14本のセッティングというと、ドライバー、3番ウッド、5番ウッド、7番ウッド、ユーティリティ2本、6番アイアンからPWまでのアイアン5本、ウエッジ2本、パター、みたいな感じです。その他3番ウッドは上級者しか打てないのでその分他の番手を増やすようにするくらいです。5番アイアンを勧める記事はどんどん少なくなっていき、市販状態で6番からの5本セットで買えるものがどんどん増えてきました。

その中で私が思うのは、
(1)ドライバーは45インチとかそんなに長くなくてもいいんじゃないか
(2)3番ウッドはもちろん不要ですが、5番ウッドや7番ウッド、ユーティリティでどのくらいまっすぐ打てますか?チョロや引っかけでスコアを崩しませんか?
(3)6番アイアンのロフト25度は40年前の3番アイアン相当、同じく42度のPWは8番アイアン相当。そして長いアイアンでロフトが3度差、短いアイアンで6度以上の差というのはどういうこと?
(4)6番アイアンと9番アイアン、多分同じ感覚では打てません。
(5)ウエッジはアイアンセットと同じものを使うと、PW42度とAW48度の飛距離差はおそらく20yくらい、AW48 度とSW56度の間は30y近く離れるかも。

解決法としては、
(1)ドライバーは手元を1インチカットし、どうしても軽くて振りにくければ鉛を貼る。
(2)ウッド1本、ユーティリティ1本まではバッグに入れてよいが、使わない勇気を持つ。チョロや曲がりでスコアをロスする人は7番アイアンあたりの方がはるかにましな場合がある。
(3)6番アイアンを基準に、バランスが0.5ずつ大きくなるようにヘッドに鉛を貼って調整すると打ちやすくなる。6番がD0だったら7番はD0.5、8番はD1.0、9番はD1.5、PWはD2。その他のウエッジはシャフトが同じであれば0.5インチ短くなるにつれてバランスを0.5増やすように。
(4)ロフト25度の6番アイアンは一昔前のロングアイアンなので、ミスって距離が落ちてもいいけど曲がってはいけない場面限定で使う。
(5)ロフト角が3-4度で10y違いになるので、長い番手は10y以下になると覚悟。


3、各クラブの活用法

ドライバーはXXIO12の場合もともとが45.75インチ、超軽量シャフトで総重量282gと一昔前の常識では高齢者向けの重量です。若い人には向きません。ですので100切りを狙う若い人は外国ブランドとか違うものを選んだ方がいいです。目安はクラブ重量が少なくとも300g以上。

そしてマネジメントの項でも説明していますが、100切りには200yも飛ばさなくていいです。もちろん飛ばしてもいいのですが、230y飛ばしてほとんどフェアウェイか普通に打てるラフに行くようなら100切りレベルを大きく超えています。シャフトを短くしても200yくらい簡単に飛ぶのがドライバーです。一生懸命振ってやっとまっすぐ行くスペックは再現性に乏しいのでベテラン向きです。

あとはスライス撲滅系のものは買わないように。スライスするのはクラブが長すぎて振り遅れるからです。シャフトをカットすれば解決します。

ウッド/ユーティリティはうまく打てるのがあればもちろん使えばいいです。私の場合は練習場でうまく打てても本番ではチョロ、引っかけOBが多発しスコアに貢献しませんでした。多少曲がっても大丈夫、ギャンブル的に距離を稼ぎたい場合は有用です。

アイアンは一番長いのがスライスしやすく、一番短いのがフック/引っかけが出やすいです。全番手ミスの傾向が同じになるまで鉛で調整するのがお勧めです。そうでないと6番アイアンはしっかり打ち、PWは軽くという調整が必須です。そんなことができればとっくに100は切れるでしょう。

ウエッジは別売りでアイアンと同じシャフトのものを買い、PW42度だったら46度、50度、54度くらいを入れると10-15y差になります。アプローチは1本だけ使うようにしたら(お勧めは46度)、100yを切ったあとたくさんクラブを持って行かずにすみます。



−−−−−− 以下だいぶ以前に書いた記事です −−−−−−− 2、なぜミスショットが出るのか

 ・ スイングが未熟で不安定だから ・・・ ごもっとも(汗)
 ・ アドレスがうまくできていない ・・・ その通り!
 ・ 打ち急いでしまう ・・・ 原因はメンタル?

 ミスショットが出る原因はいろいろありますが、だいたいクラブのせいでなくアドレスやスイングのせいにされてしまっています。確かにアドレスが正確にできていなければスイングする前からミスショットが約束されているのは納得です。

 ではそれ以外のクラブの要素、例えばクラブが重すぎるとかそういう場合はどうでしょうか。

 クラブが重いと、スイングの途中で脳がおかしいなと感じます。普通に振るとダフりますから、人間の素晴らしい調整能力が発揮されます。ちょうどいい具合に働けばナイスショットなのですが、アシストが足りないとダフり、働きすぎるとトップします。こういうミスはたいてい技術的な問題に置き換えられてしまいますが、実はクラブの問題です。

 ゴルフバッグに入っているクラブが全部このように重いクラブだとしたら、いずれ体は慣れるでしょう。しかしスイングに余計な動きが入ってしまうかもしれません。上級者はクラブに合わせてスイングできますが、初級者や中級者はまねしない方がいいです。

 重いクラブもあり軽いクラブもあり、というセッティングだと困ります。どういう動きをしたらナイスショットになるのかわからず混乱し、いつまで経ってもいいスイングまで到達しません。必ず調整が入ってしまう不安定なスイングになります。

 意識していただきたいのは、何も考えずに振るとナイスショットできるクラブを1本見つけ、他のクラブをそれに合わせることです。市販のアイアンセットは(初級者向けのを含めて)上級者に合うセッティングになっています。セットものだから間違いない、と考えるといつまでたっても解決しません。

 クラブのせいでミスショットが出ている場合は簡単に解決できます。解決しないのはもったいないです。


 
3、まずやるべきこと

(1)自分の手持ちのアイアンセットの中で、一番ミスショットの少ないクラブを探します。これが7番とか8番アイアンだったらラッキーです。練習ではそのクラブだけ打ちましょう。

(2)本番のラウンドで他のクラブを使ってどういうミスが出るか記録します。

(3)自分の得意なクラブと苦手なクラブ、一体何が違うのでしょうか。例えば8番アイアンが得意で5番アイアンが苦手な方、5番アイアンのヘッドを8番アイアンと同じ重さにして、8番アイアンと同じシャフト・グリップを入れたら結果がよくなりそうです(つまりワンレングスアイアン)。そこまでしなくても、5番アイアンのシャフトをちょっとだけカットしたらうまく打てるようになるかもしれません。

(4)8番アイアンは結構ナイスショットが多いのに、PWはミスが多いという方、これはほぼ間違いなくクラブが軽いです。鉛を2gずつ貼り足していくと、どこかでうまく打てるポイントが出現するはずです。

(5)要するに一番うまく打てるのが8番アイアンであれば、7番と9番はそこそこ、それ以外のアイアンは軽すぎたり重すぎたりする可能性が高いということです。重いアイアンはシャフトをカットするしかありませんが、軽いアイアンは鉛を貼るだけで振り心地がよくなるはずです。



4、(応用編)クラブMOIマッチング(JCMOの登録商標)

 クラブの振り心地を機械的に調整したいという人は、クラブMOIマッチング をしてください。もちろんその道のプロフェッショナルにお願いすることになります。今のアイアンセットのまま、シャフトもそのままで重量調整をして、全ての番手を同じ振り心地で振れるようにしていただけます。

 クラブMOIマッチングというのはよくよく考えるとワンレングスアイアンの発展形です。セット内の振り心地を統一するという目的としては両方同じで、飛距離の階段ができやすいという意味ではクラブMOIマッチングの方が優れています。


5、(応用編)全部同じ長さ、同じ重さのワンレングスアイアン

 すでにアイアンだけなら8本全部同じ振り心地になるはずのものは市販されています。ワンレングスアイアン(英語ではsingle length irons)です。同じヘッド重量、同じシャフト、同じ長さ、同じライ角、振り心地が違うはずはありません。

 ワンレングスアイアンのことを知ってしまうと、なぜ番手ごとに長さを変えるのかという問題に向き合えます。ロフトの立ったアイアンは長くしてヘッドスピードを上げないとスピンが利かずグリーンに止まりにくいですので理にかなっています。飛距離を出すという意味でも長い方がいいです。しかしかなり上手なショットメーカーにしかこの恩恵は受けられません。

 100を切りたいくらいの腕の人は(おそらく90切りの人も)アイアンは長さが同じ方がいい結果が出るでしょう。同じ構え同じ力加減で、同じミスの傾向で、というのはかなりのメリットです。飛距離の階段はロフト間隔を調整すれば10yは楽に出ます。

 ここを読んでみると、それでも長くしたい(ウエッジは短くしたい)という場合はそれなりの代償が必要なことはすぐおわかりでしょう。振り心地を揃えて長さを変化させるのは大前提です。



6、(応用編)バランスフロー作戦

 どうしてもバランスを調整の指標にしたいという方はバランスフロー作戦を。あなたの得意な8番アイアンのバランスがD0.2だとしたら、9番アイアンはD0.7、PWはD1.2、となるように鉛をヘッドに貼って調整します。しかしこの方法では重すぎる長いアイアンの調整ができないので、シャフトをカットすることになります。

 まあとりあえず8番アイアン以下が使えるようになれば、7番はちょい重いですが許容範囲としてカットしなくてもいいです。この場合5番と6番は使わないようにしてユーティリティに替えましょう。



7、アイアンさえうまくいけば、あとは何とかなる

 自分の基準となるクラブが見つかれば、そればかり練習したらいいです。もう少し距離が出るクラブが数本欲しくなると思いますが、アイアンをしばらく打って突然持ち替えてもナイスショットが出るように調整することができます。シャフトを切るとか鉛を貼るとかが必要ですが、慣れると大したことではありません。



8、大昔からアマチュアのスコアがアップしていない理由

 ユーティリティもなければ幅広ソールのアイアンもないという大昔、アベレージゴルファーのスコアは当然今より悪いはずです。しかしほとんど変わっていないとのこと(情報源は不明)。これが本当だとすると、以下の仮説が考えられます。

(1)やさしいクラブがスコアに与える影響はほんのわずかである
(2)やさしいと思っていたクラブが、実はスコアを落とす原因だった(UTで狙うよりアイアンで刻む方がましだったとか)
(3)軽いクラブはスコアを崩す、もしくはスイングを崩す
(4)クラブごとに要求されるスイングが違っていて、ゴルファーが対応できていない(ドライバーは別のスイングが必要とか)

 これらを検証するには、大昔のセッティングに近いクラブでラウンドしてみるのがいいです。アイアンもウッドもダイナミックゴールドを入れて、ドライバーももちろんダイナミックゴールド。UTは使用禁止、アイアンの上は7番ウッド。21度のウッドは昔からあったはずです(名前は5番ウッドだったかもしれませんが)。1W、4W(17度)、7W(21度)、そしてアイアンは6番以下。シャフトはスチール。なんかワクワクしてきませんか(しないか)。
 


 

−−−−−−−−−−−−− 以下過去に書いた記事 −−−−−−−−−−−−−

0、はじめに

こんな症状はありませんか?
・ ドライバーのミスがひどい、アイアンやUTを使った方がまし
・ ドライバーが気持ちよく振れない、ラウンドでは当てに行くスイングになって飛ばない
・ 長いアイアンはスライスし、短いアイアンは引っ掛けたりトップしたりする
・ ドライバーを気持ちよく打ったあとのアイアンでうまくいった試しがない

 苦節15年(汗)、やっとクラブ間のバランスを整えることに行き着きました。ドライバーやロングアイアンは長すぎて振り切れずにスライス系のミスが出る、引っ掛けチョロも原因は同じ。ドライバーのあと9Iを打つと結構な確率でチョロが出るのはある意味当然です。

 ドライバーからウエッジまで全部同じブランド(例えばゼクシオ)でセットを組んだとしても、必ず苦手なクラブが出てきます。世の中のクラブは下手っぴにとっては扱いにくいセッティングになっている、と断言します。ここを読まれている方はおそらく100切り目標かそれに近い方でしょうから、そういう方々に向けて書いています。

 クラブメーカーが上級者向きのセッティングをそのまま使っているからこうなるのです。下手っぴ用のセッティングのノウハウがないわけではないと思うのですが、使えない事情があるのでしょう。プロの試合を見てみると、短いクラブはコントロールショット(方向性重視)、長いクラブはしっかり振る(誤差はある程度許されるので飛距離を出す)、とやっています。そういうプロにとっては理にかなったセッティングなのですが、下手っぴには辛いです。

 上級者は上手に素振りをして、そのクラブに必要な力加減を察知してショットします。しかしこんな高度なこと、私とかここを読まれている皆様には厳しいですよね(汗)。普段はまずまずでも、プレッシャーがかかる場面では本来起こるはずの(!)ミスが起こってしまいます。おそらく上級者でも。9番アイアンでトップしてグリーンオーバー、とか。

 全ての番手を同じ力加減で振れるように調整したとしたら、苦手番手がなくなると思いませんか?あなたの得意番手に合わせて振り心地を調整したら、それが可能になります。スイングは一つ。7番アイアンだけ練習場で打てば、自動的に他のクラブが打てるようになる。これが目標です。

 下手っぴにとってはクラブが悪いのかスイングが悪いのかわからないのは最悪です。クラブが悪いという要素はなるべく排除しましょう。そうするとミスショットは全てスイングのせいにできますので、考え方がシンプルになります。


1、今お使いのクラブがいかに扱いにくいかを体感する方法

 練習場で5番アイアン(3番や4番があったらもっといい)を10球くらい打ってみて、その直後に9番アイアンを持って、「素振りをせず」打ってみて、どういう感じがするか試してみてください。ドライバーを10球、その後9番アイアンでも試してください。持っただけで軽く感じたならもうミスは約束されたようなもの、そうでなくても振り心地が変だとかトップやダフりが出るとか何かしら問題が出ると思います。特に問題を感じないとしたら、あなたはクラブに細工しなくてもうまくなれます。

 ちなみに練習場では多くの人が短いクラブから順番に打っていきますから違和感は出ません。ラウンドの最中ですとさらにわけがわからなくなります。


2、まずはアイアンをどうするか

 ヘッドはあまり難しいのを選ぶと後悔するので普通のやつ、試打してピンときたやつを。シャフトは何も考えずNS950のRです。もちろん打ち比べてNS850の方が結果がよければそちらでいいです。カーボンシャフトは軽すぎますし意図しない飛びすぎがあるので却下。そしてできるだけAWとSWがセットに含まれているものを選んでください。別売りウエッジをセッティングするのはクラブいじり中級者以上のレベルです。

 あなたの一番得意な(振りやすい、結果がいい)番手は何番でしょうか。私は8番あたりです。できればその番手の振り心地に全番手を合わせましょう。長い番手が重すぎるのであればシャフトカットが必要になりますので、自分でできない場合はUTに置き換えるのがお勧めです。

 もし得意番手が8番だとしても少しだけ妥協して基準を7番に合わせて、それ以下の番手には7番と同じ振り心地になるように鉛を貼ります。自分でフィーリング重視でやってもいいのですが、簡単で確実な方法を書きます。万人向けではないかもしれませんが。

 用意するのはカタログと家庭用デジタルはかり(1000円くらい)です。そしてカタログに書いてある長さとクラブ重量を表にします。私が初めて調整したヤマハインプレスX Vforged初代アイアンを例にしてみます。グリップ重量、シャフト重量が同じであることが前提です。

5番  6番  7番  8番  9番  PW
37.75 37.25 36.75 36.25 35.75 35.25(カタログの長さ) できれば実測の長さを計るとなおいいですが
402  409  417  422  429  437(実測クラブ重量) 本当は0.5g刻みで測定・調整したいとこですが

0.5インチにつき7gの差が出ているのが通常のセッティングですが、これを8g差がつくように変更します。
6番と7番はぴったり8g違いなのでそのまま。6番を使わない人はここは省略。
8番は417gに対して5g重いだけなので3g鉛を貼って425gにします。
9番は425gに対して4g重いだけなので4g鉛を貼って433gにします。
PWは433gに対して4g重いだけなので4g鉛を貼って441gにします。

 AWとSWは長さにバリエーションがありますし、シャフトもグリップも重量が違う可能性があるので補正が必要です。もしシャフト重量もグリップ重量も同じであって、AWがPWより0.25インチ短いのであれば、比例計算してPWより4g重くします。そんな感じでSWまでやってみてください。あとは振った感じで微調整。

 バランス測定器がある場合はぜひ測ってみてください。7番がD1.0だとしたら8番がD1.5、9番がD2.0、PWがD2.5、というように0.5インチにつき0.5ずつ増えるはずです。実はバランスを同じ値に統一することには(少なくとも100叩きには)全く合理性がありません。ましてやフローすらできていないのでは明らかに間違っているということです。

 0.5インチで8g刻みというのはアメリカのヘッドメーカーであるGolfsmith社も推奨していますし、MOIマッチング(慣性モーメントの統一)した時の数字とも結構合います。これをするとかなり短いアイアンが振りやすくなり、トップすることが減ると思います。

 SWでアプローチをしたあと他のクラブに持ち替えると重く感じてだめだという人は、SWの重量を1-2gほど減らすといいです。 

 すでに女子プロのセッティングで、UTをたくさん入れてアイアンは7番以下というのが流行っています。もちろんUTのヘッド形状がミスに強いということもあるのですが、長いアイアンは重過ぎて振りにくいからだと考えると納得がいきます。力のある我々は重くても振ってしまいますが、か弱い?女子プロはそうすると無理が出てきます。女子プロに学ぶことは多いです。


3、フェアウェイウッド(FW)とユーティリティ(UT)

 5番と6番のアイアンを捨てましたので、それ以上の距離を打つためのクラブを用意しないといけません。7番アイアンの飛距離が130-140yなら、26度UT(150y?)、23度UT(160y?)、20度UT(170y?)、という感じでUTを揃えるといいです。もちろん全部揃えなくていいです。FWはよほどうまく打てる場合でなければ禁止。

 すでに書きましたが100切り目標の人は地面から打つのはマックス160yにしときましょう。それ以上飛ばすことを考えると曲がったときに痛い目に遭いやすいです。ただFWがうまく打てるなら9Wとか考えてもいいです。またFWはフェースが薄いやつが多いので、そういう面でもUTの方がいい場合が多いです。ただし長いPAR3で手前に刻むのが困難な場合とか、アゲインスト対策とかで、ティショット限定で170y打てるクラブを入れる意義はあります。

 しつこく書きますが、アイアンと同じ力加減で打てるクラブを使わないといけません。そうしないと肝心なところでミスが出ます。

 カーボンシャフトのUTですとおそらく軽いですから、ヘッドに鉛を貼ってアイアンと振り心地を同じにします。スチールシャフトのUTは同じシャフトのアイアンより重い可能性が高く、シャフトカットが必要になると思います(下取りは期待できなくなる)。

 アイアンと振り心地を同じにするにはしつこく比べないといけません。時間はかかりますがあきらめないで。いや結構難しいのであきらめてもいいです(汗)。要するに長いアイアンを捨ててUTに替えることが目的であるわけですから。裏技的に長いアイアンを調整して使うというのもありですが、変態クラブいじり上級者編です(汗)。


4、ティショットクラブ(主にドライバー)

 100を安定して切るには、信頼できるティショットクラブが必要です。1Wでも3Wでもかまいませんが、「本番で」6割くらい160-200yくらい飛んで、なおかつフェアウェイか普通に打てるラフにある必要があります。OBやチョロは1ラウンドに合計3-4回が限界でしょう。

 私のバイブル「完璧ゴルフクラブの選び方」には、こんなことが書いてあります。45インチでロフト11度程度のドライバーで御利益を受けるのは1割程度、大部分のゴルファーはもっとロフトを多く、シャフトを短くすべき、本当にいいのはドライバーを捨ててスプーン(3W)でティショットすることだが、見栄を捨てられない人はなるべくロフトの多いモデルを選び、シャフトを短くするのがよい。

 で、ドライバーだけ苦手ならば、それはドライバーのスペックに問題がある可能性が高いです。例の本の「45インチが合わない」というのは、長すぎてミート率が落ちるのではなく、長さの割に重過ぎてその結果振りにくくなったのが原因だと考えると納得がいきます。あくまでも仮説ですが。

 ドライバーが3Wよりちょっと曲がりが大きくて飛距離が10-20y余分に出るというのであれば正常ですが、比較できないくらい曲がりが大きくなるとか、チョロなど重大なミスが出やすくなるとすれば、そのドライバーはあなたには合っていません。おそらくここを読むようなあなたは上級者向けのドライバーなんて買わないでしょうから、ヘッドやシャフトの特性が合わなくて困っているということは考えにくいです。

 もし9番アイアンをしばらく打ったあとでドライバーを振って重い/振りにくいと感じたとしたら、そのドライバーは長さの割に重過ぎるので、一生懸命に振らないといい結果が出ないということです。もちろん一生懸命振るということは力みにもつながりますし、曲がるリスクはかなり上がります。うまくいけば飛距離は出ますが、ミスで帳消しです。アイアンとかけ離れたスイングになってしまうかもしれません。

 ドライバーというクラブ自体はヘッドが大きく3Wよりはミスに強いはずなのでお勧めではあります。表示ロフト11度の簡単系ドライバーを選べば自動的にリアルロフトは13度くらいになりますから、シャフトを44-44.5インチになるようにカットして、得意な番手のアイアンと同じ振り心地になるように鉛を貼るだけでいいです(0.5-1g刻みで)。もちろん味をしめて44インチ以下にするのもありです。

 シャフトカットをする場合はくれぐれも自己責任 でお願いします。できれば安いドライバーを(高反発のルール不適合のは格安です)買ってシャフトカットを試すのがいいです。ドライバーなんていじれないよという人や、3Wの方が結果がいいのでそちらにしたいという人、もちろんそれでいいです。そんなことはやりたくない、という方は、リシャフトしてシャフト重量を5-10gくらい落とすという方法もあります。

 意外なお勧めはスチールシャフトです。アイアンにNS950GHを入れている人はドライバーにもNS950DRを入れてみましょう。日本シャフトがドライバー用として普通に出しているシャフトですから裏技でも何でもありません。ゴルフ雑誌の特集でたまに上級者でもやっている人がいるのがわかります。43.5インチ前後になると思いますが、最大飛距離はカーボンシャフトのものより10yくらい落ちる程度で(ゴルフ雑誌の記事でもそんな感じ、私も同感)、平均飛距離はむしろよくなると思います。何よりドライバーを打った直後に普通にアイアンが打てます。私は43インチにしていますが(60度法)、バランスを計るとC7とかそんな値になります。これで普通に振れます。

 スチールシャフトですと43インチで使えるというのが最大のメリットです。もしかするとカーボンシャフトのドライバーを43インチにして、ヘッドに大量の鉛を貼るという方法もあるでしょうけども、私は過去試していい結果が出ませんでしたので(振り心地を合わせることを知らなかった時代)、どなたかぜひ。ちなみにUSPGAツアーのパトリック・リードさんは優勝した時に43インチを使っていたようです(フジクラの85g)。あとは裏技としてNS850FWをドライバーに入れるという手もありますが、メーカーは推奨していないので自己責任で。

 それからリシャフトする場合はぜひプロに任せましょう 。これは自己責任で済ませるにはちょっとリスクがでかいです。

 今回私が大昔の小さいヘッドのドライバーを使うようになったのは、アイアンになるべく近いスペックにしてみたかったからです。ドライバーで大きなミスショットをするのは視覚で得られた情報とそれに合わせてミートする動作が乖離しているのでは、と思いました(自信はありません)。その他MOI調整をしてアイアンと同じ感じで振れるようになり大きいヘッドを使う必要を感じなくなった、小さいヘッドだとフェースを厚くできるので、打感がよくなるという理由もあります。 (結局うまく打てずもとの410ccに戻しました)


5、ウエッジ

 可能な限りアイアンと同じモデルを購入しましょう。別売りウエッジを上手に選べるのは相当クラブに詳しくないと無理です。まあシャフトはアイアンと同じにして、例の方法で振り心地を合わせるだけといえばそうなんですけども。アイアンがNS950なのにウエッジだけDynamicGoldにするのはよほどわかってやらないといけません。鉛を貼るだけでいいのになぜシャフトの種類を変えないといけないのか、ってことです。


6、アプローチ用特殊クラブ

 チッパーは転がし用、ピッチャー(他の呼び方もある)は上げるアプローチ用のクラブです。両方ともシャフトが短くヘッドが重いので、パター感覚で打てますし、ヘッド軌道が安定してミスが減るはずです。14本という制限があるので入れるのは難しいですが、アプローチに悩んでいるなら強力な助っ人になってくれることでしょう。

 またバンカー専用SWのように、ソールがかなり広いSWがあります。イマドキの簡単系アイアンは最初からソール幅が広くなっているので、セットもので十分よかったりするかもしれません。


7、パター

 パターは正直言ってよくわかりません。なるべくヘッドの重いものを選ぶと軌道がぶれにくくていいです。ピン型、マレット型、ネオマレット型の3つが多いですが、一長一短があるので好きなのを選んであとで考えましょう。私は今さくらゴルフのL字という、かなり時代遅れのパターを使っていますが、フィーリングがよく特に難しくありません。ちなみにヘッド重量は316gとのこと。


8、クラブ慣性モーメントマッチング(クラブMOIマッチング)  (注:JCMOの登録商標)

 市販されているクラブはバランス(スイングウエイト)を統一するように作っています。昔からの伝統的なやり方なのでしょうけども、上級者以外には打ちにくいセッティングであることが最近わかってきました。それに寄与したのが最近脚光を浴びてきたのがクラブ慣性モーメントマッチングです。

 これはクラブ全体の慣性モーメント(ヘッドのみの慣性モーメントとは別物)を測定し、アイアンは全番手統一、その他のクラブは少し補正するという方法です。下手っぴには下手っぴなりのクラブ調整があるのです。しかし上級者でもすでにいろんな方がそのご利益を受けられています。やはりもともと素振りとかで調整をしないとうまく打てないクラブだったと考えるのが妥当でしょう。

 私は3年ほど前にジオテックで測定器をレンタルして、その直後にネットで台湾の業者さんから送料込み6万円くらいで買いました。アイアンは全部同じ数値に統一し、重すぎるのはシャフトの手元カット、軽すぎるのは鉛を貼ります。0.5g単位とかもう少し細かくとかでかなり微妙に調整します。そしてユーティリティはアイアンと同じか20くらいのプラスで、FWは50かもう少しプラスで、鉄棒ドライバーは70かもう少し、という具合です。結局ある程度に機械で調整したあとは、アイアンと打ち比べて補正をやっています。

 ところでこの方法で必ずいい結果が出るかというと、そうとは言い切れないところがありまして(大汗)、私もまだまだ試行錯誤中だったりします。練習場ではよくてもコースではダメということもありました。またヘッドが違うとMOIの値を少し補正しないといけないとか、アイアン以外のクラブとのつながりとか、かなりしつこく微調整が必要です。プロに任せたら一発解決、なのかもしれませんが。ただ少なくともアイアンの中での番手間の違和感はゼロになりました。

 そして、全部のクラブを同じ感覚で振るということにしないとうまくいきません。どうしても3番アイアンは強く振る、9番アイアンと同じようには振れないというのであればMOIは同じにせずフローさせるとか、少し補正した方がいいかもしれません。

 とはいえ、うまくやると革命的なクラブ調整法になることは間違いありません。めんどくさいけどやりたいという方、プロにお任せしましょう。今までの悩みが何だったのか、となる可能性は大いにあります。アイアン7-8本、UT1-2本、ドライバー1本、以上10本で6-7万円の工賃が必要になりますが、それ以上の価値があるかもしれません。お問い合わせはJCMOまで。