◆塑像無準禅師像(そぞうぶじゅんぜんしぞう)
概要:塑像、像高法衣裾より頭頂62cm、膝張44,5cm
 おだやかな表情のこの像は、臨済宗の高僧無準禅師の姿を写した頂相です。 中国何宋の禅僧である無準禅師は、時の皇帝理宗帝に法を説くほどの人物でした。その門下には、日本に渡って 鎌倉円覚寺を開いた無学祖元をはじめ俊才が多く、1236年には日本から来た聖一国師円爾を弟子としています。 この像はその聖一国師自身が作ったものと『芸藩通志』には伝えていますが、技法の特徴などから室町時代 の作と見られており、後世の人の手になるもののようです。

 現在、このような塑像はあまり多く残されていません。塑像は、木や針金で作った芯に荒縄などを巻きつけて 骨組みを作り、その上から粘土をかぶせて作ります。

 中国唐時代の流行をそのまま受けた奈良時代には、仏像として盛んに作られましたが、湿度の高い日本の 気候に合わず、壊れやすいのでほとんど作られなくなりました。しかし、やわらかい粘土は微妙な表現が可能なため、 肖像として再び作られるようになりました。

 この像も法衣のひだや顔のしわの1本1本まで、その写実性は見事です。また、全体に光沢があり、自然乾燥とは 思えないほど硬いことから、火中陶製を施されたものとも考えられています。