水にまつわる ちょっと News (冬号)
 結 露   電化住宅が結露に強いというお話
厳しい寒さが続いています。
マンションのご近所さんと話していると“結露”の悩みが聞こえてきます。
 
ご近所さん:「この頃結露が多いですね・・」
 
当 家:「?? いいえ! うちはいつもと変わりませんが」
 
ご近所さん:「なんで・・?」
 
当 家:「うちはオール電化ですから−」
 
ご近所さん:「??」
    てなわけで次のようなお話をさせていただいています。

●結露はどうしてできるの?
暖かい空気と冷えた空気では,空気中に溶け込む水蒸気の量(飽和水蒸気量)が異なるから,暖かい空気の方が冷えた空気より水蒸気がたくさん溶け込むことができるんです。暖かい湿った空気が冷やされると,空気中に含む水蒸気の量が減って,水蒸気の一部が空気中から追い出され水滴になる。この現象が結露なのです。

 >>より詳しい解説へ(水のプログラム/空気の話)>>

●家が結露するとどうなるの?
頻繁に結露が発生するようになると,カビやダニが発生します。さらに進むと腐朽菌をも発生させ,住宅の躯体部分を腐らせてしまい,シロアリも寄付けやすくなるなど,住まいにとって大きなダメージとなります。その汚染された空気の中で生活していれば,人間の体に良くない。とくにお年寄りや子供には・・。シックハウス症候群の要因のひとつでもあります。

●なんで最近の家は結露するの?
日本の昔の家は結露はしませんでした。家の中でいくら水蒸気(水分)を発生させても,家のつくりがスキマだらけで,水蒸気なんぞはいくらでも家の外に出て行ってしまうので,結露はしなかったのです。最近の住宅,特にマンションは機密性が高いので結露が起こりやすいんです。

■ガスや石油など燃料を燃やすと水蒸気が発生するんです!?
寒い日に工場の煙突から白煙が上がるのを良く見かけますよね。冬に自動車のマフラーからも水滴と一緒に白いものがでています。煙!?かとおもいがちですがそうではありません。これは液化ガス全般の燃焼に見られる大きな特徴です。
例えばプロパンガスの燃焼は、図のように3倍の炭酸ガスと4倍の水蒸気を発生する,という反応が起こっているのです。

■燃焼させた灯油とほぼ同量の水分が出ています
1リットルの石油を燃やすと1.13リットルの水が発生します。
プロパンガスですと1.63リットルも発生します。
カロリー単位で比較すると石油もプロパンガスも同じくらいになりますがなんと都市ガスとなると石油やプロパンガスの1.5倍ぐらいの水を発生させています。
ですから都市ガスが一番水をつくっているのです。
■プロパン1KGを燃焼すると、どのくらいの水分が出るのか。
  全ての気体は,0度C 1気圧で,22.4Lの体積を占めるめるというアボガドロの法則で
  C3H8のプロパンガス1モルは44g,体積22.4L,その中に6.022x10の23乗の分子がある。
  プロパンの燃焼式は,C3H8+5O2=3CO2+4H2O
  44gのプロパンと160gの酸素の燃焼で,132gの炭酸ガスと72gの水蒸気が出来る。
  仮に1m3すなわち1000L/22.4L=44.6モルのプロパンガスを燃焼したとすると
  72gX44.6モルで 3211gの水蒸気が部屋の中に拡散されていることになる。
  プロパンの真発熱量は21,800kcal/m3,2180kcal=2.5kWのファンヒーターがあるとすば
  運転時は,毎時 320gの水蒸気を放出していることになる。

■灯油1Lを燃焼すると、どのくらいの水がでるのか。
  灯油の分子式及び燃焼反応式は, C12H26+18.55O2 → 12CO2+13H2O
  灯油1モルの燃焼で水分が234g(13モル×分子量18)が発生する。
  灯油1kgは,5.88モル,水分量は 234g×5.88モル = 1,376g。
  灯油の比重は 0.79kg/L よって1,376gX0.79kg/L = 1,087g 


●では内部結露を防ぐにはどうしたらいいの?


二つの方法があります。

 1.空気を冷やさない。
 2.空気中の水蒸気を減らす。

まずは、家の中の空気を冷やさないことです。夏に結露が起こらない道理。空気が冷えなければ飽和水蒸気量を越えませんから絶対に結露しません。
もう一つは空気中にふくまれる水蒸気の量を減らすことです。ようするに水蒸気をできる限り出さないようにすればいい訳です。
しかし,1の空気を冷やさないようにするためには,建物自体がそれなり(高気密・高断熱)にできていないと不可能です。 ですから,2の結露の原因となる水蒸気をなるべく発生させないようにする方が懸命です。

水蒸気発生要因としていろいろありますが代表的なものに
 1.台所の煮炊き(料理自体の水蒸気とともに,上記のようにガスコンロの燃焼で多量の水蒸気がでる)
 2.開放型石油およびガスストーブ・ファンヒーター(燃えた燃料と同じ量の水蒸気がでる)
 3.浴室の湯気(風呂フタの開けっ放し)
 4.洗濯物の室内乾燥
 5.加湿器の過剰使用
 6.人間・ペット・植物の呼吸

     
 台所や室内暖房にガスや灯油を使うと必然的に水蒸気も多くなるということ・・
 ヒートポンプエアコンやIH・レジェントクッキングヒーターを備えたオール電化住宅が結露に強いということなのです。
次回は「電気温水器のお湯は,なぜお肌に優しいのか・・?」 てな“水のクラスター(水分子)”にまつわるお話を・・