ゴルフ関係     2020.8.13完全書き直し → 2021.11.25余談を追加

アイアンのライ角はどの程度揃えたらいい?

 アイアンのライ角はベテランゴルファーになると意識します。1度ずれていたら気持ち悪い、0.5度だと許容すべきだろうかと考える方は多いです。しかし事実を抜き出してみると、今までのこだわりを見直すことになるのは間違いありません。

 実はそれ以前に、自分に合ったアイアンのライ角って何度だろう、というところで考え直す必要があるかもしれません。極太グリップを使うとアップライトなライ角の方が気持ちよく打てることを発見し(これは私だけの意見ではありません)、PINGの基準だと黒ドット(5番で60.75度)が合うと思われる私ですが今はマルーンドット(4.5度プラス)と最高にアップライトのアイアンを使っています。まあこれは余談で。

 ちなみにヘッドからシャフトに伸びる線と地面との角度を決めるのがライ角です。ライ角が大きくなると(アップライトなクラブ、と表現)グリップ位置(グリップした時の手の高さ)は上がり、ボールと両足との間合いは近くなります。

 ライ角をクラブごとに変える目的はすべての番手で違和感なくスイングできる、つまりスイングの統一性を保つためになります。ということはグリップした手の地面からの高さはほぼ同じがいいはずです。

 ここで三角関数が役に立ちます。サイン、コサイン、タンジェントというあれです。右利きのゴルファーが構えたところをターゲット側から見ると、手元をA、手元からクラブへ伸びる線と地面との交点をB、手元から地面に垂直に線を下ろし地面との交点をCとしたら、、これで直角三角形ABCができます。ライ角は角ABCとなります。

 クラブの長さは線AB、手元高さは線ACになります。例えば38インチでライ角61度の5番アイアンだと手元高さは33.2インチになります。45インチでライ角58度のドライバーだと、手元高さは45×sin(58)=38.2インチになります。あれ?5インチ(12.5cm)も違う、となります。逆算して手元高さが33.2インチになるように計算するとライ角48度相当になります。考え方としてはトウダウンが起こるため、ライ角48度相当?にかなりフラットに構え(相当トウが浮く)、インパクト時にはライ角58度になる、でよいと思います。だいぶイメージと違いますね。

 35.5インチでライ角63.5度のPWだと同様の計算で31.8インチとなります。5番アイアンより1.4インチ(3.6cm)手元が低くなります。いいんでしょうか。同じ手元位置になるようライ角を計算しなおすと69度で33.1インチ。これどういうことでしょうか。ショートアイアンやウエッジはあえて手元位置を低くして、つまり前傾姿勢になるようにするのが目的なんでしょうか。実際問題前傾を強くしてハンドダウンに構えるのは理にかなっているということも聞いたことはあります。

 とはいえ前傾角度が変わり、手元の高さも変わるとしたら、スイングにミスが出る要素が1つ増えるのではないかなと思ったりします。その点ワンレングスアイアン(すべてのアイアン、ウエッジが同じ長さ)はいいです。

 ちなみに普通のメーカーは0.5インチにつきライ角を0.5度変えるようにしていますが、PINGのライ角設定は0.5インチにつき0.75度です。この場合5番アイアンが61度としたらPWはプラス3.75度、つまり64.75度になります。通常のPWより1.25度アップライト。このくらいではあまり差は出ないかもしれませんがどのような意図でこうしているのか気になります。そして1度くらいではどうってことないか、とそろそろ考えが変わりませんか?

 左に飛び出すショートアイアンやウエッジはもうちょっとフラットにするという考え方もあるようです。PINGでもロング、ミドル、ショートでライ角のカラーを1つずつずらす方はいらっしゃいます。しかし・・・左に飛び出すのはライ角がアップライトすぎるせいなんでしょうか。アイアンが軽すぎて体が突っ込んでインパクトして(振り遅れの反対)左に行くという方が納得できませんか?だって普通にヘッドがアドレスした場所に戻ってきたらまっすぐにしか飛びようがないわけですから。鉛を2-4gヘッドに貼ったら多分左には行きにくくなります。

 さて、これまで触れてこなかったフェアウェイウッドはどうでしょうか。当然ドライバーとアイアンの中間くらいのライ角になっている・・・かと思いきや、例えばゼクシオイレブンのドライバーは45.75インチでライ角59度、3番ウッドは43.25インチで58度となっています。さあこれはどう考えたらいいんでしょうか。ドライバーだけシャフトがめっちゃ柔らかくてトウダウンが激しいとか??そしてユーティリティはというと、3番が40.75インチで59.5度。5番アイアンは38-38.25インチで61.5度。このへんは普通なんですけども。

 めんどくさいことばかり書いてきましたが、実際同じヘッドでライ角だけ変えると球筋は変わるのか、実験してみるといいです。私は過去にPING EYE2の6番アイアンで実験してみました。同じヘッド、同じシャフト、同じバランス設定。ライ角は3度違い(オレンジドットと青ドット)。結果は・・・たしかに構えはだいぶ違和感があります。オレンジの方だとスイングプレーンがだいぶフラットになりました。球筋は全く同じ。

 結論ですが、構えにくくさえなければライ角は2-3度違っても気にしない。ライ角以外のことをもっと気にしましょう。